2005年11月

平成17年11月29日(火)
第132号  「麺をめぐる話三題」

1 カップ麺の売れる季節は?
赤とか緑とかの色のついた商品名のカップめんを作っている会の工場が佐賀県内にある。以前そこに視察に行ったとき、「カップめんがいちばん売れる月は何月ですか」と聞いてみた。
答えは12月だった。なぜそうなのか、とたずねたら「そもそも汁物ですから、冬の方が売れるんですが、なぜ12月かというのはよくわからないんです。ただ、残業も多いし。宴会も多い、忙しいので、なかなかきちんとした食事もできない、ということのよう。もちろん正月用の買いだめもあるし。だって、カップめんって「和」の雰囲気でしょ」ということだった。「カップ麺って和の雰囲気」。なるほどなあ。みなさんはどうだろうか?

2 おいしいうどんのできるわけ
かつて長崎・五島列島にある五島うどんの製麺工場に行ったことがあった。
五島というところは、小麦粉がとれるわけでないが、昔からおいしいうどんで有名で、その工場ではそのための乾麺を作っている。「いろんな方が見に来られるでしょう? これまでに何か印象に残る質問がありませんか」とたずねた。
「印象に残る質問ですか、ありますよ。ある女性ばかりの団体が視察に来られました。婦人会と聞いていました。説明をお聞きになり、最後に、「ここで使っている水を飲ませてくれないか」といわれました。これにはおどろきました。麺づくりは、小麦粉と水、それに空気がポイントなんです。ただの婦人会の方じゃないなと思って、よくよく聞いてみたら、とあるところの生協の仲間の方たちでした。「この水ならおいしい麺ができるわね。」と帰っていかれ、いまでもお得意様です。」

3 ラーメンスープの作り方の聞き方
僕の好きなラーメン屋さんのご主人とたまたま会合で一緒になった。僕はもともととんこつ系ではなく、鶏ガラのようなあっさり系のラーメンのほうがどちらかといえば好きなのだが、そこのラーメンはとんこつ系だけど僕の口にとてもあってうまい。
「なぜ、あんなにおいしいのですか?」失礼を承知で聞いてみた。「そんなにむずかしいことじゃないと思うんですけどね。きちんとすればきちんと結果が出るってことじゃないかと思います」みたいな答えが返ってきた。
「スープを作るには何時間くらい煮込むものなんですか?」とさらに聞いてみたところ、その返事がおもしろかった。
「何時間かっていうのはあまり問題だとは思わないんですよね。問題は火加減なんです。きっちりとしただしをとるためには火加減をきっちりしないといけない、ということなんです。」ははー。そうなんですか。心から脱帽した。
また、聞いていて思った。スープの作り方は子どもの育て方にも通じるものがあるのかもしれないと。「子どもと何時間接したらいいこどもに育ちますか?」という問いに答えはない。それもまた、火加減というか、育て方の問題なのだ。

ふるかわ 拝

平成17年11月22日(火)
第131号  「六百年間ありがとうございました」

10月の中旬、福岡都市圏への飲料水を供給するダムができるために地域が離村する東脊振村小川内地区の小川内小学校の廃校式に行ってきた。

その式典(といってもテントの中のにわかづくりの雛壇だったが)で保利代議士がこう話された。
「代議士生活の駆け出しのころから、東背振村の村長さんに「いつか小河内に来てくれ。こういうところが日本にあるということを知ってほしいから」といわれていた。
その後、文部大臣になってはじめての佐賀県入り、いわゆるお国入り、というとき、私は、ぜひ小川内に行かせていただきたい、と希望をいい、その願いが叶って小川内小学校を訪れることができた。忘れもしないが「おおいしあつこ」さんという女の子がたったひとりで授業を受けていた。たったひとりの生徒のために、学校全体でお世話をしていた。ああ、教育とは人づくりとはかくあるものか。自分はあらためて教育というものの持つ価値を再認識した。今日、この席からお話をさせていただきながら、その「おおいしあつこ」さんのお顔を今も思い出すことができる。そこに座っておられる女性ではないかと思う。お会いできて本当にうれしい」。そういうお話だった。

たしかにその方は「おおいしあつこ」さんだった。彼女は、結果的に小川内小学校最後の卒業生となり、いまは立派な大人として小川内地区にお住まいで、その日の式典にも出席しておられたのだった。

入学者がいなくなった後も廃校とするに忍びず「休校」となっていたこの小学校はついに廃校となる。

この小学校は明治5年人民共立小学校として設立された。この学校に限らず、学制発布された当時は、人民共立という形の学校が多かったという。この小学校を巡っては、小学校5、6年は村の中心地の小学校に通ったらどうかという話もあったが、教員の経費は自分たちで負担するから最後までこの学校に通わせてほしいということで、6年間通学できる状態にしていたという。本当に地域が学校を支えていたのだった。

この小河内地区には佐賀橋という橋がある。その名のとおり、佐賀藩と黒田藩との境界の橋で、当時は水争いが激しく、そのために、国境警備のためにこの小川内地区にいわば防人として武士を置いた。山内刀差しと呼ばれてずっとこの地域を、ということは佐賀藩の水を守ってもらってきた。

そういう歴史的な由緒のある地域だったのだが、このたび五ケ山ダムという福岡都市圏の住民の飲み水の確保のためのダムを作るために地区を挙げて離村すすることになった。
水を確保するために六百年前に人が住み始めたこの地区は、やはり水の確保のために、再び無住の地に戻るということなのだ。

どうか福岡県民のみなさん、このことを覚えていてほしい。

そして小川内地区のみなさん、六百年間ありがとうございました。

ふるかわ 拝

平成17年11月15日(火)
第130号  「米百俵と義務教育費国庫負担金問題」

先週の金曜日、政府主催の全国知事会議があった。政府主催ということは総理大臣はじめ、閣僚がずらりと出席するということだ。各知事は競うように挙手して自分の意見を述べる。それぞれ感心するものばかりだ。今年は「お医者さんが足りない」という声と「中心市街地をなんとかしないとまちがだめになる」というものが多かったのが印象的だった。
おもしろかったのは高橋北海道知事の北方領土についての発言だった。
「日本とロシアではさまざまな面で考え方が異なっています。たとえば、わが国では「北方領土」といいますが、かの国では「南方領土」と呼ぶのであります」。

僕は総理に対しては「義務教育費国庫負担金を地方が自由に使える一般財源にすると教育以外のほかのことに使われて教育水準の低下を招く、という意見があるが、そんな心配はいらない」という意見を言うために、小泉総理がお好きな「米百俵」にからんで以下のような発言をした。

ちなみに米百俵の話とは、越後・長岡藩の貧しかりしとき、食べるものにも事欠いていたのを見るに見かねて、だれかが米を百俵贈ったことがあった。しかし、それをもらった長岡藩では、「米は食べてしまえば終わり、本当にこの地域を救うには教育しかない」ということでその米を売って、それで得たお金で学校を作って子どもの教育に充てたという話で、小泉総理は、この話を総理就任直後の国会における演説で紹介されたことがある。

僕は総理にこう申し上げた。
「総理のおっしゃる米百俵の話は、私たちにふたつの教訓を与えてくれていると思います。ひとつは、地域というものは、食べるものを我慢してまでも、教育に力を注ぐものだということであります。もうひとつは、この米百俵の話が成立したのは、「米を贈ったのだから、食べることしか認められない。それを売って、ほかの目的に使うなど許されない」などという補助金所管省庁みたいなお役所がなかったということです。つまり、米は使い道が自由な一般財源だったからこそ、それを売って、教育費用に充てることができたのです。」

小泉総理からも、ほかの多くの閣僚の方々からもけっこう反応があった。

地方分権改革もいよいよこれからが正念場。去年は、いろいろ不満もあったが、「来年のこともあるし」ということでしぶしぶ国から示された補助金改革案を呑むことにした。

でも、今年は「来年」がない。ここできちんとせずしてどうする、ということなのだ。
皆さんのさまざまな面での応援を心からお願いしたい。

ふるかわ 拝

平成17年11月8日(火)
第129号  「電波と小説に見る地方」

NHKに文句を言ったことがある。受信料のことでも天気予報のことでもない。周波数の表記のことだ。
NHKの語学の講座のテキストを買うとそこに「NHKラジオ第2放送周波数」という全国それぞれの地域でのNHK第2放送の周波数が書いてある。たとえば九州は、熊本に始まって(電波行政を所管する九州総合通信局は熊本にあるから、だと思う。)人吉 福岡 北九州 長崎 佐世保 とそれぞれ周波数が書いてある。
あれ、熊本県の次が福岡県、となるとその次は佐賀県のはずなのにそれがなくて長崎県に飛んでしまっている。
そうなのだ。以下 大分 佐伯 宮崎・・・と結局、九州各県で佐賀県だけ周波数が書いてない。

なぜなのか。すぐにNHKに聞いてもらってみた。ぜひ佐賀(市)だけでも載せていただけないか。お願いもしてみた。でもだめだということだった。たとえば東京の周辺の神奈川や埼玉も載ってないからということのよう。でも、東京で出している電波はもともと広域(関東地方全域)用ではないのか。このようにほかにも載ってない県があるのだから佐賀だけ載せるわけには行かないとのことのようだった。でも、宮崎県なんかは宮崎 延岡 都城・・・と全部で7局も書いてある。ひとつくらい減らしてもいいではないか。そう思ったがとにかくだめだという。こういうときの仲間はいつも徳島県。見てみたら、池田 の周波数が書いてある。要するに大都市圏以外の地方においては県内一箇所くらいは書いてあるのだ。

電波が県境を越えるから、何事も県単位というわけにはいかない、というのはわかる。でもなあ。

ではこういう問題はどうか。
CDラジカセやAM・FMラジオを買うとラジオ以外にテレビの音声をラジオを通して聴くことができる機能がついていることがよくある。ところが、まあ、ほとんどといっていいが、そのTVのチャンネルは1〜12チャンネルまでで、13チャンネル以降の音声を聞くことができるものはまずない。13チャンネル以降の音声もなんとかすれば聴けないことはないのかもしれないが、いずれにしてもそういう地域に住んでいる人を前提にしていない、というのがなんだか悔しい。僕は佐賀市内のある電器屋さんで、ラジオについているテレビの音声機能のことを聞いたら「あ、テレビの音声はまず入らないと思ってください。この機能はこの地域には関係ないと思ってもらったほうがいいです」といわれたことがあった。

1〜12チャンネルだけでテレビを観ることができるのは、東京と大阪の人くらいではないのか。
福岡にしてもFBS(日本テレビ系列)やテレQ(テレビ東京系列)はUHFだ。

ああいう電化製品を開発する人って、日本全国をちゃんと視野に入れて作っているのだろうか。東京のことだけ考えて作ってんじゃないかなと思ってしまう。

いよいよテレビも、そしてラジオもデジタル化が始まる。新しい機器も開発されるという。総務省さんにお願いですが、今度こそ、全国どこの地域のこともアタマに入れた機器を開発してもらってくださいね。

小説「県庁の星」が売れている。東京でもそこそこだが、地方の県庁所在地の書店では、もっと売れているという。「世界の中心で愛を叫ぶ」にしても「野プタ。をプロデュース」にしても、小説の世界では地方都市を舞台にしたものがけっこうある。

東京と大阪を足した人口はだいたい4,000万人くらいかもしれないが、それ以外が7,000万人くらいはいる。

「地方はもうひとつのニッポン」というのは前全国知事会長の梶原さんの口癖だったが、本当にそう思う。

今週の金曜日、政府主催の全国知事会議が開催される。小泉総理の前で僕は地方分権改革について意見を述べる予定だ。地方のことをしっかり見据えてほしいということを僕なりの言葉で伝えるつもりだ。

いまその原稿を書いている真っ最中。来週のこのコラムではそのときの様子をご報告したい。

ふるかわ 拝

平成17年11月1日(火)
第128号  「日韓知事会議の夕食会にて」

昨日から日韓知事会議が始まった。より正確にいえば、海峡沿いの山口・福岡・佐賀・長崎県と釜山・慶尚南道・全羅南道・済州道 の8自治体のトップが集まっての会議で今年は福岡が開催地だ。初日の行事は歓迎の夕食会だった。

食事をしながら、最近の景気や自治体の課題について意見を交換しあう。道内の景気について聞かれた慶尚南道の知事さんは、「苦痛度が低く、まあまあだ」と答えられた。苦痛度というか苦痛指数という概念があるらしい。それは(失業率+物価上昇率)−(国内総生産増加率)で計量されるという。2005年の全国ベースの指数は11.0とのこと。
台湾でも苦痛指数があるというから、アジア共通の指標なのだろうか。っていうか、なぜ日本にはないのだろう。

このような経済関係のネタがあるかと思えば、最近はポップカルチャーの話題も増えた。「チルソクの夏」や「カーテンコール」という映画の話が山口県知事から出たかと思えば、釜山国際映画祭のことについて「オープニング上映は台湾のホウシャオシエン(候孝賢)監督の作品でしたがテーマが難解でした」と釜山の副市長が語り、「佐賀県からも職員を派遣して観に行ってもらいましたよ」と僕が発言した。「明日は漫画の交流についてぜひ議論しましょう」と福岡の知事が言ったと思えば、慶尚南道の知事が「うちではこれから「ドラマフェスティバル」をはじめようと思っています」と意欲を示す。済州道の副知事も負けずに「ドラマ「オールイン」のセットが台風14号で壊れてしまったので作り変えました。ぜひ観に来てください。」と言う。

本当にお互いの文化が身近になってきている。

こうしてお酒も入ってくると、ジョークが飛び交うようになる。お互い、政治家は苦労するわりには評価されない、という話題でもりあがって、最近、聞いたアメリカのジョークを僕がまず披露した。

妖精、酔っ払い、正直な政治家の3人が並んで道を歩いていました。そこに財布が落ちていました。さて、誰が拾ったでしょう。
 
答えは、酔っ払い。なぜなら、あとの二つは実在しないから。

大笑い。

そしたら、ある韓国側の知事がこんな話で切り返した。

ハンガン(漢江)に政治家、教師、牧師の3人が落ちてしまいました。誰から助けたらいいでしょう。

答えは政治家。これ以上、漢江を汚したくないから。

政治家に対する辛辣な批判はどこの社会も変わらないようだ。

ふるかわ 拝