2005年7月

平成17年7月26日(火)
第114号 「アスベストとコンピュータゲーム」

先日、徳島市で行われた全国知事会議の議論の中心は三位一体改革だったが、それ以外にもいくつかの興味深いテーマでの議論があった。たとえば、アスベストの問題。自治体側が要求しても、国はなかなかアスベストの製造・取扱事業所名などの情報を開示しない。こうしたことを含め、抜本的な対策を国に求めるべきという議論が活発に交わされた。

そのほかにはたとえばコンピュータゲーム。「グランド・セフト・オートV」というゲームのことが話題になったのだ。

これはアメリカのロックスターゲーム社が開発し、日本ではカプコンが売っているゲーム。聞いたところによれば、このゲーム、マフィア組織の幹部の用心棒として、次々にミッションが与えられ、それをクリアするたびに力をつけていく、というようなものらしい。問題はそのミッションの内容で、ターゲットの暗殺、銀行強盗をはじめとして、表社会ではとてもできない事柄がメインなのだという。つまり、殺人を犯したり、強盗を働いたりして成功すればするほど評価が上がっていくというゲームなのだ。
内容に問題があるとしてこのゲームを神奈川県では県青少年保護育成条例に基づく「有害図書類」に指定することを決定した。ある意味理解できないことではない。
ところが、これが指定されたことで、このゲームが脚光を浴びてしまい、このゲームの売れ行きが伸びているのだという。
それはそうかもしれない。
これが指定されたことでかえってこのゲームの認知度が高まったのは事実だし、有害図書として指定したのは神奈川県だけだから、これで興味を持った人は多摩川を渡って東京都に買いにいけば何も問題なく買えるのだから。
全国知事会議では全国で統一して規制しようというところまではいかなかったがこういうところにも目配りをする必要が出てきているんだなということを感じた。
だからといって、ゲームがすべて悪いというわけじゃない。
たとえば、「ムシキング」というゲーム。よくいく映画館の中にあるゲームコーナーにもこの「ムシキング」があるがいつも回りに小学生がたまっている。このゲームを知る人曰く「ゲームなんて、と目くじらをたてずに一度どういうものかじっくり見るといいよ。生態系を守ることの大事さや、外来種の問題も含まれていて、しかもおもしろいから」。
ほんとかどうか一度試してみないと。

ふるかわ 拝

平成17年7月19日(火)
第113号 「頼まれたものを出さない食堂」

その昔、佐賀県は佐賀市の佐賀大学の近くに中村屋という食堂があった。ちゃんぽんが名物だったが、それ以上にそこのおばちゃんが有名だった。
学生は毎日のようにその食堂に通っていた。
ある日のこと、ある学生がたまにはちゃんぽんじゃないものにしようと、親子丼を頼んだ。ところが出てきたのはやはりちゃんぽんだった。おばちゃん曰く、「あんたは学生だから野菜が足りない。親子丼じゃなくてちゃんぽんば食べんば」。

同じようなことが最近国営「三位一体改革食堂」で起きている。

その食堂のオープンの際、メニューについては、店主から「自分たちではどういうメニューがいいのかわからないからお客さんに作ってほしい」と頼まれた。それならとお客さんたちが集まって「あれを入れよう」「これは入れない」とずいぶん議論をした。お客さんによってはいろいろ考え方も好みも違ったけど、そこはなんとか話し合いでメニューを決めた。
そして、店主にメニューを提出、店主からも「ごくろうさんでした。これだけがんばってもらったんだから、これを尊重していい食堂にしますよ」と言ってもらってほっとした。そしてこのメニューを使っておいしい料理を出してくれることを楽しみにしていた。
ところが開店後、しばらくしたら、そのメニューの料理のところに次々に「売切」「品切」の文字が並びはじめた。
そして最後に「これじゃメニュー不足なので」と、おいしくないし身体にも悪いのでこちらがメニューからはずしていたものを料理して持ってきてしまったのだ。

中村屋のおばちゃんにはユーモアとお客を思う心があった。しかし、この三位一体食堂にはそこがない。ただ、食事を出しさえすればそれでいいだろう、というところが見え隠れする。

先週徳島県で開催された全国知事会議で今年のメニューが決まった。

今年こそはこのメニュー通りの料理を食べられるようにしなければ。

ふるかわ 拝

平成17年7月12日(火)
第112号 「豆腐王国」

毎週土曜日の愉しみのひとつに日本経済新聞の土曜版「NIKKEIプラス1」がある。
そこに毎週専門家によるいろんなランキングが載っているのだが先週のテーマは「おすすめの豆腐」。

その結果、堂々第一位は唐津の川島豆腐店のざる豆腐、そして輝く第三位は嬉野温泉・大正屋のとろける湯どうふだったのだ。

この記事によれば川島豆腐店のざる豆腐は佐賀県内外の契約農家が栽培した大豆「ふくゆたか」の大粒で質のよいものを使い、同じく3位の嬉野温泉大正屋のとろける湯どうふは佐賀県内で栽培した低農薬の大豆「むらゆたか」とにがり、嬉野の清水を原料にしている、とある。

そもそも佐賀県は大豆の生産が盛んなところ。だからその中からいい豆腐が出てきても不思議はないというわけだ。

ちなみにその「NIKKEIプラス1」のHPは

http://www.nikkei.co.jp/p1/ranking/

このほかにも佐賀県内にはおもしろい豆腐があちこちにある。たとえば陶都・有田にある呉豆腐。なんというかぷるんとした食感のいわばプリン豆腐。
逆に固い豆腐の代表では唐津市の離れ島・神集島(かしわじま)にある石割豆腐。とても固い豆腐で、石に落としたら石の方が割れたという伝説からそういう名前になったという。石割豆腐1丁で普通の豆腐の8丁分もの大豆を使うので栄養価は高いし、どうせ作るならこれからはぜひ佐賀県産の大豆を使ってやっていきたいということで佐賀県が仲立ちとなって、県内の生産者を紹介したばかり。

というようにまさに豆腐王国・佐賀なのだ。

このHPのみなさまからのメールでも紹介したことがあるが、このざる豆腐、遠くはNYの人気日本料理店「Meg」でも出されているらしい。

NYに行ったらチェックしないと。

ふるかわ 拝

平成17年7月5日(火)
第111号 「あるライブ」

先週の日曜日、ライブに行ってきた。といっても狭心症の手術(経橈骨動脈アプローチ法※手首からする心臓カテーテル手術)なのだ。TRAと呼ばれるその方法は画期的らしく、「より低侵襲の治療」らしい。「低侵襲」と言われてもなあ。その意味するところはどうも「患者さんの身体的な負担がより小さい」ということのようだ。どうも医学の世界は行政の世界と同じくらい意味不明の言葉が多い。
さらに驚いたのは医学界においては、実際に患者さんに手術をしながら、その様子をライブ中継する、ライブデモンストレーションというのがあたりまえに行われているらしいということだった。その日もその手術の様子を映像を通じて多くのドクターが別の会場(こないだの場合は佐賀市文化会館に350名の入場があったとのこと)で見ていて、さらにその会場では、壇上に心臓病の関係者(ドクターでしょう)が何人かいて、実際に執刀する医師と「この患者さんはこういう治療は考えられないか」とか「もっとこんなふうにしたらどうか」というやりとりをしている。

手術は一刻も争うものというイメージがあっただけに、患者さんがベッドに寝ているのに、執刀する医師が会場のドクターと「いや、それは」とか「それは後から試してみたいと思います」という会話をしていることが不思議だった。
でも、それも普通らしい。
このライブに誘ってくれた友人のドクターによれば、むしろ、いろんな人と話をしながら手術をしたほうが冷静にものを考えることができていい。なあるほど。
手術室(この場合はカテ室と呼ぶらしい)で音楽がかかっていたのも印象的だった。むかし、大阪の富田林のPL学園の野球部の練習を観にいったときも、山口百恵の「横須賀ストーリー」が流れる中、バッティング練習が行われていたのが印象的だったが、手術室で音楽。これもおどろきだった。
「おどろくことはないよ」。友人のドクターが言う。
「最近は、患者さんの希望の曲をかけるというのもはやってるんだ。大川市あたりの病院じゃ、手術のときには(地元だから)氷川きよしが人気らしいし」。

僕は素人なので医学的なことはよくわからなかったものの、手術は1時間くらいで無事終わった。いろいろ試したあげく、最後にとった方法が功を奏したようで手術が行われている「カテ室」には安堵の空気が流れた。成功したようだった。

実際に執刀していたのは友人のドクターの言によれば「日本一腕のいい」医師だったらしい。

「腕がいい、わるいってのはどこが違うの?」と彼に聞いてみた。

答えはこうだった。
「ある患者さんについて、こういう方法でやればいい、ってのは誰でも考える。それで70%の患者さんはOKだ。ただ、その方法ではうまくいかない場合もある。そのときにどうするか、ということなんだ。この患者さんの状態をよくわかった上で、これがだめならあれ、あれもだめならそれ、しかし、これだけは防がなくてはいけない、ということをどれだけ考えられるか、っていうことがポイントになる。できるだけたくさんの選択肢を考えられ、そしてそれを実行できる医師は手術の成功率が高くなり、それが結果的にはより多くの患者さんを救うことになる、ということだよ」。
この答え、はっとした。これは何も狭心症の手術のときだけにあてはまることではない。僕らが日々担当している仕事にも間通じるものがあるではないか。

遠い医学の世界が少し近くなった。


ふるかわ 拝

このライブに興味のある方は以下を見てください。

http://www.kamakuraheart.org/
(今回執刀された先生のいらっしゃる病院のHP)

http://www.radialist.com/
(今回のライブを企画したTRAという方法を研究しているサイト)


坂井医師とカテ室にて。
坂井医師は高校時代の同級生。
ながさき循環器病 院で心臓カテーテル手術を数多く手がけている。

手術を実施したスタッフたちと。
真ん中のひげの先生が斎藤医師。湘南鎌 倉病院勤務。
手術は斎藤医師を中心としながら、会話をし、つねに敏感に反応するスタッフによって進められた。