2006年10月

平成18年10月31日(火)
第179号   「子育てと紫外線」〜紫外線編〜

先日行ったオーストラリアでは、先週お話した紫外線が大きな問題になっていた。

そもそも、今回僕を呼んでくれたクレア(CLAIR:(財)自治体国際化協会)からの「旅行上の注意」に「日焼け止めとサングラスを必ず持ってくるように」と書いてあった。

ただ、あまり信じてなかった。中国を旅行するのに「濡れティッシュを持参すると便利」とか、「めがねをかけている人は万が一のためにめがねの予備も持っていったほうが良いでしょう」と書いてあるようなガイドブックの類(たぐい)と同じものだと思っていた。

日焼け止めは日常的に使っているのでいつものやつを持っていったが、サングラスは持って行かなかった。サングラスって格好つけでしょ。まさか安全器具だとは思わなかったのだ。

しかし、違った。

オーストラリアでは、多くの人がサングラスをして街に出ていた。日焼け止めも塗っているという。白人はメラニン色素が少ないので、紫外線の関係では日本人よりも弱く、そこを割り引く必要はあると思うが、これだけ多くの人がサングラスをしているとは思わなかった。

どうやらオゾン層の破壊と関係があるらしい。オーストラリアといえば暖かい国のイメージだし、それはあながち間違いではないのだが、タスマニア島の南側には南極しかない。けっこう南極に近いのだ。
南極の上空でオゾン層が破壊され始めてそれが広がりつつある。いったん破壊されたオゾン層は、フロンガスの規制をはじめ回復のための方法はいくつかあるようだが、簡単ではない。
そのオゾン層が破壊されたところからは、人体に有害な紫外線が降り注ぐという。オゾン層破壊が問題なのはそこなのだ。

繰り返しになるが、南極大陸とオーストラリアとは結構近い。だから、紫外線はオーストラリアの場合、南にいくほどきついし、このことはとても身近な問題となっているという。

オーストラリア南部に位置するシドニーに住んでいるクレアの職員の話によると、車を運転しようにも紫外線が強すぎてサングラスをかけないと前が見えないらしい。「赴任してまず買ったのはコアラのぬいぐるみではなく、サングラスと日やけ止めでした」。子供の通学のときにも紫外線が当たらないように帽子をかぶって登下校する姿がよく見られるという。

私たちの回りでも、たとえば、何気なく使い捨てしている「割り箸」。この「割り箸」のほぼ100%は中国からの輸入だ。その中国では、CO2、フロンガスの温室効果ガスの抑制や砂漠化の防止など地球環境の保護のため、森林伐採を規制し、2008年以降は、「割り箸」の輸出を停止するという報道さえある。

地球の環境をこれ以上悪化させないこと、温暖化させないことはもはや人類共通のしかも、本当に急がれる課題になっているということを改めて感じる。

ふるかわ 拝

平成18年10月24日(火)
第178号   「子育てと紫外線」〜子育て編〜

ちょっと前から紫外線が気になっていた。

どれくらい前からかというと、今年の6月16日以来だ。その日は育休(育児休業)を取っている県職員が年に1、2度集まって情報交換をする「子育て井戸端会議」の日で、そこに僕も出席して育休中の職員と意見交換をした。

この子育て井戸端会議、名前はぱっとしないが中身はいい。育休中の職員に声をかけて年に1、2度集まってもらい、最近の県政の状況や復帰後使える各種の育児支援制度の説明を県庁側がして、その合間にお互いの情報交換をするというものだ。
もちろん、託児所もある。目的は大きく分けてふたつ。復帰したときに困らないように情報をアップデートしてもらうということと、息抜き(respite)だ。

いま佐賀県庁では、希望する育休中の職員に対して、庁内ネットワークに接続できるパソコンの貸出しを行い、県庁のイントラネットと接続できる環境を作っている。育休中であっても希望すれば職場にいるのと同じ情報環境を自宅で実現することができる。
それと併せて、この「井戸端会議」を実施している。

こうしたことを通じて「いまは子育てにがんばってね」「復帰するのを待ってますから」の二つのメッセージを込めているつもりだ。

前置きが長くなったが、その情報交換の場に今回は僕が顔を出して職員と意見交換をした。そこではたとえばこんな会話が交わされている。
Aさん:ファミリーサポートセンターというのがあるっていうけど、なんか知らない人に子供を預けるのが不安。
Bさん:学童保育も、○○市内では、2箇所を除き、長期休暇中はやっていないし、平日も5時までしか預かってくれない。もう少しどうかならないか。

そうした会話の中で、紫外線のことが出た。
Cさん:最近、上の子が通っている保育所で講演会があって、その先生のお話だと、以前は紫外線は身体に良いということで日光浴をしたり、なるべく子供は外で遊ばせるようにということだったけど、オゾン層の破壊とかもあり、今は、以前はなかったような紫外線が届くようになり、身体に良くないということらしいです。

そのことが頭にあって、これからは紫外線問題に注目しておこうと思ったのが、 その6月16日だったのだ。
 
さて、そこで、というところだが、予定していた紙数も尽きた。「以下、来週に続く」ということでご勘弁。

ふるかわ 拝

平成18年10月17日(火)
第177号   「『プラダを着た悪魔』をご覧なさい!」

オーストラリアに行ったとき、機内で映画を観た。それが「プラダを着た悪魔」だった。メリル・ストリープとアン・ハサウェイが共演しているファッショナブルアンドユーモラスな映画だ。メリル・ストリープはニューヨークのファッション雑誌のやり手の編集長。とても有能なのだがそれが昂じて厳しさというか暴君ぶりが徹底している。この映画はもともと雑誌「ヴォーグ」の編集長をイメージしているというが実際にこんなことがあればセクハラならぬパワハラ問題になるところだろうというくらい朝から晩まで回りのアシスタントはこき使われている。(彼女のわがままぶりを見ていると、本当は笑うところなのだろうが、胸の中がちくっとするけどね。)
そしてこの編集長のきめ台詞が「以上よ」。英語では「That's all.」これがなんともいいリズムで心地よい。

しかも彼女や回りが着ている服がかっこよくてすばらしい。いきなりプラダをお召しになって登場したあと、エルメスもシャネルもドルチェアンドガッパーナも登場。一方で、アン・ハサウェイ演じるところの女性は、ジャーナリスト志望の地方出身者。地味でセンスのない服でそのファッション雑誌の編集長のアシスタント職に応募する。そしてこのアンバランスな二人が織り成すファッション業界をめぐる都会的で愉しい映画だった。 
画面を観ていてファッションが愉しく、会話を聞いていてその洒脱さが愉しく、最後の結末がまたなんともほろりとよい。

しかも、スタンリー・トゥッチという俳優がこの編集長の部下として働いているのだが、これがまたかっこいい。しっかりサラリーマンとして働きながらも、自分を忘れない。こういう部下っていたらいいなと多くのマネージャーは思ったことだろう。

この秋は大型映画があまりないという。

「氷の微笑2」を観るひまがあったらこういう大人の愉しい映画を見てほしいな。

以上よ。

ふるかわ 拝

※映画 プラダを着た悪魔公式サイト

平成18年10月10日(火)
第176号   「はじめて英語で講演して」

オーストラリアに行った。クレア(自治体国際化協会)シドニー事務所が主催する「持続的な発展のために環境問題にどう取り組むべきか」というテーマのフォーラムに日本の都道府県を代表して現地でプレゼンテーションをするためだ。
話があったとき、正直迷った。英語で講演なぞしたことがなかった。ただ、自分自身にとっていい機会でもあるし、なにより環境問題に関心のある100人を越えるオーストラリアの自治体幹部や議員、学者に佐賀県が進めていることを説明できるのはうれしいという気持ちもあった。どう評価されるのかということも気になった。最後はクレアのシドニーの所長からの言葉が決め手になった。
「英語の講演って僕もやったことがあるけどそんなに難しくないよ。だいたい原稿を用意しておくことが普通だしそれを読めばいいから。問題はQアンドAのほうだよ。これは予告がないし。ただ、今回は同時通訳が入るのでいざとなれば日本語で答えてもらって大丈夫だから」
これでほっとした。僕の英語力はとても中途半端で、「日常会話以上ビジネス英語未満」というレベル。日ごろ英語を使うことがないこともあってか、なかなかこのレベルから上達しない。僕はゴルフをしないけど、タマにゴルフをするだけだとなかなか100を切れないというのと似ているようなものではないかな。
ともあれ、日本語で作った原稿をなんども担当課と打ち合わせをして書き直し、そのうえで国際交流員に翻訳してもらい、それを読んでまた修正して、を繰り返して9月のアタマに原稿が仕上がった。
結論から言えば自分で言うのもなんだが、このプレゼンテーションは大いに受けたと思う。日本の、佐賀県というところがいかに環境問題に取り組んでいるのか、大変よくわかっていただけたと思う。クールビズやコピー用紙の両面使い、てんぷら油の再利用といった自治体の取り組みだけではなく、「卵の殻で作ったチョーク」という県内企業が開発した技術、さらには打ち水、風呂敷の使い方など伝統的な日本文化の持つ環境コンシャスな面についても述べた。風呂敷のところでは実際に丸ぼうろとお酒をそれぞれ包んでみせたら、会場が大いに沸いた。
今回のプレゼンテーションの様子は、「こちら知事室です」にも書いてあるのでそちらもごらんいただきたい。これは現地からライブレポートに近い形でその日のうちにアップしたもの。デジカメで撮って、ちょっとした文章をつけてメールで送信してHPにアップ、というのをオーストラリアだろうが中国だろうがおよそ出張で行くようなところであればどこにいても可能になっている。まさに地球がひとつの村になりつつあるということを感じるし、地球環境問題もこういう感覚の中で解決することが必要なのだと思う。今回の佐賀県の災害もそうだし、地球の温暖化はもはや他人事ではない。あらためて「地球温暖化を止めることは人類社会の共通の課題になっている」ことを実感した。
そんな中、面白いことがあった。
今回のプレゼンテーションの中で有明海再生に取り組んでいる姿も紹介し、その中でまず最初にガタリンピックのことを述べた。そしたら、その後プレゼンテーションしたタウンズビル市の幹部が「タウンズビルにも湿地(wetland)がある。佐賀県知事がコメントしていたように、こちらでも何かスポーツができないだろうか」と発言したのだった。韓国や中国にも同じような湿地や干潟があるというし、オーストラリアもあるのなら、世界大会でもやったらどうだろうか。
名前?
そりゃ「ワードロカップ」でしょう。

ふるかわ 拝

平成18年10月3日(火)
第175号   「あっぱれ!頭脳パン」

先週の土曜日、佐賀県に九州ではじめて高齢者をターゲットにしたシニアコンビニ「ローソンプラス」がオープンした。街なかのお店が閉まっていきつつある今、高齢者が来店しやすい店をということで開発されたコンビニで、たしかに通路も広々としているし、カートも準備してある。カートが通れるコンビニエンスってあんまり聞いたことがないのではないだろうか。ユニバーサルデザインに配慮しているだけじゃなくて実はこのローソンには地元で取れた野菜や佐賀県のお菓子を販売しているコーナーがある。また、佐賀県の広報スペースが「SAGA NEWSBOX」として取ってある。これはローソンと佐賀県が包括協定を結ぶことになったことによるものだ。そういうこともあって、先週いくつかのコンビニエンスストアを回ってみた。そこで思わぬものを発見した。
「頭脳パン」だ。
僕が以前長野県で暮らしていたとき、「中島の頭脳パン」という不思議な看板を目にしたことがあった。聞いてみると、かつて中島製パンという長野県のパン会社が「頭が良くなる中島の頭脳パン」というキャッチフレーズで「頭脳パン」という商品を出していた、その名残りだという。なんで「頭脳パン」なのかというと、ビタミンB1が頭を良くするという学説があって、それに応じてビタミンB1を多く含んだ小麦粉が作られ、それが頭脳粉と呼ばれていて、その粉を使って作ったパンだからということらしい。この学説を発表したのは慶応大学の林髞(はやし たかし)博士。この学説を発表したのは昭和35年のことだった。
最初に販売されたころは、ネーミングがネーミングだけに苦労も多かったという。「頭脳パンを食べたのに試験に落ちた」などというクレームもあったらしい。それにも対応できるように当時のパンには「頭脳パンは、小麦ビタミンB1があたまをよくするという林教授の「学説」に基づいて作られている」ということと並んで「頭脳パンを毎日食べてよく勉強して優秀な成績をあげてください」と予防線が張ってある。パンを作るほうも頭を使っていたようだ。
この頭脳粉を作っている会社はいまでは石川県にある金沢製粉だけになっているが、頭脳パン自体は一時期消えていたものが10年くらいまえに復活している。いまも東北から九州に至るまで頭脳粉を使って各地の会社が作っていて、僕がとあるコンビニで目にしたものもそのひとつだったのだ。

そうそう、この頭脳パンの理論的後見人、林教授は医学博士であるばかりでなく違う一面もあったらしい。
直木賞作家であったのだ。「木々高太郎」という人を食ったようなペンネームで昭和11年の第四回直木賞を受賞している。「木々」というのは「林」ということだろうし、「高太郎」は「髞(たかし)」という名前から来ているに違いない。当時直木賞がレベルが低かったわけではない。この人の直前の受賞者は海音寺潮五郎だし、直後は井伏鱒二なのだから。
この「頭脳」についての新学説の持ち主である林センセイの直木賞受賞作品名は
「人生の阿呆」。
なかなか味わい深い方のようだ。

ふるかわ 拝