2006年4月

平成18年4月25日(火)
第152号  「週刊ミリオネア」

先週の木曜日、クイズ・ミリオネア に出た。
といっても回答者ではない。回答者のサポーターというかお手伝いだ。
この番組は、もともとイギリスの「誰が億万長者になりたいか?」という番組がモデル。この番組の権利を持っているセラドール社から権利を取得して日本版として放映しているもので、それだからか、これまでの日本のクイズ番組にはなかったいくつかの特徴がある。

そのひとつが自分で答えがわからないとき、いくつか助けを得る手段があるということだ。
たとえば会場の皆さんがどう考えているのか、たとえば、4択を2択にして正答の確率を50%に上げるということなどがそうなのだが、それとあわせて、あらかじめ指定した人に相談することができるというライフライン(テレフォン)というのもあるのだ。

今回、僕が参加してほしいと頼まれたのがこのテレフォンだった。頼んできたのは陣内孝則。彼が回答者で、僕と彼は附属中学校時代の同級生。ということで、今回、僕も含めて4人の附属中学校時代の同級生が参加することになったのだった。

放送は20日だったが収録は3日。そもそも陣内がこのテレフォンを使ってくれるのかどうか、これを使うまえに彼が回答を間違うとその時点で終わりだから僕らの出番もないことになる。

とにかく4人の不安をよそに収録はスタートした。
僕ら4人は佐賀市内のあるホテルの一室に缶詰めになっている。コンピュータも百科事典も持ってくるのはかまわないのだが、陣内からヘルプの電話がかかってきてからこちらが回答するまで30秒しかないから、調べる時間などないらしい。スタジオの収録の様子はまったくわからず、僕らと一緒にいる番組のスタッフが電話回線を通じて状況を把握するだけだ。

スタッフからのアドバイスと指示は以下のようなものだった。

1 回答はABCDのいずれかになるが、本人にはAとかBとかではなく、たとえば「5万人」みたいに答えの内容を伝えるほうがいい。そうしないとBとDなどはまちがえやすいから。

2 30秒というのはあっという間で、30秒過ぎると自動的に回線が切れてしまう。時間内に回答を。本人が問題を伝える時間も30秒に含まれるから。

3 テレフォンが使われるのは1回だけだが、その後は本人がアウトになるまで4人一緒に問題に回答し続けてほしい。その分もオンエアするかどうかは別にして映像を撮り続ける。

そうこうするうちに本人からテレフォンが来た。「おー、古川。いいか、平成16年総務省家計調査において、一世帯当たりの貯蓄額はいくら?」

こういう感じで質問が来る。僕は電話でそれを受けているから、それを口にし、問題を書き取ってくれている仲間に伝える。つまり、本人がしゃべるのとほぼ同じ時間を仲間とのコミュニケーションのために必要なのだ。みんなでええとええとと言っているうちに電話の向こうで「時間です」という声がする。この人何を言っているのだろうと思ったらその時点でアウトだった。あとでオンエアを見たひとから聞いたら、問題を読み上げた時点で残り10秒になっていたらしい。もちろんこちらでもタイムキープの役割を決めていたのだが、わあわあという盛り上がりの中、聞き取ることができなかった。


ということで終わり。結局、その問題は本人が自力で正答し、ほっとしたけれど。

現時点で言いたいことは二つだ。
一つ目。これからこの番組に出ることがあるかもしれない人に。本当に時間がない。大声で「あと5秒!」とか言っていないと聞こえない、ということ。
そしてもうひとつ。もし、僕が回答者になることがあったらそのときも今回のメンバーにテレフォンをお願いしたい。もちろん、僕の代わりに陣内も入ってもらって。

ふるかわ 拝

平成18年4月18日(火)
第151号  「もっとAEDを!」

こないだAEDの使い方をはじめとする救命講習会に参加した。佐賀県では今年129の施設に131台のAEDを入れることにしているので僕も使いかたをマスターしておきたかった。参加者は50人。AEDを導入する予定の施設の職員や庁舎の警衛を担当している職員が主だった。AED(自動体外式除細動器)とは心臓電気ショックの器械。突然倒れたような場合、その多くは、心室細動という状態になるらしく、それを正常な状態に戻さないといけないのだが、その細動という状態をなくす=除去する ためには心臓への電気ショックが唯一の方法ということでそれを人工的に起こす器械がこのAEDらしい。

講習時間は3時間で、30分間は講義であとは実技。数人が一組になって、ひとりひとりが使い方を習った。率直にいえば、わりとかんたんである。
そもそも、どうやればいいかは器械が教えてくれる。その意味ではいちばん大事なことは器械にスイッチを入れることだといえるかもしれない。ただ、この電気ショックは相当大きいものらしい。ショックを受ける本人に他人をゼッタイに近寄らせないことがその次に大事なことだった。

この講習では心臓マッサージをはじめとする救命方法も習うことができた。これはAED以上に使うことがあるかもしれない。
僕らが習ったのは、心臓マッサージを15回して2回人口呼吸をするという15−2方式だったが、5年以上前には、心臓マッサージを5回して1回人口呼吸する5−1方式を教えていたらしい。最近はもっと心臓マッサージ重視に移りつつあるという。とくに見知らぬ他人を救命する場合は、人口呼吸せずに心臓マッサージだけでもよいと教えるようになってきているらしい。人口呼吸をする場合、感染症に罹患する危険性があることがその理由のようだ。こういうところにも時代の変化が現れてきている。

もともと、僕がAEDを知ったのは、数年前のNHKラジオ「やさしいビジネス英語」のスキットの中だった。航空機の機内で心臓発作が起きたときに対処するために機内にはAEDが積んであるという話だった。そこではじめてあの「Automated External Defibrillator」という長い見知らぬ言葉を知った。NHKの語学講座は、新しい社会の動きをいろいろ教えてくれる。社員を解雇するときに解雇しっばなしにするのではなく、ちゃんと次の就職先を見つけることを「outplacement」というということを知ったのもこの「やさビジ」だったし、地球のオゾン層が破壊されつつあることを20数年前に僕に教えてくれたのもNHKテレビの「英語会話U」だった。放送を聴くのは続かなくても、その題材を読んでいるだけでもいい社会観察になる。ちょっと負け惜しみだけど。

冒頭の講習会に話を戻そう。「AEDを使う必要のない人にAEDをしてしまったらまずいのではないでしょうか。それが心配で」。そんな声もあったが杞憂だった。
必要のない人にしようとすると「必要はありません」という音声メッセージが流れる。そこまで賢い器械なのだった。

佐賀県ではAEDのある施設にできれば3人はこの「普通救命講習」を受けた職員が配置されるようにしたいと思っている。

ふと思った。僕は一般人としてこの講習を受けたがとてもためになった。ましてや消防団員の人が受けたらもっと意味があるものにならないだろうか。火事や災害だけでなく、救命もある程度の心得がある消防団員がいるというのは地域力が増すように思うのだが。
すでにたとえば基山町の消防団ではAEDを使っての心肺蘇生法の知識を習得し始めているとも聞く。こういう試みがぜひ広がればと願う。

ふるかわ 拝

平成18年4月11日(火)
第150号  「そんなことしてる場合じゃないと思う」

国と地方がケンカをしている。
ある国会議員が「地方はうな重を食べている」と発言したかと思えば地方側からは「地方は欠食児童。麦飯を食べている」と反論。収まる様子を見せない。
確かに国は財政的に相当大変な状態にある。平成2年度に瞬間風速的に60兆円を超える税収があったものの、その後は落ち込み平成15年度には43兆円あまりに減っている。平成18年度は45兆円あまりの税収を予定しているとはいえ、この45兆円という税収見積もりは昭和63年度予算のときとだいたい同じ。税収見込みの世界においては、まだ「昭和」で足踏みしている状態だ。
もちろん地方財政も同じような状況にある。都道府県税の主力である法人2税は最盛期の平成2年度は11兆円あったのに平成14年度には6兆円と約半分になってしまった。いかに地方も大変かがわかると思う。
もちろん佐賀県とて例外ではない。ここ5年続けて15%カットで各本部に予算編成をお願いしている。そうせざるを得ない状況になっているのだ。
そういう状況の中、国も地方もそれぞれが財政を立て直していく必要があると僕は思っているのだが、そういう中で「おまえが悪い」「あんたには言われたくない」という議論になっているのは本当に残念に思う。
もともと国も地方も、日本国で暮らす国民・住民の税で成り立っている組織であり、政府だ。お互いに協力し、または役割を分担してこれまで公共サービスを提供してきた。それなのに、自分の家の前にあるごみを隣りの家の前に掃き散らすような議論になっているのは繰り返しになるが残念としかいいようがない。

三国志の時代につくられた「七歩の詩」という詩がある。作者は曹植。曹操の三男であり、ということは曹操の長男である曹丕の弟ということになる。曹丕はこの曹植と跡継ぎ争いをして勝ち取り、皇帝になったのだが、それゆえに曹植を処分しようと考えた。ただ、処分するにはそれなりに理由が要る。そこで、「曹植はつねづね自分は話をするだけでそれが詩になると言っているようである。もし、実際にやってみてできなけばそれまで世間をだましていたということになる。七歩歩く間に「兄弟」というテーマで詩をつくれ。しかも、詩の中に「兄弟」という文字を使ってはならない」。こういう難問を曹丕は突きつけたのだ。
それに対して曹植がつくったのがこの詩だ。ちなみに「豆箕」(豆がら)とは「豆の実を取り去った枝や茎」のこと。

漢文                    日本語釈

煮豆燃豆箕            豆を煮るに豆がらを燃やす
豆在釜中泣            豆は釜の中で泣いていた
本是同根生            もとは同じ根から生まれた同士
相煎何太急            どうしてこんなにまで煮て、ひどく苦しめるのですか


* 一部漢字が原文と違うところがあるがご容赦いただきたい。

(書き下し文)
豆(まめ)を煮(に)て豆(まめ)の箕(まめがら)を燃(た)く
豆(まめ)は釜中(ふちゅう)に在(あ)って泣(な)く
もと是(これ)同根(どうこん)より生(しょう)ず
相煎(あいに)る何(なん)ぞ甚(はなは)だ急(きゅう)なる

いま、国と地方でけんかをしているような場合じゃないと思うのだが。

ふるかわ 拝

平成18年4月4日(火)
第149号  「『県庁の星』をめぐる二つのうわさ」       

先日、映画「県庁の星」を観た。織田裕二と柴崎コウが主演する「K県庁」が舞台の映画だ。なぜ、県庁が舞台なのか。知り合いの某作家が言うにはこれは「準決勝戦略」というものが潜んでいるのではないかというウワサがあるという。

「大河ドラマの世界では義経や秀吉といった超大物をテーマにしたものがほぼ一巡二巡してしまい、いまや「利家とまつ」や「山内一豊」といったものに移ってきている。しかし、おもしろくないかといえばそんなことはないし、むしろその中に信長や家康が組み込まれていることによって時代が立体的に理解できるということで評判もよい。
役所の世界も霞ヶ関の役人とか国会議員の話はもう聞き飽きた。そうではなく、県庁レベルでおもしろい話がかけないのか。そういうことで県庁を舞台にすることを考えた」というのだ。その某作家はさらに語る。「大河ドラマでも、この「県庁の星」でも通じるものは「準決勝」という考え方。決勝に出てくるチームを題材にしたものは飽きが来ている。とすれば、準決勝に残っているチームをテーマにしようということ」なのではないかというのだ。

なんとなくわかるような気はするな。

映画のロケ地になったのは香川県庁だがその香川県庁がいまちょっとした来訪者ブーム。香川県観光交流局によれば「県庁舎がロケ地となった映画「県庁の星」が、現在全国の映画館で公開されており、そのロケが行われた本館21階展望室では、映画パネル展も開催され、来庁者が増えています。そこで、このたび来庁記念スタンプを作成しました。」ということだし、さらに「大勢の人が多目的で訪れる県庁舎ですが、あわせて県庁舎の建物自体や庁内で展示している美術品の素晴らしさを認識していただくために、それらを紹介したスタンプ台紙も作成しました。 このスタンプは2つ合わせて一つにもなるというユニークなデザインとなっており、本日より、1階本館受付と21階展望室に一つずつスタンプを置いていますので、ぜひ来庁の記念に押してお帰りください。」ということで台紙まで作ったという。

21階(最上階)に映画ではエスプレッソを飲むことのできる休憩室があることになっているが、もちろん現実にはそういうものはなく、展望室となっていて、「喫茶21」という普通の喫茶店があるようだ。

この香川県庁にはちょっとしたウワサがある。
この建物「平成12年完成  21階建て」とあるが、実際にはもっとある。うわさによると、「21世紀にふさわしい県庁を!」ということで21階建てにするということでスタートしたものの、21階では足りなくなり、それでも22階建てにするわけにはいかないということで中途の階を増やしたというのだ。
ほんとかなと思って各階の配置図を見てみるとたしかに「M5」という階がありそこには情報政策課がある。

うーむ。ほんとにほんとかなあ。

ふるかわ 拝