2006年8月

平成18年8月29日(火)
第170号   「ハチドリ計画と有明海再生」

僕自身が、「「こないだのNHKのニュースで知った」という人から教えてもらった」という二次三次の情報保持者なので、知ったかぶりはできないのだけど、ハチドリ計画というのがあって秘かにブームなのだという。
 
詳しくはハチドリ計画のサイトhttp://hachidori.jp/home.html
に載っているので、それを見てほしいのだが、僕の理解によれば、このハチドリ計画のメインとなっているのは地球温暖化防止を進めていこう、そのためにも地元の食べ物を大切にしていこうという運動だ。
温暖化防止のためにひとりでできることなんか限られている、とふつうは思っていまうのだが、本当にそう?とこのハチドリ計画は投げかけている。
 
なぜ「ハチドリ計画」?なのか。ハチドリは、鳥類の中でいちばん小さな鳥。ブンブンと蜂のような音を立てるのでハチドリ。ようするにとてもとても小さい鳥なのだ。
それをアタマに入れつつ、次の詩を読んでみてほしい。(上のハチドリ計画のサイトにあります。)

南アメリカの先住民に伝わるハチドリの物語

あるとき森が燃えていました

森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました

でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴づつ運んでは
火の上に落としていきます

動物たちがそれを見て
「そんなことをしていったい何になるんだ」
といって笑います

クリキンディはこう答えました
「私は私にできることをしているの」


ひとりひとりのできることは小さくても集まれば大きな力になる、というのは地球温暖化やフードマイレージの問題だけではない。
いま、有明海の沿岸にはすさまじい量のごみが堆積している。こないだの台風や大雨、その他の理由でいろんなところから流れ着いたものが山になっているのだ。筑後川の上流は大分県だから大分県内の地名の入ったお店のごみもあるし、有明海沿岸各地のごみもたくさんある。でも処理しなければならないのはその沿岸の自治体。今年はとくにひどい。

そこで8月31日と9月1日に有明海問題に関心を持つ人たちが集まってクリーンアップをすることになった。ごみは膨大。しかもひとりで処理できる量は限られている。でもひとりが参加した分だけ確実に有明海はきれいになっていく。
ハチドリ計画と有明海の再生は相通じるものがある。

9月1日は午前6時45分から佐賀県佐賀郡東与賀町の干潟よか公園付近でこのクリーンアップはスタートする。

僕も行く。多くの人に参加してほしいと心から願う。


ふるかわ 拝

平成18年8月22日(火)
第169号   「日曜日の夜の秘かな愉しみ」

日曜日の夜というのは特別な時間だ。もちろん今の僕の立場では土日も仕事が入っていることが普通なのだが、それでも土日は気分的にゆったりする。その分、日曜日の夜がコワい。できるだけ刺激的な情報は摂らずにおだやかな気持ちで明日から始まる一週間を迎えたいと思うのだが、最近はついつい午後10時スタート(STSなどCX系列)の「週刊人物ライブ スタ☆メン」を見てしま う。
この番組の司会をしている爆笑問題の太田光の発言が楽しみなのだ。彼のコメントは笑いを誘うが見事なまでに毒を含んだメッセージとなっていると思う。
それをお笑いというオブラートでくるんで視聴者にぶつけてきているので、「なんちゃって」風なのだが、全く言いえて妙だと感心することが多い。

何週間か前になるが、亀田興毅とランダエタの試合のことが番組の中で取り上げられたことがあった。もう一方の司会の阿川佐和子が、街の声やyahooのアンケートなどを使いながら、今回の結果について疑問が多い方向からの紹介をした。yahooのアンケートでは95%(だったと思う)の人が判定がおかしい思っている、というような結果だったと思う。また、輪島功一さんやガッツ石松さんらボクシングの専門家の意見もまとめられていたがこれによれば半々で意見は分かれていた。

こういうデータを見せられたとき、一般的なコメンテータはどうまとめるだろうか。無難なのは「多くの人が首をかしげる判定ということでファンは納得していないようですね」みたいなものだろう。この手のものは番組で取り上げられた街の声のうちいちばんアタマに取り上げられた人の意見にやや傾斜してコメントをしておけばだいたい済むのだから。

ところが、太田はそういわなかった。録画していたわけではないが、彼の発言はだいたいこんな感じだったと思う。

「yahooの数字を見ると圧倒的に判定がおかしいという人が多かったという結果のように見えますけど、投稿した人は真剣に考えて入れたんですかねえ。軽い気持ちだったんじゃないでしょうか。そもそも、これに票を入れた人の多くはボクシングについてはいわば素人なわけじゃないですか。その人たちが軽い気持ちで入れた結果がこうなっているということなんじゃないですか。「95%の人が判定がおかしいと思っている」というと、なんか明白な事実が示されているように思うけど、それは実は軽い気持ちで入れた人たちによるものの結果なんだと思うんですよね。だからそこをあまり重要視してはいけないんじゃないかと思うんですよ。ボクシングの専門家の意見は二つに分かれているようですけど、それはつまりそれだけ難しい判定だったということで、専門家からみれば亀田の勝ちということも充分ありうる結果だったと考えるべきなんじゃないですかね。もし、一般の人の意見を重視すべきだとしたら、ボクシングの試合はジャッジは要らないんじゃないですか。yahooの投票で決めればいいということになると思いますよ」。

うーむ。

政治とボクシングはもちろん違う。「叩かれる」ところしか似てないけれど、でも太田の発言、なんか気になってしかたがない。

ふるかわ 拝

平成18年8月15日(火)
第168号   「ユニクロ」

こないだ、ユニクロに行った。広い店内を回りながらそこそこ買い込んだ。店の中ではお客さんが自由に服を手に取っている。

前にユニクロの経営陣の人に会ったときに言われた言葉を思い出した。
「私たちは、本を選ぶように服を選んでほしいと思っているんです。だから、自由に手にとって選んでほしいんです」。
だからなのだろう。ほかの店に比べてお客さんが自由にというか好き勝手に服に触っている感じだ。
また、ユニクロを運営しているファーストリテイリングは障碍者雇用率が高い会社だ。法律で決められた障碍者雇用率が1.8%であるのに対しこの会社は7.7%。なぜこうなったのか。ユニクロのHPではこう担当の方が語っておられる。

(以下引用)
最初は、法定雇用率を満たすにはどうしたらいいか、という議論から始まりました。企業としては、法定雇用率を満たしていない場合、それに応じた納付金を納める、という選択もあるのです。
しかし、実際に障害のあるスタッフが働くユニクロの店舗で、サービスが向上するケースが見られました。たとえば聴覚障害のある方が働く那覇の店舗では、聴覚障害があるからこそ、そのスタッフは人一倍お客様が何を求めておられるかに敏感に対応していましたし、一緒に働くスタッフも、トイレのある場所を案内することはできても、商品の詳しい説明は難しい聴覚障害のスタッフをカバーしようと、チームワークの意識が高まっていったのです。実際に、店舗全体の雰囲気が向上し、サービスの質も上がっていました。
そのようなケースを見て、これは全店で障害者雇用を進めよう、ということになったのです。
障害者には重度、軽度がありますし、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内臓障害、知的障害、精神障害、など様々な障害があります。ユニクロでもっとも多いのは知的障害の方です。段ボールで入荷した商品を一点一点ビニール袋から取りだして、商品の種類別、サイズ別、色別に並べ直す作業や、店舗のオープン前の清掃作業など、お客様の目に触れない裏方役として働いているケースが多いので、気づかれないこともあると思います。
採用については、主に、それぞれの地域の障害者職業センターに障害者として登録されている方が、カウンセラーの方のサポートを得ながら応募されるケースがほとんどです。まずは一緒に、
二、三ヶ月働いていただいて、障害者の方に店舗で働けるかどうかの判断をしていただきます。私たちもどのようなコミュニケーションをとれば一緒に働けるのかを個々に検討しています。そのよ
うなジョブコーチやトライアル雇用の期間を経てから、本採用になります。
ユニクロの障害者雇用について、店舗サイドと障害のあるスタッフと双方にアンケートをとったことがあります。すると、それぞれ七割以上の割合で肯定的な回答が得られました。店舗が障害者雇用を「やらされている」と感じているケースはほとんどない、といってもいい状況です。障害のあるスタッフも働く意欲と社会参加を実感しているケースが多いようです。
一店舗一名以上の採用が私たちの目標ですが、現実的にはまだ七割から八割程度の店舗での採用に留まっているのが現状です。法定雇用率を上回ってはいますが、まだまだこれからだというのが私たちの実感です。これからも、お客様へのサービス向上につながる障害者雇用に、引き続き積極的に取り組みたいと思っています。

(以上引用)

この話をある有名な「事業所」の採用担当の方に話をしたら、その方がこんなことを教えてくれた。その職場にこないだ東大の学生が就職のため職場訪問に来たときの話だ。

採用担当:バイトは何してましたか?
東大学生:ユニクロで働いてました。
採用担当;ユニクロには障碍のある人が働いていたんじゃない?あの人たちはどういう仕事をしているの?
東大学生:だいたい服をたたむ仕事がメインですね。服はすぐぐちゃぐちゃになりますし、それでいいというのが方針ですから。
採用担当:その人たちの働き具合はどう?
東大学生:働き具合ですか?服を丁寧にたたみなおすことにかけては僕はぜんぜん太刀打ちできませんでしたね。
採用担当:なんだ、東大生の方が生産性が低いのか。

その話を聞いて僕も笑った。

ふるかわ 拝

平成18年8月8日(火)
第167号  「コンマ1秒の節約」

先日、早稲田大学大学院公共経営研究科の公開講座にパネリストとして出席した。ここ数年、この時期に早稲田大学大学院公共経営研究科では創始者大隈重信氏の出身地佐賀県でセミナーを実施していただいている。公開講座はその一環で仕掛け人は北川正恭教授。北川教授は、三重県知事退任後この公共経営研究科の教授を務めておられ、その関係で毎年佐賀県にお越しいただいているというわけだ。いつも新しいことを教えていただく北川教授から今回教えていただいたのが選挙管理委員会の開票事務のスピードアップ、題して「コンマ1秒の節約」だった。
選挙の開票には時間がかかるというのが常識だ。でも、たとえば、東京都の多摩市は46分、府中市は33分で開票作業を終了させ、最終的な「確定票」を出したという記録を持っている。学生時代のテストでも、できのいかんに関わらず、採点結果は早く知りたかったではないか。早く確定票が出れば選挙の関係者も喜ぶし、それ以上に、早く結果を知らせるべきだということが公職選挙法に書いてあるのだ。

公職選挙法第六条(選挙に関する啓発、周知等)
 2 中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、選挙の結果を選挙人に対してすみやかに知らせるように努めなければならない。

だから、早く確定票を出すことは、この法律の趣旨に叶うし、関係職員の負担の軽減にもなるし、結果として残業手当の支払いも減り経費節減にもつながることになる。
北川教授にいただいた資料によれば、たとえば開票事務の机の高さを変えるだけでもいいという。10センチ高くするだけで立って作業することができるようになり、スピードアップができるというのだ。また、100票ごとにまとめて輪ゴムで束にしているのをトレイに入れる方式にすることによって束ねる時間が節約できるという。北川教授はこの「コンマ1秒」に取り組む自治体を全国に広めたいとおっしゃっている。
先週の日曜日に実施された長野県知事選挙、結果だけでなく、僕はある数字に注目していた。小諸市選挙管理委員会が確定票を出すまでに何分かかるかということだった。小諸市選挙管理委員会は今回この「コンマ1秒」に挑戦していたからだ。
大々的に選挙結果が報じられた月曜日、北川教授から連絡があった。選挙結果についてではなかった。「小諸市な、34分で確定票出したぞ。日本記録にあと1分やった」。

開票が正確でなければもちろん意味がないがこういう競争はいいと思う。佐賀県内の自治体にもぜひこうした取り組みの様子を紹介してみたい。

ふるかわ 拝

平成18年8月1日(火)
第166号  「統一という言葉から 後編」

先日、韓国の人からおもしろい話を聞いた。
日本語の堪能な20歳代後半の彼女は、小学校の頃は「反共」教育を受け、当時は「北朝鮮には鬼が住んでいる」と本当に思っていたという。
その後、キム・テ・ジュン大統領が登場して北朝鮮との関係もずいぶん変化があって、最近ではもちろん北朝鮮にも同じ民族が住むということを当たり前のこととして受け入れることができるという。 

「北朝鮮のことをどれくらい韓国の人は知っているのだろう?」そっと尋ねてみたらこんな答えが返ってきた。

「いま、韓国では「南北の窓」や「統一展望台」というテレビ番組があって、毎週北朝鮮についての情報が放送されています。ですから、かつてと比較するとずいぶん北朝鮮についての知識は増えていると思います。ただ、だからと言って、理解が進むかといえば、それは別問題かもしれません。
たとえば、言葉の問題です。50年以上にわたって、別々だったのでずいぶん違いも出てきていますから。」

たしかにそうかもしれない。僕が聞いたことがあるだけでもいろいろある。
単純な発音だけでも、「李」さんのことを、韓国では「イ」、北朝鮮では「リ」と発音するとか、「旅行」のことを韓国では「ヨヘン」だが北朝鮮は「リョヘン」というとか。
また、外来語を使わないので、韓国で「ジュース」というものが北朝鮮ではタンムル(甘い水)となるとか。
また、政治体制の違いから食堂で店員さんを呼ぶときにも、韓国でよく使われる「アガッシ」は北朝鮮では使われず、「チョプテウォントンム」(接待員同務)というらしい。中国で一時期「同志」という言葉が使われていたように。

彼女は続けた。
「たとえば、北朝鮮のサッカーの試合では「キックオフ」や「オフサイド」という言葉がありません。たとえばキックオフはチョッチャギといいます。「初めての蹴り」という意味です。オフサイドはコンギョクオギムといいます。「攻撃を破る」という意味です。
これくらいならまだわかるのですが、北朝鮮では安全ベルト(シートベルト)は「机のひも」、ストッキングは「靴下ズボン」といいます。こうなればもうわかりません。別の言葉のようです。
もちろん、もともと同じ言葉なのですから、わからなくなることはないと思いますが、ニュースなどの番組を観ていて10割わかるという感じじゃないですね。8割から9割じゃないでしょうか。」

ドイツと韓国の違いはいろいろあると思うがおそらく北朝鮮においては自由にテレビやラジオにアクセスできる状況にはないだろう。情報の流通が絶対的に足りないという点が大きく違うかもしれない。
一日も早く同じ言葉で同じ民族が話をすることができる日が来ることを願う。

ふるかわ 拝