2009年1月

平成21年1月27日(火)
第291号「オバマはなぜ『黒人』なのだろうか」

バラック・フセイン・オバマ大統領が始動した。まずは期待感を持って見つめていたいと思う。
これまで、僕はオバマ大統領が「黒人初」という言い方をされることについて、素朴な疑問を持ち続けてきた。つまり、「お父さんはケニア出身の黒人だが、お母さんはカンザス州出身のスウェーデン系白人で、その二人の間に生まれたオバマがなぜ『黒人』となるのか」ということだ。(この疑問は僕だけものものでないらしく、なだいなださんも「ちくま」12月号に「オバマは黒人か」と題したコラムでも取り上げておられた。)

いろいろ調べていくうちに「ワン・ドロップ・ルール」というものにたどり着いた。
少しでも黒人の血が混じっていたらそれは「白人」とはならない、というものだった。かなり危険な思想だというほかないと思う。
だからマライア・キャリーも「黒人」となるわけか。

さらにいえば、そのルールを維持するため、かつては「異人種間結婚禁止法」が多くの州に存在していたこともわかった。この法律が合衆国憲法に違反し無効だとする歴史的判決が連邦最高裁判所によって示されたのは1967年、今からほんの40年前のことだ。それでもいくつかの州ではこの法律は残り続け、唯一最後まで残っていた南部のアラバマ州でこの法律が廃止されたのはなんと2000年のことだった。

オバマがメディアでどう表現されているのか調べてみた。
僕の調べた限りでは、佐賀、西日本、朝日、毎日、読売、日経、産経各紙は「黒人初」的な表現を使っている。唯一朝日のアメリカ総局長の舩橋洋一氏が「非白人系」と書いていたのが抑えた表現として目についたくらいだ。
テレビもすべてのキー局で「黒人」という表現を使っていた。海外のメディアでもたとえばCNNにしてもNYタイムズも「black」という表現を使っていた。
「African American」 という表現も使われてはいたが。ここにも「ワン・ドロップ・ルール」が適用されているのだろうか?

ためしにNHKに聞いてみた。「なぜオバマのことを『黒人』と呼ぶのですか?」。
答えはきわめてシンプルだった。「本人が自分のことをそう呼んでいるものですから。

オバマ大統領就任式は異様なまでの盛り上がりだった。米国民はもちろんだったが、ワシントンから遠く離れたわが国においても、多くの人がこの歴史に残る就任式の様子をテレビで観た。
就任式の開始時刻は現地時間1月20日午前11時半で、日本時間だと21日深夜1時半(午前1時半)だった。それにもかかわらず視聴率は5.9%だった。
一方、同じ日にわが国の国権の最高機関である国会では参議院予算委員会において麻生総理に対してこれまた歴史に残る漢字テストが行われていた。こちらの視聴率は3%台だったと聞く。

ふるかわ 拝

平成21年1月20日(火)
第290号「旬果旬菜『さがほのか』編」

「知事の旬果旬菜セールス」という月1回の県産品プロモーション企画を去年からスタートさせた。このコラムでも紹介したことがあるが、第1回目は佐賀のお米をたくさん売っていただいている東京のお米屋さんで、第2回目は佐賀牛を買っていただいている大阪の食肉市場で、それぞれ僕がトップセールスをするというものだった。

今回は日本橋の三越本店でいちご「さがほのか」の宣伝にチャレンジした。
三越本店は去年の5月以来になる。お中元の時期に「佐賀海苔有明海一番」を催事場で宣伝させていただいたのだ。
一年間のうちに2度も三越本店の売り場に立つことができるのはありがたい。
今回はいちごのシーズンに合わせて全国各地のいちごをずらりと並べた「いちごフェスタ」が催されていて、その一環で「さがほのか」の販売を強化しようというものだ。
地下1階のいわゆるデパ地下の一角にフルーツのコーナーがあり、その近くにいちごフェスタの会場も設けられている。そこにはたとえばいちごのショートケーキにしても「さがほのか」だけではなく、「紅ほっぺ」や「とちおとめ」のいちごショートケーキも並んでいるし、その横のピエール・エルメのショップにもいちごマカロンが置いてある。
とにかくいちごの見本市みたいにいろんないちごがいろんな加工をされていて売り場に赤い花が咲いたようだった。
そこに「さがほのか」が1個105円で売られている。たしかにとてもきれいだ。
神埼市の農家のものだという。
かつて知事になりたてのころ、旧神埼郡千代田町のいちご農家の視察に伺ったことがあった。いちごの収穫は寒い時期の、しかも、朝早く行われる。実際にいちごをひとつひとつ摘んでおられる姿を見せてもらった後、お話を伺ったのだが、とても印象に残ったのが「『さがほのか』の前には『とよのか』を栽培していたけど、あれだったら息子に継がせていなかった。『さがほのか』が出てきたから息子に継がせる気になったんです。」という言葉だった。
「とよのか」そのものもおいしいいちごの品種であるには違いないのだが、形がばらばらであまりそろっていないのが難点だ。パック詰めしようにも形がそろわず、それは苦労したのだという。「さがほのか」はその点、粒が揃っていてきれいで、パック詰めもしやすく、そのうえわりと硬い品種なので指で触っても形が崩れることが少ないという。
「だから『さがほのか』なんです」。そういう農家の声は多く、かつては佐賀県内だけで栽培されていたのだが、僕が知事になって「さがほのか」を全国に広めようということで県外の農家が栽培することにOKを出した。目標は全国シェアを15%にすることだった。そして平成20年産の品種別のシェアでは「とちおとめ」に次いで「さがほのか」が全国で2位、シェアは17%となった。
もちろん、生産者にとってプラス、というだけではこの数字は確保できない。日持ちがいい、甘さと酸っぱさが程良く調和している、などお客様から見ても魅力のある品種だからなのだと思う。いちごフェスタのケーキ売り場の人も「『さがほのか』のショートケーキがいちばん出てます」と言ってくれた。たしかにショートケーキが売ってあるスペースも、ほかの品種に比べて「さがほのか」の方が広かったな。
ところで気づいたことがある。セールスを終え、売り場からバックヤードに戻るとき、お店の人たちは売り場に対して正面を向き、一礼してからバックヤードに下がられるのだ。売り場そのものやそこにいらっしゃるお客様への敬意の表れだと思うが、見ていてまことに気持ち良い。神聖な気分にさえなる。
そういえばその昔、中学生のころ、僕は学校の行き帰りに校門のところで一礼していた。 なんでだったんだろう。たぶん「とにかくそうしなさい」と誰かから言われたのだろう。
でもそういう「場」に対する敬意というものはなくしちゃいけないとこの歳になると思う。

ふるかわ 拝

平成21年1月13日(火)
第289号「シルバーウィーク出現!」

新しい年の前にカレンダーが届くとまずやることがある。その作業を行うためのカレンダーは日めくりではいけないし、毎月ごとのでも2カ月一緒のでもいけない。1年の暦を一度に見ることのできるタイプ(銀行なんかがくれるやつ)でなければならない。それで何をするのか。

休日の確認だ。
僕は健康保険や年金は地方公務員共済組合にお世話になっているのだが、地方公務員法の適用を受ける一般職の職員ではないから、要は経営者と同じで毎朝8時30分に出勤することが求められないかわりに、朝早くでも土日でも必要なときは働くことになっている。だから、カレンダー上休みが増えようが減ろうが関係ない、といえばそのとおりなのだが、それでもわくわくするのは事実。

今年のカレンダーのポイントは9月だ。みたことないような日並びになっている。
9月19日(土)から23日(水)まで週休二日制であれば5連休になるのだ。今年は5月の連休も5連休でまったく同じ曜日の並びだ。
春と同じくらいの大型の連休が秋に出現することになる。

なんでこういうことになったのかというと、もともと数年前に敬老の日が「9月第三週の月曜日」と定められ、必然的にそこが3連休にはなるのだが、去年の場合9月1日が月曜日だったので第三月曜日は15日だった。今年は9月1日が火曜日なので、敬老の日が去年とはいわば一週間ずれてしまっている。そのことに加え今年は秋分の日が9月23日の水曜日。となると土日月は敬老の日3連休で、水曜日も祝日、その間にある火曜日だけが平日になりそうだが、「祝日と祝日に挟まれた日は休日とする。」という法律により、この火曜日も休日になるから、ということなのだ。

ただ、9月のこの期間は議会中なので何をするのかといわれても少しほっとするくらいしかできないのだけど。

この秋の大型連休には実は名前がある。「シルバーウィーク」という。

春の大型連休のことをゴールデンウィークと呼ぶ。これは映画業界の宣伝合戦の中で生まれた言葉のようだが、業界では、これと対になるものとして、「秋の文化の日を中心とした期間をシルバーウィークと呼ぼう」と唱えた。

それが昭和20年代後半のころだ。当時は9月15日が敬老の日で、9月21日前後が秋分の日だったから連休というイメージもなく、あまりはやらなかったのだがそれが今年になってまさに「シルバーウィークという名にふさわしい日並びになったということだ。

ゴールデンに対抗するから「シルバー」なのだが、いまの感覚だと敬老の日を含むからシルバーという意味なのかと思われるかもしれない。

ふるかわ 拝

平成21年1月6日(火)
第288号 「いただいた年賀状の中から」

明けましておめでとうございます。

ここ数年1月の第2週に成人の日3連休が入ってきていたためなんとなくだらだらとした年頭を迎えていた。
今年は年末年始が9連休とめったにない大型休暇だったし、成人の日が第3週にずれ込んでいることもあっていきなり月曜日から金曜日まで一気に働くことになる。ウォームアップなしに全力疾走するような感じもするが、そういうことも言ってられないということだろう。

そういう中、今年もたくさんの年賀状をいただいた。今年は例年にまして経済関係のことをコメントされていたものが多かった。その中で印象に残ったものをいくつか紹介させていただきたい。

(テレビ関係)
テレビもいよいよ不況業種になってきました。次の決算では赤字になる局が増えてくるのではないでしょうか。
もう金額の高いタレントは難しい時代です。みのさんなどの大物には受難の時代になるかもしれません。
(新聞・雑誌関係)
輪転機を回すのも大変な時代です。
もうとんでもない状況と言ってもいいと思います。
テレビや新聞・雑誌の業界の人から危機感溢れる声が多かったというのがいちばんの驚きだった。
たしかに主要な広告主である自動車メーカーの大幅な業績落ち込みの影響は大きいだろうし、短期的な観点から新聞の広告料が果たして効果に見合っているのかということを広告主がぎりぎりチェックをし始めたら大変なことになるのかもしれない。

旅行関係
韓国は絶好調ですがchinaが弱くて困っています。
近いところは人気なので佐賀県にはチャンスですよ!
韓国は日本人がどっと押し寄せていて飛行機が取れない状態なので、いわばあぶれたお客様が香港やマカオに行っているという話もあった。

自治体関係…観光
観光が大変です。経済が悪くなって真っ先にここに来ています。
長らく隆盛を見てきた本県観光も急激に悪化してきています。
この2つは挙げてもかまわないと思うが、長野県と沖縄県の方からのもの。このふたつの県の方からのものには観光の大変さを訴えるものが多かった。ただ、長野県の方からは「こういうときだからこそ、信州が得意としてきた『モノづくり』に目を向けるべきだと思います」というものがあったし、沖縄県の方からは「この際、沖縄農業に人材を振り向けることができるようになればと思います」というのもあった。

自治体関係…財政
我が県の状況も様変わりです。
久々に地方勤務になってこんなに財政状況がひどくなっているとは・・・驚きました。
これは別にびっくりするようなことはないのだが、ちょっと前まで好景気を謳われてきた地域も状況が一変しているし、霞ヶ関から自治体に来てみると聞きしにまさる状況ということなのだろう。

でも中にはこんなコメントもあった。

(外資系)
明らかにルールが変わりつつある局面なのだと思います。これからのルールを誰が作るのか、しっかりと見極めて行動していきます。
厳しい局面ほど、さまざまなチャンスがあるはず。元気に、前向きに、かつおだやかに、世紀の荒波を乗り越えていければと考えております。
(金融関係)
むしろ去年は前半が大変でした。後半ようやく落ち着いて相場を張ることができるようになりました。

このほかお目にかかった県内のある製造業の社長さんはこうおっしゃった。
うちは実はけっこう忙しいです。カレーライスのルウを作る工場用の機械の注文が来てまして。不景気になると外食が減って家でご飯を食べることが増えるでしょ。そしたらカレーライスのルウの売り上げが増えるんです。だからそういう工場は大忙しでその機械の注文が来たというわけなんです。どういう世の中になっても、どこかは、何かは動いているってことなんですね。

なんか少し元気が出るではないか。

ふるかわ 拝