2010年9月

平成22年9月28日(火)
第378号「パスポートは何日で取れるか?」

あなたの住んでいる県では、パスポートを取るのにどこに申請しているだろうか?
旅行代理店を通じて、という人もいるだろうが、個人旅行が増えてくるにつれ、自分で申請・受取をすることが当たりまえになってきている。
佐賀県では、3年前までは、県庁のパスポートセンターに申請をしてセンターで受け取るというのが基本で、県庁所在地である佐賀市から離れた唐津市や鳥栖市などでは、一週間に一度、センターによる出張窓口が設けられていた。
そこではたとえば木曜日に申請しておくと、翌週の木曜日に受取ができる、という具合だった。
これがいま、佐賀県では大きく変わっている。

まずひとつ。
申請先も受け取る場所も市町村役場になった。わざわざ県庁に出かけたり、出張窓口の日程に合わせる必要がなくなった。僕は今から20年ぐらい前から、パスポートの申請・交付は市町村役場で行えるようにすべきと主張してきた。
遠くでやってきたことを近くで処理してもらえるようになるのは便利なのだし、そもそもパスポートを申請するために必要な書類は戸籍抄本や住民票(当時)なのであって、これらはいずれも県庁にはない書類だ。それを市町村役場まで取りに行ってそのあとに今度は県の窓口に、というのは僕ですら面倒に思っていたくらいだ。
それともうひとつ。
これまでパスポートを受け取るのに一週間かかっていたのが6日間でできるようになった。つまり木曜日に申請したとすると、これまでは受け取れるのが翌週の木曜だった。それがいまでは水曜日に受け取れるようになったということだ。
しかも、市町村役場で。
つまり手間ははぶけているし、しかも、受け取るまでの時間は短くなっている。
市町村役場で手続きができて、しかも6日で受け取れる。このサービス内容は日本一で、ほかの県の追従を許さない。

こうした改善のアイデアは、実は僕が言い出したわけではない。
職員が自分たちの仕事のやり方をどう改善していくかという「SMILEプロジェクト」という運動の中で、気づき、改善していったもののひとつの成果なのだ。
「これまで処理していた事務のひとつひとつを自分たちで見直した結果、日数を短縮することが可能になりました」と担当はさらりと言う。さらに驚くのは「まだまだ短縮が可能ではないかとさえ思っている」と言うのだ。
SMILEプロジェクトのモデル所属のひとつである佐賀県庁国際課が見せてくれている成果、これからもますます楽しみ。グローバル化対応にも中心的な役割を果たしてもらわなければならない。

いよいよ上海万博「佐賀県の日」・上海での県物産展も今週となった。みんなの力でなんとか成功させたいと願う。


ふるかわ 拝

平成22年9月21日(火)
第377号「菅改造内閣発足!」

菅改造内閣が発足した。
世間的には、代表選挙は菅総理圧勝のように言われているが、僕の見るところはちょっと違う。

数字は次のとおりだ。(敬称略)   
単位: ポイント
小沢
党員・サポーター  249 51
地方議員 60 40
国会議員 412 400
合 計 721 491
                                         
これだけみれば菅総理の圧勝に見える。

しかし、党員・サポーター票は、その地区において1票でも多かった候補者が1ポイントを獲得するという総取り方式だ。それを見るとたしかに佐賀県も3選挙区 のすべてにおいて菅候補が勝利していて、ポイントでいえば菅:小沢=3:0 になっている。(以下比率に関しては、すべて菅:小沢)

ところが、実際の党員・サポーターの投票結果のナマ数字は、県内3区合計で1,371 票:897票 だ。

これはざくっと比率でいえば 1.5:1 になる。

全国的に見ても同じ傾向で、全国の党員・サポーターの総得票数は 137,998  : 90,194。
だいたい佐賀県を100倍したような数字になっている。つまり、比率で いえば、これも1.5 : 1 (4倍すると 6:4)。

つまり、ナマの票そのものからいえば、党員・サポーターも、地方議員も 6:4 で、国会議員はほぼ 5:5 だった、ということができるのだと思う。

何がいいたいのか。

改造内閣は国民からはかなり高く支持されているようで、それはそれで民意の 表れだ と思うが、なにより今度の政権には継続審議になっている地域主権改革三法案など、 いろんな法案や予算案を成立させてもらわなければならない。しかし、参議院 において野党が多数であるということは、与党が一致団結して国会運営に当たっても なお、法案が成立するかどうかは不透明な情勢だということだ。それなのに選挙結果 を分析 すると確固たる党内基盤が確立されていない状況で、しかも挙党一致という雰 囲気を 今回の内閣改造からは十分に感じ取ることはできなかった、ということだ。 野党との協議をよほどしっかりやっていただいて、なんとかして法律を成立させるこ とを強く希望したい。

余談になるが、今回の内閣改造のひとつの目玉は片山善博さんの総務大臣起用だ。

僕はかつて役所時代、片山さんと一緒に仕事をさせていただいたことが何回かある。片山イズムというのは当時から独特でいつもストレートの直球を投げ込んでおられた。

片山さんは、バブルの後始末の時代に自治省固定資産税課長をされていたことがある。固定資産税は、3年に1度評価替えがあって、そのときの土地の価格が基本になってその後3年間の税額が決まっていくという仕組みになっている。土地の値段が上がる局面では、評価をしたときよりも土地の価値が上がっていくから課税すると きには 実勢価格はもっと上がっている。要するに何年か前の土地の値段で課税されるという ことになり、土地の所有者から見れば悪い話ではなかった。

それがバブル崩壊の後は状況ががらりと変わった。土地の価格は下がっていくのに前 年や前々年の土地の価格を基準として課税されたらたまったものではない。と くに都会は地価の変動が大きく、東京都をはじめ各地で納税者の反乱が起きていた。訴訟も起こされた。

そういうなか登場した片山課長は、それまで自治省の人たちが考えつかなかった、しかし、多くの人たちならすぐに考えつく政策を打ち出した。それは「かなり負担感の高かった都市部の固定資産税を毎年下げる」というものだった。その代わり、(ここが片山さんの役人として優秀だったところだが)土地の価格に対して税額が比 較的低 かった地方部においては、より実勢に近い形で課税を行うことにして、地方税収全体 としては固定資産税の税収を確保することができるようにした。

こう書くと誰でもできそうに思うが、地方税収を1円でも多く確保することが至上命題であった当時の自治省税務局で都市部の固定資産税を下げるという発想は新鮮だった。

今回の総務大臣ご就任は満を持してのところがあると思う。片山大臣にとって総務省 は「古巣」ではない。地方側に対して厳しい指摘や方向付けも出てくると思う が、ど ういうところで片山イズムが出てくるのか、僕としてはそれを楽しみにしている。

光が降り注ぐ太陽エネルギーのような感じだった原口大臣とはちがって片山大臣はキリッとした厳父の雰囲気。あらためて地方自治の教科書をひもとき、地方自治とは何のためにあるのか、を自問する機会が増えそうだ。そのことが我が国の地方自 治の深化につながると期待したい。


ふるかわ 拝

平成22年9月14日(火)
第376号「はやぶさの川口さんに来ていただいた」

「はやぶさ」のプロジェクトマネージャ、川口さんに佐賀県に来ていただいた。
9月12日(日)。この日は宇宙の日だ。日本人宇宙飛行士の毛利衛さんがスペースシャトルではじめて宇宙に旅立った日ということで、この日が宇宙の日とされた。5年前のこの日に、はやぶさがイトカワに到着している。
はやぶさの帰還がほぼ確実になった今年の5月に、県庁の担当が川口さんに講演を依頼した。そしたら川口さんから「せっかくなら宇宙の日にしましょう。
そのころには持って帰ってきた微粒子の分析結果も出ているかもしれないから。」と言っていただき、この日程になった。
佐賀県立宇宙科学館での催しだっがが、座席数200のところ、613人からの申し込みがあった。遠くは北海道からも。あらためて川口さん人気を感じさせた。

佐賀県とはやぶさはいろいろ縁がある。小惑星探査史上はじめての「サンプルリターン」に挑戦する、ということを、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」のことわざにひっかけて、「虎之児」という日本酒を打ち上げのお祝いに使ったが、そのお酒は佐賀県嬉野市にある井手酒造が造ったものだし、はやぶさが大気圏に再突入して燃え尽きていく瞬間を捉えたすばらしく印象的な写真があるが、それは佐賀県唐津市在住の写真家、山口大志(ひろし)さんの手によるもの。

講演の内容は、やはりすばらしかった。とくに、はやぶさからの通信が途絶してしまったとき、どうやってチームをまとめたか、というところが僕は気に入った。

古川:通信途絶した後、管制室に出入りする人が減っていったって聞きますが本当だったのですか?
川口:本当です。だって、はやぶさがいないから、やることがないんですよ。探すだけだから。
古川:がらんとした部屋の写真、見ました。
川口:あのままですよ。
古川:どうやってチームをまとめていったんですか?
川口:毎朝、僕がポットにお湯を入れてました。
古川:お湯を?
川口:ちょっとお湯がほしくなったとき、そこにお湯がない、っていうのは組織として動いていない、という象徴じゃないですか。だから、毎朝、お湯だけはちゃんと使えるように自分で湯沸しに水を入れて準備してました。
古川: そのほかにも何か?
川口:会議を増やしましたね。みんなで集まって議論する回数を増やしました。とにかくモチベーションを上げようと思って。

先がまったくわからない状況の下でこれだけのことができるとは、やはり川口さん、只者ではない。

はやぶさが通信途絶になっていちばん心配したことは、実は「年度末」だった、という話も面白かった。

2005年12月9日に通信途絶になったのだが、年度末まで3ヶ月ちょっとしかない。通信途絶のまま年度末を迎えたら翌年度の予算がつかないのではないか、と心配されたというのだ。

川口さんの計算によれば、根気強くはやぶさを追いかければ1年間のうちにはやぶさを見つけることができる確率は50%を越えていた。ただ、それよりも予算の壁のほうがこわかったということだ。

はやぶさの帰還は、今年いちばんのグッドニュースだったと思う。
後継機のはやぶさ2は、水と有機物のある天体を目指すという。
そしてやがては宇宙空間に「深宇宙港」を作り、そこから宇宙の旅を可能にする、と川口さんの夢は尽きない。それは僕らの夢でもある。


ふるかわ 拝

平成22年9月7日(火)
第375号「地球に優しい自衛隊?」

先日、防衛関係者と話していたときのこと。話題が世の中のエコブームの話になった。どこでも「環境にやさしい」、「CO2削減」、などのフレーズにあふれている。そういう中、「自衛隊のCO2削減はどうなっているのか」と尋ねたところ、
「やってるよ、たとえばハイブリッド戦車とか。」という答えが返ってきてびっくりした。ほんとにあるのか、ハイブリッド戦車。
どうやら本当らしい。すでに何両かは完成されているとも聞く。しかも、歴史的には第二次世界大戦のときにすでに、電気とガソリンの両方を使って動かす、という意味でのハイブリッド戦車は実現されていたらしい。
開発したのはドイツのポルシェ博士。使い勝手はよくなかったようだがハイブリッドにはまちがいない。ちなみに、このポルシェ博士の息子さんが興した会社があの車のポルシェだ。
数年前に小池環境大臣(当時)が防衛庁で講演したときにも、「ハイブリッド戦闘機」や「燃料電池戦車」など環境視点の発想が大事、と自衛隊の幹部に訴えたらしい。
だからけっこう前からこういう話があるみたいなのだ。自衛隊の車両を電気自動車化する話なんかも。

CO2削減と縁遠いように見える防衛の分野でさえこうした取り組みが進められているのだとすると、あらゆる分野でCO2削減が行われなければならないが、まだまだという分野もけっこうあるのではないかと思う。
たとえば農林水産業はどうか?
農林水産業は、いまかなり多くの石油を使っている。肥料やビニールハウスなどの農業資材の原料、農機具やハウスの加温のための燃料、とこうして考えてみると、ある意味石油依存産業になってしまっている部分がある。
僕は石油は中長期的には価格が上がっていくと思っている。石油に依存した農林水産業のままでは、これから大変なことになるのではないか。この分野のグリーン化はあまり進んでいるようには思えない。

先日、ある電池メーカの社長にお会いしたら、農業の分野の電池化にとても関心を示された。これまで石油を使っていた耕運機・草刈機、ハウスの加温などにあたって、石油でなく電池を使ったものに変えていくことができないか、ということなのだ。たとえば、フランスではぶどうを収穫するときの機械を動かすのに、これまで石油を使っていたのを電池に変えつつあるのだという。電気は石油ほど価格が変動しないから経営の安定化にも役に立つし、石油から電池へ、というのがひとつの潮流であることはまちがいないと思う。
漁船もハイブリッド漁船とか電気漁船、燃料電池漁船ができないだろうか。これだって、これまでは相当石油を食っていたのだし。重油の値段が上がったとき、いちばん反応が早かったのが水産業の人たちだった。いまは、たまたま円高もあって重油の値段は落ち着いているが、これとていつまでもこのままということはないだろうと僕は思う。いまのうちから来るべきときに備えておくことが求められている。
こういう一次産業のグリーン化も、成長戦略のひとつにカウントできないかなあ。


ふるかわ 拝

平成22年9月2日(木)
臨時増刊号「ユーストとツイッター 」

はじめての方へ:

僕は、毎月1回、全職員に対して「知事室から」と題して、メッセージを送っています。
今回は、ユーストリームとツイッターのことを取り上げました。職員だけでなく、多くの人に読んでいただいてもいいかなと思い、ここにアップすることにしました。原文で一部間違っていた部分があったのは直しています。

(佐賀県内でツイッターを普及させているグループの名前のことを原文では「サガシッターズ」と書いていましたが、「サガシッター」の間違いでした。ごめんなさい。)


知事室から(9月 ユーストとツイッター 編)

8月19日、20日の2日間にわたって、武雄市で全国自治体政策研究交流会議、それとあわせての自治体学会が開催されました。
スタートの基調講演は私が行いましたが、その基調講演では、講演を聴きながら私に質問したいことをツイッターで書き込み(ツイート)してもらって、それを大画面で見ながら、そのうちのいくつかの質問に答えていく、という方法をとりました。
私自身がツイッター初心者だったこともあって、スムーズにはいきませんでしたが、基調講演に対する率直な質問が、リアルタイムで、しかもみんなの前で手を挙げて聞くということをせずに、かつ、休憩などを挟む必要がなく、つまり流れを切らずにやりとりができる、という意味で画期的だと思いました。

しかも、この会場は無線LANが使えるように設定がなされていました。
これによりustream(ユーストリーム)というサイトを使って、基調講演の様子がインターネット上で配信されていて、そこからも質問をすることが可能になっていました。いわば世界中が講演会場になった、ということです。
その代わり、「ここだけの話」ができなくなりつつあります。世界中がひとつの「大きな広場」になっていて、「みえないところ」ではなく、この「大きな広場」のいろんなところで集まりやつぶやきが行われている、という感覚になりつつあります。

この無線LANの設定は、先日、国連公共サービス賞の授賞式にスペインに行ってきたスタッフから、「授賞式の会場には『wi-fiが使えます』というお知らせがありました。これからはイベントをやるときには会場はwi-fi環境がマストなのでは?」といわれ、そうすることにしたものでした。
wi-fi(ワイファイ:無線LANの一規格)を設定し、それを使ってユーストで発信を、という試みは、佐賀県政では7月22日に開催した「宝の海・有明海再生を願う佐賀県民大会」のときがはじめてでしたが、うまくいきました。

このように、時代がどんどん変わっていっています。
いまソフトバンクは、携帯電話の通じにくい場所には無償で小型基地局を配布する、という事業をスタートさせています。たとえば、佐賀県庁でも、新行政棟の7階以上ではソフトバンクの携帯がつながりにくいということをソフトバンクにお知らせしたところ、現地調査をしてもらい、改善のための対策を講じていくことになりました。佐賀空港も同じです。みなさん、「ここがソフトバンク、通じにくいんだけど」という情報を情報課に知らせてください。携帯が使えるエリアがどんどん広がっていくことによって、いつでもどこでもインターネットに接続できる環境が広がります。そうなれば、本当にICTが身近になっていくと思います。

8月19日21時からは、日本ツイッター学会なる集まりが武雄市の中央公園の芝生広場で開催されました。
200人くらいの人が会場に集まり、また、ユーストを通じて参加した人も、同じくらいの人数がいたようで、参加者はひたすらツイートしまくっていました。
新しい空間が誕生した、という印象を持ちました。
鮮やかな映像関係を担当していたのは学会員であるプロの方ですが、それを手伝っていたのが、サガシッターという「佐賀でツイッターを広めよう」というボランタリーなグループの人たちでした。
こういう方たちが、ICTの普及を支えている、県民協働はこういう場面でも行われているのだ、ということをあらためて感じました。

ところで、そのときのおもしろさに触発されて、私もツイッターを始めてみました。furukawayasushi というIDです。

私はプライベートサイトで「週刊yasushi」という週1回のコラムを書いていますが、このコラムもツイッターも公務として書いているわけではありません。
これらの違いをあえていえば、「週刊yasushi」は、1週間に1度、テーマを決めて硬軟いろいろあるけれどそれなりに主張を持ったものとして発信していき、ツイッターは「つぶやき」だから「主張」を持たせるのはやめて、基本的に身近なところで起きている「事実」と世の中で起きている「感覚」を伝えることを中心にして、まあ、そうは言っても仕事に関することも少しは伝えていく、ということにしたいと思っています。
また、職員のみなさんからは、「見ておかないと困りますか?」と聞かれることがあるのですが、ツイッターに書くことイコール業務上の指示ではありません。必要な指示はこれまでどおり、別途、メールやBF、秘書を通じて行うようにします。

ところで今回、総務省が所管するフューチャースクールという事業で、佐賀市内の小学校が、タブレット型端末(iPadみたいなもの)を全生徒に配布して授業に使う、というモデルになります。全国でも10校しか指定されていない中での1校です。
こうした方面に対する佐賀県の熱意が評価されたと言えると思います。県政もしっかり時代をリードしていきましょう。


ふるかわ 拝