2011年7月

平成23年7月26日(火)
第419号「今年の夏と来年の夏」

今年の甲子園の出場チームが決定した。県立唐津商業高等学校。27年ぶり4度目の出場ということになる。

平成に入ってから佐賀県代表は2度(平成6(1994)年夏の佐賀商、平成19(2007)年夏の佐賀北)甲子園で全国優勝を遂げている。
佐賀県の人口規模(=高校生の数)ということを考えれば、約20年間に2度優勝しているというのはとても高い割合というべきだろう。

今年の唐津商は、北方悠誠(きたがたゆうじょう)投手が特に注目株。県大会では57イニングを投げ、奪った三振の数が73。1試合平均12奪三振。1イニングごとにひとつ三振を取っている計算になる。今大会での総投球数は888球。球の最速が150キロ近くとめっぽう速い。僕は決勝の試合を観に行ったが、ネット裏で見ていても素人目にわかるくらいの速さだ。対する佐賀工の打線もさまざまな工夫を凝らして攻略をしようとしていたが、打率4割を誇る佐賀工打線も手が出ず結果的に2-0となった。

この試合、プロのスカウトもたくさん見に来ていたらしい。プロも注目している選手が在籍するチームがちゃんと勝ちあがって甲子園に出場するというのもそれはそれで難しいことだが、佐賀西との延長再試合など厳しい戦いを経ての県大会優勝はほんとに立派だと思う。
(そういえば平成19年に全国優勝したときの佐賀北も佐賀西と激烈な戦いを演じた。優勝した後、佐賀北の選手に「どの試合がいちばん大変だったか」と尋ねたところ、帝京との延長戦でも広陵との決勝でもなく、県大会の佐賀西戦だと答える選手が多かった。)

佐賀北野球部の選手たちにはこんなインタビューをしたことがある。
「甲子園で勝ち続けているときってどんな気分でいるものか?」
当時2年生だったある選手が笑いながらこう答えてくれた。「試合ができるってほんとうれしかったです。だって負けたらその翌日から新体制になってまた練習ですからね、炎天下で練習をすることを考えれば、試合ができるっていいな、って感じでした。勝ち続けるってことは今年の夏が長いってことなんです。」
たしかにそういうことかもしれない。

高校野球佐賀県大会に出場した高校野球部は、唐津商を除いて「今年の夏」はすでに終わっている。ではどうなっているかといえば、すでに「来年の夏」に向けての練習がスタートしている。この炎天下、そして甲子園では大観衆を集めての試合が行われているなか、それに行けなかったほとんどの高校野球部はすでに来年に向けて黙々と練習を始めているのだ。

唐津地区からの甲子園出場そのものも15年ぶりと、きっと地元も盛り上がることだろう。
負けたチームのためにも佐賀県の代表として、悔いのない戦いを期待したい。


ふるかわ 拝

平成23年7月19日(火)
第418号「今年の夏『義援金付きプレミアム商品券』を」

7月1日、鹿島市で義援金付きプレミアム商品券の販売がスタートした。
10,100円出すと、11,000円分の商品券が買えるというものだ。
中途半端な額のようにみえるが、購入額のうち100円が義援金になる。そしてその商品券を受け取ったお店の側も、商品券の受入額11,000円あたり100円を義援金として寄付してもらうことになっている。

つまり、11,000円のこの商品券でお買い物をすると、200円の義援金が積み立てられることになるというものだ。
今年の夏は、5市8町(鹿島市、武雄市、唐津市、鳥栖市、嬉野市、有田町、吉野ヶ里町、大町町、江北町、白石町、玄海町、上峰町、太良町)で発行し、今年の冬にはこれらの市町に加え、残りの市町も発行する予定だ。
予定どおり商品券が消化できれば、総額で約9,000万円の義援金が積み立てられることになる。
この義援金は、佐賀県が重点的に支援している気仙沼市に送られることになっている。

県民の気持ちをぜひ形にしたいと、佐賀県ではこの義援金でピアノを買ってお届けしようと考えている。
今回の震災では、学校をはじめとする公共施設、福祉施設などで多くのピアノが被災し、使えなくなったことを聞いた。今年の冬の卒業式や春の入学式は、ピアノがなくCDやキーボードで代用した、そんな話もある。
来年の春は、ぜひ佐賀県民の心で届けられたピアノで、子どもたちの歌声やハーモニーが被災地にこだますることを期待している。

このピアノを送るにあたって、僕が考えていることがひとつある。
普通の国庫補助事業などでは、災害復旧の時にも、それまでにあったもの以上に良くすることはダメといわれている。つまりあくまでも前にあったものを復旧するのが仕事であって、前にあったものよりも良いものにしてはいけないということが多い。

でも僕はぜひ、このピアノプロジェクトでは「前よりも良いものにしてください」ということを条件にできないだろうかと思っている。
これだけの大きな災害だったのに、前と同じものしか買えないというのではあんまりではないだろうか。前よりもいいものをお届けすることで、前よりももっといい街になって欲しいという佐賀県民の願いを届けることができないのか、きっとできるのではないかと思っている。

気持ちが形になるピアノプロジェクト、今年の夏、そして冬にもこの商品券でお買い物を。

(ピアノプロジェクトについて)


ふるかわ 拝

平成23年7月12日(火)
第417号
「玄海原子力発電所の再起動に関する現時点での僕の考え ストレステスト 編」


(これまでの佐賀県の動き)
佐賀県は、玄海原子力発電所の再起動に関し、「安全性の確保」、「地元町の意向」、「議会の議論」の3要素に加え「総理の意向」確認が必要との立場をとってきました。
なぜ総理の意向確認が必要と考えているかというと、菅総理は再起動に関し、考え方を明確にしていただいていない、と考えているから、です。
総理が再起動させる必要はない、とお考えなのであればそれに沿った対応をしていくことも求められるのではないか、ということです。

6月29日(水)に海江田経産大臣が佐賀に来られたとき、私は、大臣に対し、「総理に佐賀県に来ていただいて、総理のご意向を佐賀県民に対して明確にしていただきたい」とお願いしました。

それを受け、海江田大臣が総理と話をされた結果、佐賀県に行く、行かないという話ではなく、「再起動にあたっては原子力安全委員会が関与して『ストレステスト』を行うべき」ということを発表されました。7月6日(水)のことです。

これに先立つ7月4日(月)、地元町である玄海町長が再起動について了解され、そのことを九州電力に伝達されたのですが、「ストレステスト」を実施するということになったため、現時点では玄海町の了解が意味なきものになってしまい、玄海町長は撤回されています。
この「ストレステスト」とは何なのか。これをどういう位置づけにするのか。このテストと再起動をどう結び付けるのか。今回はこれがテーマです。

(安全評価(日本版ストレステスト)の実施)
今回実施することになった安全評価(日本版ストレステスト)は、いくつかのポイントがあります。

1 まず原子力発電所の安全性の確保については、現時点で確保されているということが3閣僚(枝野官房長官、細野担当大臣、海江田経産大臣)の共通認識として公表されました。しかも、菅総理がこの内容で了解されたということですから、総理も含めて安全性が確保されているということについて共通認識ができた、ということだと思います。

2 とはいえ、安全性について不安を持っておられる方もあり、さらにこれまでの原子力安全・保安院主導の体制そのものに対する信頼が揺らいでいることもあり、こうした期待にこたえるためにさらなる安全評価を原子力安全委員会が関与して実施することとなりました。(これが日本版ストレステストです)

3 この安全評価は一次評価と二次評価からなり、一次評価は事実上定期検査が終了した玄海原発のようなところを対象にして比較的短期間で実施し、その結果が出るまでは再起動させないこととし、二次評価は稼働中も含む国内のすべての原子炉を対象に行い、結果次第では稼働中であっても停止させることもありうるというものです。

(佐賀県の考え方)
ストレステストと呼ぼうがなんと呼ぼうが、より一層の安心のためにチェックを行うこと、それ自体は歓迎しています。(ただ、だったらなぜそれをもっと早く言ってくれなかったのか、というのがそもそもの疑問として残りますが。)
「再起動してほしい」という経産大臣の言葉に応えるように、玄海町長は再起動について了解をされました。しかしながら、その3日後にそれを撤回しないといけないようなことが起きてしまった、ということは何とも言いようがなく、政府部内の調整不足の表れだと思います。
その反省を踏まえて、今回、これまで混乱していた原子力発電所の再稼働に関する政府見解が統一された、ということだと受け止めています。
今後、ストレステスト(=「新たな手続・ルールに基づく安全評価」)の内容、具体的手順など詳細を明らかにし、国民に対して、また地元に対してもきちんと説明してもらいたいと考えます。
また、徹底した情報公開を行い、国民の安心感につながるようなストレステストにしていただきたいと思います。

(僕の個人的な感想)
僕は、これまで何回か述べているように、総理は再起動をやりたくないと思っておられるのではないか、という雰囲気を国会答弁や記者会見などを見ていて感じています。だったら「しばらく再起動はしないでほしい」という政策を打ち出されたらいいのに、と思います。そういう政策を打ち出されるわけでもなく、かといって再起動やむなしというご判断をされるわけでもない。
そこが不安だったので、先日、総理ご来県のうえ明確に考えを示していただきたいと要請したところ、「ストレステスト」という答えが返ってきたのです。
佐賀県がご来県を要請していなければ、総理の見解を求めなければ、総理はこのまま黙って佐賀県の動きを見ておられるおつもりだったのでしょうか?
今回のストレステスト。「ストレステスト」という新しい言葉に引きずられて、再起動についての総理のご判断のタイミングが後にずれただけなのかも、という気もしています。そうなのか、そうではないのか、しっかりチェックをし続けます。


ふるかわ 拝

平成23年7月5日(火)
第416号「いま、佐賀県で」

最近、「ほぼ日」的に全国で報道されている。メディアからの取材も多い。
NHK夜9時の「NEWS WATCH 9」の大越キャスターから、30分くらいインタビューを受けたものの一部が昨日(月曜日)の夜オンエアされたし、その前の土曜日はTBSの「報道特集」。また、それとは別の番組がかなり長い間にわたって取材続行中だ。ニューヨークタイムスの東京支社などの海外メディアからも取材が続いている。(これは7月2日付けで掲載された)
多くの場合編集されてしまうので、自分の言いたかったことがそのままオンエアや記事になることはないし、もちろん確認するわけにもいかないから、オンエアや記事を見て「なぜこうなるの」ということもたびたびだ。
だから、当たり前のことだが、こちらはインタビューを受ける際の条件として、インタビューの録音をさせてもらっている。そして、妙に使われたときにはその録音を元に「この使われ方はおかしいのではないか」と申し入れるようにしている。
また、記者会見をフルで公開しているのはもちろんだが、「囲み」も動画とテキストで配信している。これは全国で佐賀県だけだと思う。「囲み」というのはラフで短い時間のスタイルの会見と言っていい。バックボードがあってその前でしゃべっているやつだ。話す側として重みはある場だから、そこで話した内容は会見並みにきちんと記録し、発信しておきたい、ということでこうしている。

先日、海江田経済産業大臣が来られたときの大臣と僕とのやり取りも、本来であればとっくに掲載されるべきだが、経済産業省側のチェックがまだ終わっていないらしく、まだ載せることができないでいるが、あのとき、どういうやりとりが行われたのか、背景も含めてわかっていただきたいと思う。それには4日(月曜日)に佐賀県庁職員向けに書いたものを少し加工してみた。これを読んでいただくのがいちばんだと思う。いささか長いがお付き合いを。佐賀県の再起動に向けての判断がどこまで来ているのか、何が残されているのか、知っていただけると思う。

**************************

先月の「知事室から」で、その当時の「原子力発電所に対する佐賀県の考え方」をお示ししました。
今月はその続編です。

先月のものを適宜引用しながら、お届けしていきます。〈  〉で囲ってある部分が先月分です。

これまで佐賀県は、再稼働の前提となる緊急安全対策について、問題点を三つ投げかけていました。
ただ、このことは問題が三つしかないと思っていたわけではありません。
「冷却のために必要な水を十分注入できるか」、「高圧発電車の発電量は十分か」などの問題点についても投げかけ、回答をいただき、その過程でひとつずつ納得が得られていったなかで、最後までわからなかったものが三つ残ったということです。

そのうち第一の疑問だった地震の件について。先月号ではこう書いてました。

<ただ、この緊急安全対策は、今回の福島第一の事故は津波によって生じたものだという前提があります。ですから、津波対策しか考えられていません。
一方、各種の報道などで、「実は津波に先行する地震でも原子力発電所に重大な被害が生じていた」とする意見もあります。それが本当だとしたら、緊急安全対策に地震による被害を防ぐ対策も加えてもらわないといけなくなります。ほんとうに今の対策で十分だといえるのか。その点を第一の疑問点として投げかけています。>

これに対して、原子力安全・保安院から、詳細なデータを使って解説がありました。
つまり、先行する地震によって重大な被害が生じていたとすれば、「原子炉内圧力の急激な低下」ということが起こるはずだがそうなっていないことが示されました。すなわち、地震発生直後から津波到達までの間は、
 ・全ての制御棒が挿入され、出力が低下している。
 ・原子炉を冷却するための機器が正常に起動、あるいは待機状態にあった。
 ・原子炉格納容器の圧力状態に異常は認められない。
以上のことが具体的なデータでもって示され、各機能は正常に動作していたと説明がありました。(その際に示されたデータはこちら)↓
http://saga-genshiryoku.jp/info/pdf/2011-0609-1758.pdf

こうしたことから、保安院は、「地震で重大な被害が生じていたという指摘は当たらないと考えている」とのことでした。(6月9日(木))念のためそういう判断で本当にいいのか、九州大学の原子炉工学の専門家のお二人に、これらのデータを見てもらって、別々にご意見をお伺いしました。その結果、お二人からは、「津波が到達するまでは、安全上重要な機器の機能は維持できていた」という趣旨の内容のご返事をいただきました。(6月24日(金))
第三の、MOX燃料を使っていたことについては以下のとおりです。

<第三の疑問点は、福島第一の3号機は、燃料の一部にMOX燃料を使っている、いわゆるプルサーマル運転を行っていたということです。
つまり、玄海3号機と同じということになります。プルサーマルは、通常のウラン燃料に比べて運転停止後の発熱量が大きいということなどがありますが、今回の事故においてMOX燃料を使ったことで何か影響が生じているのか、いないのか。敷地外の環境に対する影響はどうなのか。こうしたことについても明確に示していただきたい。これが第三の疑問です。>

これに対して、保安院から実際に測定されたデータを使った説明が行われました。
福島第一原発の敷地内でのプルトニウムの濃度は土壌1sあたり最大で1.2ベクレル。
このプルトニウムの組成(どういう種類のプルトニウムがどういう割合で発見されたのか)を見てみると、たしかに事故の影響と言える可能性があります。
しかしながら、この濃度は通常の濃度(土壌1sあたり最大で4.5ベクレル)とほぼ同じ程度で、この濃度によって問題になる数字ではないという説明でした。さらにいえば、敷地外ではプルトニウムの計測値は、この事故の影響と思われるものはゼロでした。
この事故とは関係なく、いつも計測されている多少のプルトニウムはありましたが。)
以上から、佐賀県としては、MOX燃料を使ったことで事故に影響があったとはいえない、という保安院の見解を認めました。

さらにこのほか、万が一事故が起きたときのためのさらなる対策(シビアアクシデント対策)と、「緊急安全対策」との関係についても、問いただしました。つまり、シビアアクシデント対策が終わるまでは再稼働をすべきではないのではないか、ということです。
これに対しては、「緊急安全対策」は、全電源喪失した場合でもこれを実施していれば福島第一のような事故を起こさないための対策であり、「シビアアクシデント対策」は、それでも万が一、炉心の重大な損傷が起こった場合に迅速に対応するための措置であり、更なる信頼性向上のための対策である、という説明でした。(6月9日(木))

さらには、「玄海原発の敷地には断層があるというがそれが今回の地震で変化があったのではないか、そもそも原発の敷地に断層があって大丈夫なのか」ということも確認しました。

これらの断層は、過去の活断層調査の際に検討された断層ですが、少なくとも現在から12、3万年前までの間に活動した形跡はなく、耐震評価上考慮する必要がない断層、とこれまでも国から評価されていたものです。
一方、3月11日の東北地方太平洋沖地震などによって、東日本では最大5.4メートルもの大きな地殻変動が見られているため、国は各電力会社に対し、原子力発電所周辺の地殻変動や地震の発生状況の変化を調査するよう指示をしました。
その結果、玄海原子力発電所周辺の地殻変動量は数ミリ程度(国土地理院によるGPS調査の結果)と小さく、また、地震の発生状況も3月11日の前後で顕著な変化は認められませんでした。
このため、保安院からは、「これらの断層についてはすでに慎重に評価され、考慮する必要はないとされていたものであり、今回の東北沖地震による地殻変動などを調査した結果、改めて評価をやり直す必要はない」という回答を得、佐賀県としてもその回答で理解したところです。(6月25日(土))

こうして、疑問に思ってきた点をひとつひとつつぶしていくなかで、最後に残った質問が「なぜ浜岡だけを止めたのか」でした。そして、これは保安院の話を2度聞いても、要は政治決断でした、という答えが最後には返ってきます。ロジカルには別に浜岡は止めなくてもよかったはずです。それをあえてなぜ止めたのか。これは止める判断をされたご本人に聞くしかない。保安院からの2度目の説明が終わった後の記者との応対で、そう申し上げました。
時期的にいつにするのか、当時は決めていませんでしたが、経済産業大臣がIAEAにいかれる直前に「日本の原発は再稼働させても大丈夫」という内容のいわゆる安全宣言をされたので、それを受け、大臣が帰国された後、そして国会の審議が本格化する前のほうが動きやすいということで、6月29日(水)に大臣に佐賀県に来ていただくことになったのでした。

<また、先ほど述べたように、浜岡原子力発電所については原子力安全・保安院が安全対策を適切なものと判断したにもかかわらず、結果的に運転中のものを含めて、すべて停止させました。
確率でいえば確かに玄海で大地震が起きる確率は低いかもしれません。ですが、政府が説明に使った「浜岡で大規模な地震が発生する確率が87%」という数字が出ている「全国地震動予測地図」(地震調査研究推進本部地震調査委員会作成)の中で、玄海は地震発生確率0.0%と記してありますが、福島第一も0.0%と記してあるのです。
そういう数字を説明に使うのはおかしい、なぜ浜岡だけをすべて停止させ、あとの原子力発電所については、再起動させても安心だ、安全だ、というのか。これも確認しなければいけません。これが第二の疑問点です。>

前回、こう指摘をしておきました。そのおかげか、今回の大臣のご説明ではこの「87%」という数字は使われませんでした。その代わり大臣は、「今回のような大規模な津波を伴う地震は『プレート境界』で発生する。玄海付近にはプレート境界はなく、地震が起きるとしても活断層によるもので今回ほどの大きな地震にはならないし、今回のような津波が起きることもない」と玄海の特性の説明から始められ、そもそも玄海付近における大規模地震と津波を想定した対策を行っていることそのものが、ほかの地域とは違うと思っておられると受け止めました。

さらに、大臣は、なぜ浜岡だけを止めたのか、なぜほかのところも止めないのか、についても、緊急安全対策そのものの有効性は認めながらも、浜岡が抱えている三連動地震の可能性というものはほかの地域にはないものであることや、実際に現地に足を運んで感じたことなどを交えながら、「危ないところは政治が止める。安全なところは政治が動かす」という言葉で今回の判断についての理解を求められました。

100%納得した、ということではありませんでしたが、この質問はもともとテクニカルな質問というよりも、どういう政治判断だったのか、ということを確認したかったということですので、そこまで大臣に言っていただければということで私としては了としました。

大臣は、最後に「玄海2号機、3号機の安全性については国が責任を持つ。どうか再起動についてご理解をいただき、お願いしたい」と述べられ、佐賀県を後にされたのでした。
(ただ、大臣とのやりとりでやや不満が残った点がふたつありました。一点が、今回の再起動とはまた別の問題になりますが高経年化炉(玄海1号機)に対する取組みについて、そしてもう一点が菅総理はほんとうに海江田大臣と同じ考え方なのか、という点でした。)

こうみてくればわかるように、大臣が来られる前に、すでに安全性についての確認事項のうち、2つについては整理ができていて、あとは浜岡問題だけになっていました。
そして、その浜岡問題について、一定の整理ができたということであれば、安全性の確認という作業は一つのけじめがつくということになります。

そのことを会見で申し上げたのが、翌日の「知事、再稼働容認」という見出しとなったのだと思います。

ただ、大臣との会談を終えての囲みのときの私の発言を見ていただければわかるように、これで終わりとは言っていません。↓
http://www.saga-chiji.jp/hatsugen/comment/11-6-29.html

これまでも何度も再起動についての判断は「安全性の確認」、「議会の議論」、「地元町の意向」(の「三要素」と言ってもいいでしょう)を踏まえて総合的に勘案して行う、と言ってきています。

大臣のご来佐によって、佐賀県としてはこの三要素のうちの「安全性の確認」(これは「地震」「浜岡」「MOX」の3条件です。)という一つの要素の判断が終わったということでした。

そして、本日7月4日(月)、玄海町の岸本町長が九州電力に対し、玄海原発2、3号機の運転再開を了解したいと述べられ、再稼働に同意された、と聞きました。これにより「地元町の意向」も示されたことになりました。
そうなると、あとは「議会の意向」がポイントになる、ということです。

「議会の意向」については、ひとつにまとまるというのは難しいところがありますが、これまでの議論を受けて、たとえば県民説明会を県主催で実施することや、総理を佐賀県にお招きすることを申し入れることなどは議会からの注文です。原子力防災に関する広域的な避難計画の策定を前倒しして進めているのも、議会からできるだけ早期の策定を求められてきたものに対するひとつの答えです。
こうした、県議会からの注文にも応えていきながらやっていくことそれ自体が、県民の声に応えていくことだと私は思っています。すなわち、議会の声が県民の声だという認識に立って判断して行きたいということです。

そして、その総理の招聘。これがここにきて大きなテーマとなってきました。現職の総理大臣を佐賀県にお招きすることが簡単ではないことは承知のうえですが、すでにお願いはしてあります。政府内部で検討が進められていると思います。もちろん、イチかゼロかではなく、いろんな答えの出し方というのがあるだろうと思っておりますが、できれば来ていただきたい、と強く思います。

また、機会があれば書いてみたいのですが、菅総理はこれまで再生可能エネルギーについては雄弁に語っていただいていますが、足元の再稼働問題については、残念ながらあまりコメントされたことがありません。
「安全性が確認されれば稼働を認めていくことになると考えている(5月18日(水)記者会見)」、「安全が確認されたものについては稼働させていくということになる。(6月27日(月)記者会見)」という表現はあるのですが、「再起動させてほしい」とか「再起動について理解をお願いしたい」という言葉は発せられてないと思います。
総理は、このまま日本の原子力発電所が再起動しなくてもいいと思われているのかもしれません。そうであれば、こちらもそのように対処していく必要が出てくるかもしれません。
だから、確認をしておきたいのです。最終判断に至る前に。


ふるかわ 拝