2011年8月

平成23年8月30日(火)
第424号「新しいリーダーに望む」

いよいよ新しいリーダーが誕生することになった。野田佳彦氏、昭和32(1957)年生まれ。僕よりわずか1年先輩、ということはほぼ同年代の初の総理の誕生ということになる。
さらにいえば、松下政経塾1期生。現在かなりの数の議員や首長を輩出してきた松下政経塾出身者として初の総理誕生でもある。

今回の選挙戦、わずか2日間で事実上の総理を決める、ということになった。鳩山総理辞任のときにも国会議員だけ、しかも1日間という短い期間での選挙だった。自民党が与党の時代には、任期中に総理が辞任した場合でも、1週間以上は総裁選挙を行い、かつ党員選挙も行っていたことを考えると、今回の2日間というのも、しかも国会議員だけというのもいかにも短いし、残念な気がする。もっと時間をかけて論戦が繰り広げられればもっと政策論争が深まったのではないかと思う。

僕は、今年の6月まで全国知事会の政権公約評価特別委員会委員長をやっていて、総裁選や代表選のたびに地方分権改革に関する公開質問状を出していたが、民主党の代表選は時間が短いため、公開質問状がなかなかメディアに取り上げられにくかった。今回も全国知事会から公開質問状が出され、各候補から回答が出されていたが、ほとんど関係者以外の目には触れなかったのではないか。地方分権改革や社会保障と税の一体改革、円高・デフレ対策、共通番号(マイナンバー)制、TPP、外交政策などなど、しっかりと議論していただきたい事柄はたくさんある。日曜日のテレビ番組で取り上げられる項目だけでは到底足りないのだ。もう、しばらくは代表選はないだろう(し、そう願う)が、次の代表選のときはぜひ時間も内容も十分なものであってほしいと思う。

野田氏は演説の名手。「えー」とか「あー」という無駄な言葉がなく、聞きやすいし、今回の選挙戦における演説でもキレの良さとたとえのうまさが目を引いた。
両院議員総会においても、相田みつをさんの「ドジョウが金魚のまねをしてもしょうがないじゃん。」という言葉を引用しながら、「ドジョウはドジョウの持ち味がある。ドジョウの政治をやりぬいていく。」という自分自身をどじょうに例えての話をされた。僕はたまたまこの演説をテレビで見ていたが、なかなかぐぐっとひきつけられるものがあった。

この「ドジョウ演説」のとき、野田氏は「自分が総理になってもすぐには支持率は上がらないかもしれない。」とも述べられた。こういう、ある意味、「低い期待感」でスタートする政権というのは意外に支持を得られることもある。
ある友人が僕に語った。「野田内閣は小渕内閣みたいになる可能性もありますよね」。小渕内閣は発足直後こそ24.8%と歴代2番目の低い支持率だったものの、その後上昇し、一時期は47.6%とその前の橋本内閣の最高支持率を超えるまでになったこともあった。たしかにひとつひとつ地道に政策を遂行していくことで支持率が上昇していくことも十分ありうるのではないか、と思う。

そもそも、トップが代わっても新政権は難しい国会運営を強いられることになるのは間違いない。でも、大連立を訴えるなど野田氏は野党との連携にも前向きだ。いまでも、予算委員会などで閣僚が答弁するとき、野党からの野次がもっとも少ないのが野田大臣の答弁だという。しっかり政策がすすめられるように野党との協力を実現してほしいと思う。

新代表が決定した後の挨拶で、野田さんはこう言われた。「安定した、信頼できる、落ち着いた政治を実行したい。」
これまでの政治はそれとは正反対だったと僕は思う。この言葉に僕は期待したい。


ふるかわ 拝

平成23年8月23日(火)
第423号「『クマの大量出没』を読んで感じたこと」

先日、イノシシによる農作物被害のことで要望・陳情を受けた。
その中で、「イノシシがこれだけ増えたのは山の食べ物が足りなくなっているから」という説明があった。

たしかによくそういう話を聞く。だが、本当にそうなのか。誰かきちんと調べている人がいるのだろうか。
前々からそれを不思議に思っていたところ、雑誌「UP」2011年8月号に山ア晃司先生の手による「ツキノワグマの大量出没」と題した論文が載っていて、たいへん興味深かったので紹介したい。

一般論として言えば、山の食べ物が足りなくなって人里に下りてくる、という行動はイノシシだけでなくツキノワグマにも共通ではないかと思われる。
もしそうだとすると、山の食べ物(多くの場合、秋にとれるものが多いと思われる。クマの場合はドングリ)が取れないという事実があって、それではと仕方なく人里に下りていくという行動になるはず、だ。

ところが、この論文によれば、GPSをつけてクマの行動を分析してみると、たしかにクマはある時期からそれまでの生活場所から(おそらくはドングリを求めて)移動を始める。だいたいの年は、ドングリが成熟を始める9月に入ってからのことが多いのだが、2010年や2006年などクマが大量に出没した年は、8月のうちからクマは移動を始めているのだという。
つまり、「ドングリが取れない」という事実が発生してから、ではなく、「どうも今年はドングリが取れないらしい」というなんらかの予測をクマはし、その予測に基づいて、生活場所をより人里に近い、ほかの食べ物のある場所に早めに移し始めているというのだ。

これは新鮮だった。ではイノシシはどうなのだろうか。やはりなんらかの方法でその年の実りが多いか少ないか予測したうえで、行動を起こしているのだろうか。

また、もうひとつ。この論文によれば、人里近くに出没するようになり養魚場で魚を捕獲することを覚えたツキノワグマのことが取り上げられている。そのツキノワグマをいったん捕獲したものの捕殺直前になってそのクマは逃走した。10日後に再び捕えられ射殺されたが、GPS分析によりわかったことは、そのクマは逃走した後もその養魚場の周辺にずっとい続けていたということだった。捕えられたことによって「養魚場は危ない」ということを学ぶのではないか、という可能性もあったが、実際には魅力的な食べ物の前には危険を冒してでもその食べ物にこだわり、その場所から簡単に離れることにはならないということのようだ、と山ア先生は説く。

イノシシも同じだろうか?いったん畑でおいしい食べ物を覚えてしまうと、電気牧柵などで危険性を高めてもなかなかその人里から離れることは難しいのだろうか?ほんとうに山の食べ物がないせいで人里近くにイノシシが下りてくるのだとしたら、山にイノシシのエサになるようなものを植える、という政策は有効なのだろうか?それはかえってイノシシを増やすことになりはしないだろうか?

僕の勉強不足なのだろうが、イノシシや最近被害が拡大しているアライグマなどの生態をこうした方面から研究している人たちというのはどれくらいいるものなのだろうか?

この論文を読みながら、いろんなことを考えてしまった。
最近は、県内どこの地域に行ってもこの有害鳥獣問題は深刻さを増している。また、年によってその様相が異なる、ということもある。足元の対策は県としてもしっかりやっていくが、これとあわせて、学者のみなさんによるこうした研究についてもぜひ深化を期待したい。


ふるかわ 拝

平成23年8月16日(火)
第422号「『学生ローン』ではない『学資ローン』」

学生ローン。こうきくと、「学生相手のサラ金」というイメージを持つ人も多いだろう。ただ、「student loan」というと、ちょっと中身が違ってくる。
学生が学費や生活費を賄うために政府や大学、あるいは金融機関から受ける融資のことを言い、日本語としては「教育ローン」という言葉のほうが意味が近い。

そのstudent loan (以下「学資ローン」といいます。)をめぐる米国の状況が変わりつつある。きっかけは先日のオバマ政権における米国の債務上限額の引き上げ問題だった。
そのときの米国の与野党の交渉の中でテーマになっていたのは債務上限額の引き上げと併せて連邦政府の歳出カットを実行すること、だった。
その結果、債務上限額は引き上げられたが、歳出カットが義務付けられ、その項目のひとつに「学資ローンに対する支援のカット」が入ってしまったということだ。

米国の事情に詳しい杉田敏氏によれば、1993年にはローンを抱えて大学を卒業する学生は全体の半分以下だったのが、2008年には3分の2になっていて、卒業時におけるローン残高の平均は24,000ドル。
一般的には返済に15年から20年かかるというこの学資ローンに対する政府の支援策(利子補給や信用付与などだろう)がカットされることになる、というのでアメリカのキャンパスではすでに動揺が広がっているという。

こうした動きが本当なのか、知り合いの北米出身者に聞いてみた。
その方自身が学生だった2000年代、すでに多くの学生は政府や大学の奨学金を使っていたという。ただ、返済に当たっての利子がとても高く、(8%から9%くらい)、自分の場合は奨学金を使わず親から借りたということだった。
「親から借りた、ということは返済した?ということですか?」と尋ねてみたが、答えは明確だった。
「返済しました。そのためにアルバイトもしたし、社会に出てからも返済を続けていきました。」
「親なんだから、学費を出してくれてもいいのでは?という気もしますが。」
「そういう考え方もあると思います。子供が学校を出て働くことができて、それで収入が得られれば、それによって自分(親)を支援することができるようになる。そのための投資と思ってくれればいいわけです。」
「でも一般的ではない?」
「残念ながら。アジア系の親はヨーロッパ系の親に比べて子供に寛大だと言います。でも長年北米大陸に住んでいるとだんだん子供に自立を求めるようになるのではないかと思います。」

アメリカ社会においては、学資ローンの返済残高がついにクレジットカードの返済残高よりも大きくなっているとのこと。
オバマ政権は2009年に、連邦政府の学資ローンを受けた低所得の労働者については、収入の15%を25年間返済に充てた場合には残額の返済を免除するという政策を打ち出している。「15%を25年間」と聞いただけでもこのローンの大きさに驚く。

日本では、僕の知る私立大学では学費については全額親が、というのが約7割。ただ、年々親と学生双方が負担するというケースが増えてきているという。親も生活が苦しくなってきている様子がうかがわれる。
佐賀県はこれから高校生や大学生の奨学金の制度を充実させる方向で検討をはじめたばかりだ。アメリカの動きが参考になることは時々あるが、今回のことについては逆の意味で注目しておきたいと思う。


ふるかわ 拝

平成23年8月9日(火)
第421号「春秋の翼 佐賀の空へ」

8月2日から3日にかけて上海に出張した。
この日(8月2日)を期して「佐賀県上海デスク」がオープンしたのでそれを現地に紹介するのとあわせて、春秋航空の佐賀への就航について交渉を行うため、だった。

この「佐賀県上海デスク」から説明すると、要するに佐賀県と上海とをつなぐ連絡事務所という性格のものだが、所在地がなんと佐賀県庁内。そこに専用スペースを設けてそこに代表とアシスタントを置き、佐賀県の企業の上海での取引支援や上海からの旅行客の誘致、佐賀県の産品の上海への輸出などを担当することにしたというものだ。






佐賀県としてはこの秋、瀋陽と香港に事務所を設置することにしている。当初は、このどちらかの事務所に上海も担当してもらおうかという話もしていたが、瀋陽からにしても香港からにしてもそれなりの時間がかかってしまう。
であれば、いっそのこと、佐賀県から出張ベースで行くことにしてもあまり変わらないのではないか。
そういう発想の下、上海については県庁内に「デスク」を設け、専任スタッフをそこに置くということにしたのだった。
今後は、更に使い勝手がよくなるよう、上海に出張したときに使えるバーチャルオフィスや、必要なときに現地の情報を入手してくれるリモートスタッフの導入も検討している。

この新しい手法による拠点設置、ぜひとも成功させたいと思う。上海に関することならなんでもけっこう。どうか気軽に相談してみてほしい。

佐賀県上海デスク(佐賀県庁新行政棟2階  代表 北村志帆 0952-25-7146)

それともうひとつのテーマ、春秋航空との乗り入れ交渉。なんとかまとまり、「年末までに佐賀ー上海便を週3便就航させることをめざす」という合意文書を取り交わすことができた。
これによって、有明佐賀空港初の国際定期便のスタートにめどが立ったことになる。
春秋航空はいわゆるLCCのひとつで、日本には茨城と高松に就航していて、安全、安心を確保したうえで低価格を武器にしている。
茨城ー上海の最低運賃は、片道4,000円。もちろんすべてがこの価格ではないが、安いことにはまちがいない。佐賀ー上海便が就航すれば、片道3,000円というのも夢じゃないかもしれない。
春秋航空は、中国最大手の旅行会社と言われている春秋国際旅行社を親会社に持っており、その送客力は大きい。大切なことは受け入れの準備だ。たくさんの中国の方に佐賀県を楽しんでいただくための仕掛けと工夫。たとえば、「買い物ができるところがあるか?一年を通して楽しめるイベント的なもの(伝統芸能等)はあるのか?」
こうしたことが先方からたずねられている。こうしたことにどう対応していくか。これからただちにスタートさせないといけない。


ふるかわ 拝

※なお、本日は県議会の原子力安全対策等特別委員会。委員会における僕の発言については、後日別途、この週刊yasushiでコメントしたい。

平成23年8月2日(火)
第420号「7月30日土曜日午後3時からの臨時会見」

九州電力のいわゆるやらせメールに関して、私が関与したのではないか、私の発言がやらせメールを誘発したのではないか、などといった報道が先週の土曜日の夕方から盛んに行われています。
こうしたことにいたった経緯については、先週の土曜日、15時から、臨時記者会見を行いました。そのときの会見内容の要旨を佐賀県のホームページに掲載していますので、詳しくはこちらをご覧いただきたいと思います。
http://saga-genshiryoku.jp/about/chiji_kenkai2.html

私はとにかく、この番組をより多くの人に見てもらって、賛成、反対、双方の意見がたくさん寄せられる番組になればという気持ちを強く持っていたのは事実です。経済界に再稼働を望む声があるのであれば、いろんな機会を使って出してほしいということはそれまでも言ってきました。
しかし、この会見でも述べているように、私は、九州電力に対し、いわゆるやらせメールを依頼したということは全くありません。私の言葉が九州電力側にどのように受け止められ、どのように伝わったのか、これから第三者委員会でしっかり調査してほしいとお願いしています。

ただ、確かに当事者である九州電力の方に対し、経済界からも声を出すべきだと発言したことは軽率であったと反省をしています。
また、今後は、私自身の発言の重みや影響を改めて自覚し、より慎重にことにあたっていきたいと考えています。


ふるかわ 拝