2012年6月

平成24年6月26日(火)
第466号「ソウルで佐賀ラーメン」

ソウルで佐賀ラーメンを食べた。
ソウルには、佐賀ラーメンという名を冠する店が7店ある。
そのうち1店は、ソウル・江南(カンナム)のカロスギル(街路樹みち)という名前の、おしゃれな店の多い通りから1本入ったところにある店。韓国語で「佐賀ラーメン」という名前だ。韓国語では、ラーメンのことは、「ラミョン」と発音するが、このお店は「ラーメン」という表記になっている。日本風のラーメンだということを意識しているのかもしれない。お店に行ってみたら、居酒屋兼ラーメン店という感じで、おつまみとラーメンがメニューに載っている。ふつうにラーメンを頼んでみたが、出てきたラーメン鉢を見て、なるほど!佐賀ラーメンだ、となぞが解けた。ラーメン鉢の中に「喰道楽」というロゴマークが入っていたのだ。この「喰道楽」は佐賀県内に本拠を持つラーメンのチェーン店。この喰道楽と関係のある人がやっているから佐賀ラーメンという名前になったようだ。夜の10時くらいに行ったが、そこそこお客さんが入っていた。店員の一人は日本人の学生だったし、親しみを持って食事をすることができた。味は佐賀ラーメンそのもの、と言ってもいいと思う。「一部の材料を提供している」と喰道楽のHPにあったが、とにもかくにもおいしく食べることができた。
次にソウルに行く機会ができたときに別の佐賀ラーメンの店に行ってみた。この日はソウル到着が遅かったこともあって、ソウル・大学路(テハンノ)にあるその店に着いたのは夜12時過ぎ。残念なことに店はちょうど閉店したところだった。店の名前がおもしろい。「六本木 佐賀ラーメン」。江南の佐賀ラーメンと経営者はどうも同じようだが、ここに「六本木」の名前を冠した意図はわからない。店の見学だけさせてもらったが、六本木ふうに気取ったメニューがあるわけでもなく、豚骨ラーメンに始まり、韓国式長崎ちゃんぽん(あとで説明します)まで麺類のメニューが並んでいた。江南店に比べて、「佐賀」という表記も少なく、あまり佐賀っぽくない。ただ、店の看板はおもしろかった。


みなさん、韓国・ソウルにいかれたときに、佐賀のとんこつラーメンが食べたいと思われたら、行ってみてください。江南店は、周囲におしゃれなショップやおいしいケーキ屋さんなども多く(ソウルの青山・原宿っぽい感じ)、その意味でもおすすめ。
ということで、「六本木 佐賀ラーメン」に行ったもののクローズしていて食べることができなかったので、隣の店に行くことにした。その店、名前は「香港飯店」(ハングル表記ですが)。なんか、おいしそうでしょ。なのに店の前の看板を見てるとメインメニューはちゃんぽんのようだ。ハングル表記で「ちゃんぽん」と書いてある。最近、ソウルで「長崎ちゃんぽん」が人気といううわさも聞いていたので、どれどれと行ってみた。
お店はファストフード店っぽい感じだった。従業員は若い人たち。赤いポロシャツを着ていて、先に食券を買う方式。メニューの1番上にあった「長崎ちゃんぽん」と2番目にあった「タコちゃんぽん」を頼んでみた。
さあ、来た。おお、赤い料理が来た。見るからに辛そうな料理が二つ。「長崎ちゃんぽん」は、辛いスープに太めの麺と炒めた海鮮の入った料理。「タコちゃんぽん」は、汁なしでタコや野菜を太めの麺と一緒に炒めた料理だった。
韓国における「長崎ちゃんぽん」は、これでは長崎の人が怒るのでは、と思うくらい、似ていない。汁つきの具の入った麺料理であることは間違いないのだが、「太めの麺に海鮮が入っている」ということで「ちゃんぽん」という名前をつけ、勢いで本家っぽく「長崎」をつけてしまった、というところではないか。
スープも辛い。韓国の辛いインスタントラーメンみたいな味だ。長崎のスープは、というか佐賀のもそうだが、ちゃんぽんのスープは基本的には白か灰色。それに対してソウルのは赤。色めも違う感じになっている。
「タコちゃんぽん」は汁がないということで、いわば「皿うどん」的な感じ。これはそれほどは辛くなく、しかも、具と麺の味がうまくからんでおいしかった。
でもなぜこの料理が「ちゃんぽん」なのかは、やや疑問。しかも、この店の名は「香港飯店」なのだ。なぜ、これを売り物に!?
「ソウル」の「香港飯店」で「長崎ちゃんぽん」を食べる、という不思議な経験だった。
しかし、それにしても、本物の「長崎ちゃんぽん」とはずいぶん違うぞということで、長崎県では、本物の「長崎ちゃんぽん」を知ってもらおう、というキャンペーンが始まったらしい。
ところで、この「ちゃんぽん」という言葉、沖縄では別の料理を意味する。野菜炒めを載せたごはん、つまり丼もの、なのだ。だから、あまり目くじらを立ててはいけない、ということか。


ふるかわ 拝

平成24年6月19日(火)
第465号「韓国・麗水万博でのバリアフリー映画とユニバーサルデザインシンポジウム」

2週連続で韓国に行ってきた。今度は公務。麗水(ヨス)の万国博覧会で開催されたユニバーサルデザインシンポジウムに出席するというのが仕事だった。

バリアフリー映画やユニバーサルデザインについて、佐賀県は全国の自治体の中でもぬきんでて熱心な取り組みを行ってきているが、そこに麗水万博の日本館政府代表の荒木さんが注目され、「日本館が支援するので、こうしたバリアフリー映画やユニバーサルデザインについて、万博会場でシンポジウムを行ってはどうか」と提案があり、それに応えての開催となったものだった。

当日の構成は、第1部がバリアフリー映画で第2部がユニバーサルデザイン。
僕とコーディネータのイ・ウンギョンさんは1部2部共通で、それぞれにゲストスピーカーが入ることとなっていた。

EXPOホールのシンポジウム会場は、210余席。地味なテーマだけにどれだけ席が埋まるか心配だったが、立ち見が出るほどの盛況となった。9割以上が韓国の方。視覚障碍者3人、聴覚障碍者6人、肢体不自由者16人と身体障碍のある方も25人参加していただき、会場は熱気に包まれた。

第1部・バリアフリー映画のゲストは映画監督の西川美和さん。彼女が撮る作品はここ数年のものはバリアフリー版が制作されているので、今回、ご登場いただいた。
佐賀県のバリアフリー映画に対する取り組みを紹介する前に、まず、世界初公開のバリアフリー版アニメーション「ドラえもん」(上映時間約10分)を上映した。上映後西川監督が「いい話で、不覚にもうるっときた」と言われたほどのいい作品。しかも、それがバリアフリー版という形で字幕と副音声を付けたおかげで障碍のある方を含めてしっかり届いたようだ。
ある参加者から「エンディングで風にタンポポが手を振ってくれたシーンがよかった」という感想をいただいたが、この参加者は視覚障碍のある方。実際に画面をご覧になったわけではないのだが、このように鮮明なイメージが浮かんでくるような感想を話していただけた。「これがバリアフリー映画というものだ」とうれしくなった。この声を聞いただけで、「やってよかった」という気になった。

第2部・ユニバーサルデザインのゲストはKBS(韓国のNHKのようなもの)のお昼のニュースアンカーのイ・チャンフン氏。この方は視覚障碍者。点字端末機(記事を点字に変換する機器)を使うと、ふつうにニュースを読むことができるという。
僕からまず佐賀県のユニバーサルデザインの取り組みを紹介した。韓国ではまだユニバーサルデザインという考え方があまり広がっていないということだったので、シャンプーとリンスをどう区別するか、という話からスタートさせた。たとえばプサンの百貨店に置いてあった12種類のシャンプー、リンスのうち、点字やギザギザをつけてあったものは2種類だけ。その点、佐賀市内の一般のスーパーで確認したところでは、9種類のシャンプー、リンスの全部にギザギザがつけられ、目をつぶっていても区別がつくようになっていて、ユニバーサルデザインの進展状況には違いがあることを感じた。
ちなみに、イ・チャンフン氏が使っているシャンプー、リンスはそのままだと区別できないので、シャンプーに輪ゴムを巻いているという。もっと、ユニバーサルデザインの考え方が広がっていけば、という点で意見が一致した。
シンポジウム後、イ・チャンフン氏に同行されたKBSの部長さんが「たいへん勉強になりました。KBSとしても、これからバリアフリー映画やユニバーサルデザインについて関心を持って報道していきます。」とおっしゃった。またまた「やってよかった」という気になった。

会場は本当にいっぱいだった。予想をうわまわる入場者の数だったので椅子が足りないだけでなく、同時通訳のレシーバーも足りなくなっていた。日本語と韓国語で進められたこのシンポジウムだったから、レシーバーなしには理解が難しかったと思うが、それでもこのシンポジウムを見てみたいと、立ったまま、レシーバーなしでも真剣に聞いてくださる方が何人もおられたのには、まことに頭が下がった。くどいようだが、「やってよかった」と三たび感じた。

海外で佐賀県が主催してイベントを行う、ということはほぼ未経験だった。県庁側担当スタッフは昼夜を分かたず準備に追われていたし、一方、シンポジウムのスライド原稿に対する僕の要求水準もきわめて高いものがあったからそれもやりながら、とかなり大変だった。さらに、当日もいろいろ苦労があったことは事実だ。

それでも、これだけのイキイキとした反応があった。ということからすれば、やはり、「やってよかった」と思って間違いないのだろう。

お世話になったみなさん、準備が大変だったみなさんに、心から御礼と感謝を申し上げたい。

ふるかわ 拝

平成24年6月12日(火)
第464号「おしい!ゆうパック」

先日、家に帰ってみたら郵便受けに「ご不在連絡票」が入っていた。要するに「荷物を届けましたがご不在のようでしたので」というやつだ。さっそく連絡をとろうと思って連絡票を見たら、荷物はゆうパックで送られていた。「これは今日はだめだな。」時刻は18時過ぎだった。

一般の宅配便の場合は「ご不在連絡票」に必ず配達担当の方の携帯電話の番号が書いてある。だから、その番号にかければ担当の方と話すことができて、多くの場合、当日再配達していただける。
ところがゆうパックの場合、この携帯電話の番号が書いていないことが多い。というか僕が記憶する限り、書いてあったことがない。ゆうパックは支店によって取扱いが違うそうなので、僕だけの個人的な経験かもしれないが・・・。

僕が受け取った「ご不在連絡票」には、連絡方法がこう書いてある。
(1) ドライバー直通携帯電話
(2) 24時間自動受付
(3) インターネットによる受付
(4) 郵便又はファックスによる受付
(5) 支店による電話受付(7時〜18時)
(6) 当支店のゆうゆう窓口でのお受け取り(24時間対応)

たしかにメニューは多い。
ところが、真っ先に書いてあるこの「(1) ドライバー直通携帯電話」。さきほど述べたように、僕の記憶する限り、電話番号が書いてあったためしがない。よく見ると、豆粒のような文字で「ドライバーが交代制で配達を行っている場合は、携帯電話番号による再配達の受付が出来ないため、携帯電話番号を記載していない場合がございますので、あらかじめご了承願います」と書いてある。

だから、支店による電話受付に電話をしたいところだが、これは18時までとなっている。
英語による再配達の申込みは電話番号が別なのだが、この電話番号の営業時間は土日も含めて22時まで。英語でかければ日本語の場合よりも長い時間対応してもらえる、ということだろうか?

また、郵便局の窓口まで出かけていけば受け取れる「ゆうゆう窓口」。サービスは24時間対応なのだが、事前に電話で連絡をしておく必要があり、しかも、その電話番号は7時から18時まで、とされている電話番号と同じ番号なのだ。微妙だなぁ。

この日、支店による電話受付の時間は過ぎていたけど、僕は電話してみた。その電話番号は、24時間対応窓口の電話番号でもあるからだ。
しばし待たされたが、電話を取っていただいて話をすることができ、翌日午前中に配達してもらって事なきを得た。でも、ほかの会社であればその日のうちに再配達してくれていたのではないか、と思ってしまうのも事実だ。

コンビニでも受け付けたり、荷物の追跡サービスがあったりと、昔と比べたらゆうパックも頑張っているんだけど、なんかイマイチなんだよな。もうひと頑張りして、ドライバー直通電話番号を必ず書くようにしてくれたらいいのに。
おしい!


ふるかわ 拝

平成24年6月5日(火)
第463号「麗水万博で感じたデジタルとアナログ」

この週末、韓国・麗水(ヨス)の万国博覧会に行ってきた。唐津市と麗水市の姉妹都市締結30周年のお祝い及びジャパンデーのために唐津くんちの七番曳山「飛龍」が麗水万博に参加することになり、僕もその一員として週末を利用してプライベイトで参加することにしたものだった。

世界初のデジタル万博との触れ込みでスタートした麗水万博だったが、「デジタルもいいけど、アナログもね」というのが感想だった。五つのエピソードで万博を振り返ってみたい。繰り返しになるが、今回の渡航はプライベイトだったので僕が何者であるのか相手は知らなかった、という前提で読んでいただきたい。

エピソード1 デジタル万博のシンボルとして、主要パビリオンはスマートフォンを使った事前予約制をとっていた。そこはデジタルそのものだったがこれが韓国では不評で、先日から事前予約制が廃止され、ただ並ぶしかないという制度に変わった。ということで大変な行列が出現。大人気の水族館など、日曜日だったせいもあるが5時間待ちだった。いきなりアナログになっていた。

エピソード2 ランチタイム。チケット制のフードコートで韓国料理を食べようとメニューをみたら、参鶏湯とソルロンタンが。それでは、と同行者と話をして「ソルロンタン二つ」と頼んだところ、カウンターのおばさんが「参鶏湯にしろ」とうるさい。アジュマに敬意を表してソルロンタン一つと参鶏湯一つにした。このフードコードでは注文したらその情報がそのままキッチンに伝送され、準備ができたらその注文番号が掲示板に表記されるというデジタルなシステム。ものの1~2分で注文した品は出来上がった。テーブルに運んでいって、いただきます、と食べ始めたら、そのアジュマがこちらにやってきて、こうやって食べるんだ、と参鶏湯の中をぐちゃぐちゃにしてかき混ぜてくれた。ここはアナログな対応でしたね。

エピソード3 曳山は現地の人にもとても喜んでいただけた。写真や写メをとる人たちも多くいてうれしい。よく見ると、使われているのはスマホかタブレット型端末で、折り畳み式の日本的なケータイはまったくみかけない。iPadよりは小さいタブレット型端末をもっている人が多く、これは日本よりデジタル化が進んでいることを感じた。
ただ、エンヤというこちらからのかけ声に沿道の人たちがエンヤと応えてくれる。手も振ってくれる。拍手もしてくれる。このアナログな感じはとても温かかった。
僕らは海外から交流団の人たちが来たとき、そういうビビッドな反応をしてみせているだろうか。

エピソード4 韓国企業館のどれかに行ってみよう、とSKテレコム館にいくことにした。理由があった。この館に行ったことのある人から「あれはつまらなかった」と言われていたから、だ。
本当につまらないのかどうか実際に体験してみたかった。並ぼうとすると館のスタッフの人が僕たちの左手首のところにテープを巻いてくれる。SKテレコム館の入場者であることを示すものだ。なぜこういうものが必要なのかわからなかったが、なんかアナログな感じだなあと思いつつ15分ほど待ってから入場。通信会社のパビリオンだからコンテンツはデジタルそのもので、これからの英語教育の姿やレクサスを使っての自動運転のデモなどが実演されていた。おもしろくないわけではないが、びっくりするようなこともなかった。
この館に行ったのは帰国日で自分の荷物を持ったまま入ったのだが、それを見つけたコンパニオンの人がエレベータを使わせてくれた。僕たちに話しかけ、さらには館内の案内もしてくれた。とても親切だった。これはアナログなうれしさだった。
そうそう、ところで麗水万博でびっくりしたことが一つ。このパビリオンに限らず、映像を観るとき、みんな座って観るのだ。シートを広げている人もいる。360度の映像が自慢の韓国館に至っては、寝そべって見てる人もいた。お弁当を食べている人、はさすがいにいなかったが。デジタルの映像をアナログっぽく楽しんでいた。

エピソード5 SKテレコム館を観終えたらいい時間になった。荷物を持って万博会場ゲート2から外に出ることにした。その日は1日用の入場カードで入ったのだが、出るときも係の人がそのカードを読み取り機で確認している。デジタルだなあと思って外に出て、国際旅客ターミナルに到着した。
そのときに気づいた。実家から頼まれていたお土産を買うのを忘れていたのだ。
もう1度、僕はゲート2に戻った。「再入場できないか。入場カードもある。」と見せた。入場カードには「1回だけ再入場できる」と書いてあったからだ。ところが再入場するためには、出場のときにスタンプが必要だという。僕は入場カードをデジタル処理していたのでそのカードを見せれば出入場履歴がわかると思っていたのだが、それは間違いだった。「申し訳ありませんがスタンプはありません。おみやげを買いたいだけなのですが。」と言った。「私はたしかに再入場であって、だれかの入場カードを入手して不正に入ろうとしているわけではありません。」とも言った。「その証拠に」と、あるものを見せた。それがSKテレコム館でつけてもらった左手首のテープだった。「これを見てください。私はここにも行っていたのです。」と訴えた。
「わかりました」と係員の人が言ってくれた。「買い物ということですね。私が場所をご案内しますから。」とギフトショップに僕をつれていってくれた。そこでおみやげを買うことができた。あのテープのおかげだった。

この万博、観客が圧倒的に韓国人なので多言語対応などはできていないところもあるが、おもしろいものもいろいろある。夏休みなどぜひいちど足を運んでみられてはいかが?


ふるかわ 拝