2013年2月

平成25年2月26日(火)
第501号「「オリンピック・パラリンピックの一体化」

2月21日、下村文部科学大臣に面談した。メインテーマは、国際リニアコライダー(ILC)だったのだが、そのほかにも佐賀県としてぜひ下村大臣に申し上げておきたいことがあった。
時間が限られていたので、出されたお茶にも手をつけず、三つの事柄についてお話ししたのだが、その一つが「オリンピックとパラリンピックのさらなる融合」だった。

このコラムでは何度か取り上げているのだが、世の中の流れはオリンピックとパラリンピックの一体化だ。
我が国でも、いま招致しているのは「東京2020オリンピック」ではなく、「東京2020オリンピック・パラリンピック」だ。

その一体化の象徴として佐賀県がまず提案したのは、メダリストの顕彰は、オリンピックもパラリンピックも同じようにお願いしたい、ということだった。
そのシンボルとして、ぜひメダリストたちのパレードはオリンピックとパラリンピックの合同でお願いしたい、と訴えた。
僕の頭の中にあったのは去年のロンドンオリンピックのメダリストたちの銀座でのパレードのこと。そこにはパラリンピックのメダリストたちの姿はなかった。
それに対し、大臣は「あのパレードはJOCが主催したもので国は関わってなかった」「熱が冷めないうちにやろうということで急に決まったので、パラリンピックを無視したわけではなかった」などと答えられた。
そうだろうと思う。だからぜひ、まずはソチ冬季大会、そしてさらにはリオデジャネイロの大会のときには合同にしていただければと思う。

一体化の二つ目が、オリンピックのために作られたマルチサポートハウスをパラリンピックにも使えるように御配慮をお願いしたい、ということだった。
実は、このことについて、去年の8月21日付けの週刊yasushi第474号「オリンピックが終わって」で、「たいへん良い施設なのだが、文部科学省の予算で開設された施設なので、パラリンピックの選手たちは使えない」という内容のことを書いた。そのときは、現地でそのような説明を受けたので、それを信じてそう書いていたのだが、今回、大臣にお話するに当たって改めて調べなおしたところ、「文部科学省からは厚生労働省に『使いませんか』と声をかけたものの、厚生労働省側では、あらかじめそのための予算を取ってなかったのであきらめざるを得なかった」というのが正しいようだ、ということがわかった。
お詫びして訂正します。
ただ、それにつけても、パラリンピックの選手たちが使えなかったことには変わりない。ぜひ、これも次回から改善をお願いしたい、と提案した。

最後に、もう一つ。ナショナルトレーニングセンターのユニバーサルデザイン化について。
東京・北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターはナショナルレベルのトレーニング拠点として整備されたものだ。最近ではパラリンピックをめざすアスリートたちも使い始めているが、利用者の多くは健常者たち。
ユニバーサルデザインの考え方がまだ普及していない時代の施設なので、たとえば施設と施設をつなぐ扉に自動ドアが少ないとか、宿泊施設に段差があって車いすが使えない、階段に手すりがない
など、身体障碍のあるアスリートたちには使いづらいものとなってしまっている。
こうした点についても、工夫と改善をお願いできれば、と申し上げた。
大臣は聞かれた。「佐賀県とは直接関係のない話だけど、なぜこういう提案をしているの?」
僕はこう答えた。「佐賀県では健常者も障碍者もスポーツの所管を一緒にして進めています。こうする中で気づいたことがあったものですから。」
さらに大臣は言われた。「厚生労働大臣にもよく言っておいてね。」
「はい、そのつもりです。」と答え、ここでやっとお茶をいただいた。

もう時間のようだ。僕はさらにひとこと付け加えた。
「お茶もありがとうございました。しかも、器が有田焼でございました。重ねて御礼申し上げます。」
出されたお茶、おいしかったが、香りからして嬉野茶ではなさそうだった。この次にはお茶を持っていこうかな。


ところで、このところオリンピック・パラリンピックやジン・エアーなど国際的な話題が続いているが、佐賀県にも頑張っている若者がいるので、是非ご覧いただきたい。
https://readyfor.jp/projects/saga_delegation
アメリカ西海岸に大学生を派遣する事業を南カリフォルニア佐賀県人会に実施していただいているが、前に参加した学生が今年参加する学生の負担を軽くするために資金を集めている。いい話じゃないですか。


ふるかわ 拝

平成25年2月19日(火)
第500号「皇居とドン・キホーテ」

今回の東京出張はちょうど旧正月と重なった。たくさんの外国人の人たちを見かけた。

僕の泊まったホテルにもおおぜいいた。
ホテルのスタッフの人が「今年の春節は中国からの入り込みが例年に比べると少ないですが、それでもお正月が2度あるということなので大変ありがたいです」と素直な感想を漏らされていた。

「新暦の正月のときはどうなんですか?」と尋ねたところ、
「それはそれで外国人の方が結構多いです。」
正月を新暦で祝う、というかクリスマスから続くホリデイシーズンを楽しんでおられる人たちということだろうか。
「そういう人たちはどこに行かれるのでしょう。だってお正月って、あんまりいろいろやってないじゃないですか。」
「皇居なんです。」

僕は驚いた。
「皇居?ですか?」
新年祝賀の儀には誰もが行けるわけではないし。

「一般参賀です。1月2日になると1日2回エンペラーがご挨拶をされる、という情報がネットで流され、それがけっこう広がったみたいです。このホテルでも、その日、たくさんの人たちが同じ時間帯に『インペリアルパレス』と言って出かけておられました。」
「ほおー」
「そして帰りには日の丸の旗を両手に抱えて、嬉しそうに帰ってこられます。」

一般参賀が日本の正月観光の目玉になっているのか。
新鮮でした。

新鮮といえば、先日、ドン・キホーテのゼネラルマネージャーの中村好明さんにお目にかかることができた。中村さんは佐賀県のご出身。いまドン・キホーテで、インバウンドのお仕事をされている。
それまで「アフター7は何もない」と言われた日本の観光において、「外国人にドン・キホーテに来て買い物を楽しんでもらう」という新しいスタイルを作られた方だ。
ゼロから立ち上げて成功された方だけに話がおもしろいし、ただ、儲けるということではなく、その背景の哲学を大切にしておられることがよくわかる。

皇居もドン・キホーテもいろんなところで新たな展開が出てきている。

僕もがんばらんば。

ふるかわ 拝

平成25年2月12日(火)
第499号「ジンエアー 佐賀−ソウル路線開設へ」

ソウルは寒い。どれくらい寒いかというと、ソウル市内を流れている川が凍ってスケートができるくらい、だ。
今回、ソウルに行ったのは2月6日、7日だったのだが寒さの最盛期。
最低気温がマイナス18度。朝8時にホテルを出て街の食堂にごはんを食べに出かけたが、ホテルのドアを開けた瞬間、顔にとげがささったような感覚になった。寒いというよりは痛い、だ。

その寒い中、ソウルを訪問した目的は、佐賀−ソウル便の就航に向けた意向書の調印のためのジンエアーとの協議だった。いくつかのクリアすべき課題を指摘されながらも、「今年の夏の週3便の運航開始に向けて双方取り組む」ということで協議が整った。
ちなみに佐賀県に宿泊された外国人観光客のうち、韓国人の占める割合は59%でトップだ。嬉野温泉、ゴルフ、そして最近では武雄のオルレが人気だ。だからそれをさらに増やしていきたい、というのが今回の路線開拓の狙いの一つなのだ。

ところで、ジンエアー。JIN AIR。漢字で書くと「真エアー」。韓国焼酎「真露」の「真」だ。「まことの、とか本当の、航空会社をめざしたい」という気持ちからネーミングしたという。
さらにもう一つの意味があった。それは「ブルージーンズで乗ることができるような気軽なエアラインを目指そう」ということで、ジーンズのJINでもあるという。
だからパイロットやCAなどの乗務員はみんなジーンズをはき、ポロシャツを着ている。
ちょっとないエアライン、でしょ。

韓国と日本の間の人の往来は震災や領土問題もあって、ここ1〜2年低迷していた。それを象徴するかのような記事が、ソウルに行く飛行機の中で目にした東亜日報に載っていた。
「2012年に韓国を訪問した外国人の数」の調査結果だ。トップは中国で374万人だった(台湾・香港を含んで、だが。)。2位が日本で351万人。
ああ、そうか、ではない。記事によれば、この調査では、これまで日本がずっと1位で、2位になったことはないという。2012年はここ数十年の歴史上、びっくりするようなことが起きたのだった。

そして2013年のいま。九州と韓国との関係についていえば、すでに回復していて渡航者の数も対前年比プラスになっている、ということのようだが、東日本のほうは十分な回復が見られていないらしい。
とはいえ、九州においても、この春、長い間就航してきた大韓航空の長崎−ソウル路線が運休になることが公表されているし、LCCの参入で急激にパイが拡大した福岡−ソウル路線もこの春、かなり減便になる、という情報もある。
そういう周辺の状況の中で、佐賀−ソウル路線を新設して果たして大丈夫だろうか、という疑問も、韓国側の関係者にぶつけたみた。

答えはそれぞれだった。「円安になりウォンが高くなっているので、韓国人が日本に旅行したいという気持ちは以前よりも高まっている」「どうしても東京などの情報が多いので佐賀も九州も情報をしっかり出していくことが必要」「以前佐賀にプログラムチャーター便を出したとき、搭乗率は96.8%だった。佐賀を拠点にした商品でここまでお客様が集まる、という結果を出してもらっているので双方で取り組んでいけばビジネスとしても成立すると思う」「この春の福岡の減便は、これまでの半年間くらいあまりにも座席数が多くなりすぎてやや混乱があったことの反動。根本的に九州と韓国との間の交流が減っているわけではない」など。

いずれにしても前向きに議論や検討を進めていきましょう、ということだった。

ジンエアのトレードマークは「蝶」。これは「自由な雰囲気のジンエアがさらに蝶のように自由に飛び回りたい」という願いがこもっていると聞いた。
手ごろな料金のLCCが就航すれば、ソウルもぐっと近くなる。
1万円両替すれば最近でも13万ウォンぐらいだったのが、今回は10万ウォンちょっと。その分、韓国から日本に旅行される方はウォンの価値を実感されるだろう。
日韓の旅行者が気軽に、蝶のように自由に飛び回れるようになったら楽しいな。


ふるかわ 拝

平成25年2月5日(火)
第498号「公務員の退職手当問題 駆け込みはどっちか?」

最近、「公務員の駆け込み退職」のことが話題になっている。

たとえば、「埼玉県で教職員が120人駆け込み退職」(産経新聞)といったふうだ。

これは、国家公務員の退職手当の引下げに合わせ、埼玉県はじめいくつかの県(佐賀県もそうです。)が国と同じように年度内に退職手当の引下げを実施することとしたところ、「引下げ前に辞めた場合と引下げ後に辞めた場合とで退職金に大きな違いがでる」ということで3月末日の退職を繰り上げて年度内に辞める人たちが出てきた、ということだ。
佐賀県も国と同じ1月1日に引下げを実施したので、たとえば教育委員会では140人中36人の人が繰り上げ退職を選んだ。県として、できるだけ残ってほしいという要請はしたが、生活もあること。そう無理を言うことはできなかった。
ただ、避けなければならなかったのが、早めに辞める先生が出ることで、たとえば3学期から担任の先生が変わる、といったことだ。
埼玉県と佐賀県が大きく違うのはそこだった。佐賀県は、健康上の理由で退職された一人を除いて、すべて1月からその教員を臨時任用して、3月末までは担任として、あるいは教科の先生として、最後まで仕事をしてもらうこととしている。おかげで、学校現場では混乱なくスムーズな運営ができていると聞いている。

あくまでも平均だが12月末と3月末では150万円くらい退職手当に差が出る。これだけ違うのであれば心が揺れるのもわかる。そういう中、多くの職員たちが残ってくれたことに感謝したい。
もちろん、早期退職を選んだ人もそれなりに理由があったのだと思う。

僕が言いたいことは三つだ。
一つ。佐賀県もそうだし埼玉県もなのだが、今回のような問題が起きたのは、国と合わせて1月1日あるいは年度内に引下げを実施した自治体だ。新年度、たとえば4月1日からこの引下げを実施する自治体ではこのような問題は起きない、ということだ。
もう一つ。国家公務員の退職手当を引き下げる法案が成立したのは、平成24年11月16日。これは解散の日だ。よりによって解散の日に成立させる法案だろうか。
公務員の退職手当のあり方について、これまでのままでいいと言っているのではない。「いつ成立させれば、どういう影響がどの辺に出る」ということも考慮に入れて制度設計なり法案提出をすべきだったのではないか、ということだ。何か、衆議院議員選挙の際に「国・地方あわせて公務員退職金をカットしました」と言いたいがためにあわてて成立させたのではないか、という気さえしてしまう。こちらのほうがよほど「駆け込み」ではないだろうか。
さらに一つ。今回は自治体における「駆け込み退職」が話題になっているが、では本家本元の国は何人そういう人がいるのか。
答えは「不明」。国はこの情報を出していない。
国の情報開示の仕方については、ほかにも言いたいことがある。たとえば、地方は人件費の総額を予算でも決算でも公表しているのに、国は予算ベースしか公表していないのだ。しかも、それによれば国家公務員のほうが地方公務員よりも一人あたりの人件費が高い。それなのに「地方公務員のほうが給料が高いから下げろ」といったやり方は納得できない。さらに、「職員給与のカットを前提に、その分地方交付税を減らす」という。こういうのって、ほんとにいいんだろうか。地方交付税っていうのは地方固有の財源だというのに、だ。

ただ、こういうことは地方公務員を長くやってきた自分だから、感じるのだろうか。自分のほうが世間からずれているのだろうか。
そう思って、民間企業のトップを経験したある知事に、今回のことをどう思っているのか尋ねてみた。
「ありえませんね」。彼は言い切った。
「従業員の給与を自分で決められない経営者は、そもそも経営者として問題です。っていうか、自分たちの給与を決定する権限のない経営者に従業員、ついていきますか?」
さらに彼は言葉を継いだ。
「民間企業なら公取に訴えますね。優越的地位の濫用だって。」

僕が感じていることはあながち的外れでもなさそうだった。


ふるかわ 拝