2013年5月

平成25年5月28日(火)
第514号「きゃりーぱみゅぱみゅはなぜ発音しにくいのか」

最近、高校の同級生のメーリングリストで盛り上がっていたのがKPPネタだった。「きゃりーぱみゅぱみゅ(以下KPPと書きます。)」のことだ。
同級生で役者をやっているのがいて、彼は時々ナレーションの仕事もするのだが、KPPがデビューしたとき、そのあまりの発音の難しさにおののき、ナレーション仲間と「ぜひこの子は売れないでほしい」と心から願っていたのだと言う。
その願いも虚しくKPPはブレイクしてしまった。

なぜこの発音が難しいのか。メーリングリストではいろんな意見が飛び交った。
ある者曰く、「問題はパではなくミュではないか」。
ミュという音がそもそも日本語になじんでいないのでは、というのだ。

そういう議論をしていたら、文学部卒業者からこういう投稿が来た。
日本語学者の金田一春彦先生が数年かけて日本語の中でどういう発音が実際に存在するのかを調べたところ、「ミュ」の音は日本語にほとんどないということがわかったのだと言う。唯一近い音で確認されたのが固有名詞で「大豆生田」という苗字と地名。「おおまめうだ」などいろいろな読み方があるが「おおまみゅうだ」と読むこともある。金田一春彦先生は、この単語に出会うまで、「ミュ」という発音を日本語の音節表から外すべきだと考えておられたらしいが、この苗字の人物に出会ってその考えを改めたという。

確かに「ミュ」という音を発音するのは日本語では珍しい。
そもそも日本語にミュと発音する言葉があるのかという話になって考えてみても、出てくるのは「ミュージアム」、「ミュージック」。外来語しか出てこない。しかもミュではなく「ミュー」だし。
「ミュ」という発音で発見できたのは「シミュレーション」だった。この言葉。みなさん発音してみてください。
つい、「シュ」ミレーションと発音していませんか?
(日本シミュレーション学会という学会があってこの学会の会長さんもつい「シュ」ミレーションと発音しているらしい。)
そもそも「ミュ」の音を発音するのが日本人にとって苦手なのだろう。
そういえばコミュニケーションもそうだ。これもついコ「ミ」ニュケーションと言うことが多い。酒を飲むことをノミニュケーションという人もあるが、これも元々コ「ミュ」ニケーションではなくコ「ミ」ニュケーションと思っているところからの発想かもしれない。

ということであればKPPの発音が難しいのは全世界的ではなく、日本人にとってということになる。
試しに、友人のアメリカ人に「KPPって発音をしてみて」と言ったら、事もなげにKPPと発音してくれた。
では、中国人はどうか。友人の中国人に趣旨を説明したところ、
「簡単ですよ。中国語には音がたくさんありますから」と自信満々。
「では発音してみて」と発音してもらったら、僕らとおなじように「キャリーピャムピャメ」みたいな感じ。
本人、「今は日本語をしゃべりながらなので、頭の中が日本語なんですよ」と言い訳していた。
でも、なんかそれ分かるな。英語をしゃべるときには明確に言い切ろうと思うし。言葉をしゃべるというのは、頭の中で文化構造を切り替えているような気もする。

と、ここまで書いてふと気づいた。
我が佐賀県では、「してみゅうか(してみようか、やってみようか)」「飲んでみゅうさい(飲んでみようよ)」など割と普通に「ミュー」を使っているのだ。佐賀弁の重要なアイテムである「ミュ」という発音が日本語の音節表から外されそうになっていたとは!

それはともかく、比較的「ミュー」という発音に親しんでいると思われる佐賀弁の達人にKPPと言ってもらったが、うまく発音できなかった。やっぱり日本人には難しいのだ。

ふるかわ 拝

平成25年5月21日(火)
第513号「安倍総理の佐賀県訪問」

5月19日(日曜日)、安倍総理が佐賀県に公務で来られた。現職総理が選挙の応援などの政務でなく、佐賀県での公務のために来られたのは、おそらく海部総理以来ほとんど四半世紀ぶりではないか(昨年7月の九州北部豪雨被害視察の帰りに野田総理が佐賀空港を利用されたように、他県での公務に際して佐賀県にも立ち寄られたことはあるかもしれないが・・・)。

今回は、まもなくオープンする九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)の視察と地域で活躍する人たちの話を聞く「車座ふるさとトーク」の開催が目的。
サガハイマットとしては、正式オープンを6月1日に控え、その直前に総理に来ていただくという願ってもないはなむけとなった。
総理は先日ロシアに行かれたときにも、粒子線の医療技術とスタッフでロシア側に協力することについてご発言をされている。
また6月にはフランスの大統領が来日され、その時にもこの重粒子線によるがん治療センターのフランスでの活用について話が出る予定だというし、そのさきがけとして既にフランスの医療機関エトワールの関係者がサガハイマットの視察を終えている。

現場で総理は終始熱心にお話を聞いておられ、「粒子線など放射線による治療と外科的治療は同時並行して行うのか」「何人ぐらい患者を見込んでいるのか」「陽子線治療とはどう違うのか」など十時理事長に質問されていたが、このほかに海外への輸出や海外からの集患にも関心を示されていた。

僕からは総理に「このプロジェクトは、行政と民間とが力を出し合い、九州・山口の大学が協力をし、さらに福岡県が県境を越えて補助金を出すなど、この地域全体でサポートしていただいているもの」だという話をした。あわせて「ものを作るだけでなく、人の養成が何より大事。ソフト・ハード一体とならなければ、この治療は実現しない」と申し上げた。

その後、場所をベストアメニティスタジアムに移しての車座ふるさとトーク。地域で活躍する佐賀県内在住の12人の人たちが自分の活動を通じて感じていることを総理とやり取りするという企画で、日本でただ一人の女子大生鷹匠石橋美里さんが操るハヤブサ「プリーモ」が空から総理をお出迎えしてくれ、トークがスタートした。

トークの様子はニコニコ動画でライブ配信されている。
というのも、この12人の中にニコニコ動画の世界の有名人「よーらい」さんがいるからだ。
総理とのトークにニコニコ動画で活躍している人が含まれていたり、その様子がライブ配信されることにOKが出たり、猛禽類であるハヤブサを使ったデモンストレーションに了解が得られたりと、今回官邸とのやりとりを通じて、自分たちが思っている以上に、国の少なくとも中枢部はフレキシブルな考え方になっていることに気づいた。また、サガハイマットの治療室で医師から説明を受けておられる総理の様子をいいアングルでカメラに収めようと秘書官や随行の人たちがiPadで撮影しておられる姿がとても一所懸命で印象的だった。スマホじゃなくてiPad、というところが新鮮だったのだ。

とにもかくにも、こちらもうかうかしていられないと思った。

官邸に感心していることが、もう一つある。それはいち早く、LINE(ライン)で公式アカウントを立ち上げたことだ。LINEはSNSサービスの一種で、登録した相手にメッセージを送ることができるもの。もともとは韓国でスタートし、日本でも今や4,500万人のユーザーがいると言う。
民間企業ではこのLINEに公式アカウントを設ける動きが出てきているが、行政機関では見かけなかった。
それを官邸はいち早く立ち上げたということだ。

今回佐賀県は、LINE@のパブリックアカウントをスタートさせた。
LINEをお使いの方は、「佐賀県」または「@saga_kouhou」で検索してみてほしい。
WebやFacebookとは違った形で情報をお届けすることができると思う。


ふるかわ 拝

平成25年5月14日(火)
第512号「どーでもいいことですが 旅費篇」

僕は、内閣府が所管している地方分権改革有識者会議の構成員だ。神野直彦先生が座長を務められていて、新進気鋭の学者の方から大物の先生方までさまざまなキャリアと専門性を持つ方の集まりで、いい刺戟になっている。僕は森雅志富山市長、白石勝也愛媛県松前町長と並んで、現場代表で参加している。
構成員なので、会議に参加するに際しては旅費が出る。基本的には佐賀−東京の飛行機代ということで、それには不平も不満もない。
ところが、こういう仕事をしていると、いつもいつも当日佐賀から東京に行くわけではない。

そのような場合、旅費はどこからどこまでが出るのだろうか。
事務局に聞いてみた。それによると、
京都で仕事があって、そこから東京に向かう、という場合は京都から東京まで(のようだ)。
かりに那覇で会議があってそこから東京という場合でも、那覇から東京まで出る(らしい)。

この二つは実際にはやったことはないが事務局の説明を聞くとそういうことのようだった。つまり直前の用務地から東京まで、です、ということなのだ。

では、仕事が海外で行われていた場合はどうだろうか。
今回、実際にそういうことになった。
5月13日にスイスのセルンという研究所を訪問した。僕は数年前に一度行ったことがあったが、今度は福岡県の小川知事と一緒にILC(国際リニアコライダー)の誘致に向けた取り組みの一環として行くことになったものだ。仕事を終えたらすぐ日本に帰ることになるが、そのタイミングで東京で地方分権改革有識者会議が開かれることになっている。
本当はまっすく佐賀に帰りたいところなのだが、この有識者会議に出席するために一度東京に行かなければならず、そこでヨーロッパからの帰りはソウル経由ではなく、東京に立ち寄ることにした。

つまりこういうことだ。
本来なら
ジュネーブ→(アムステルダム経由)→ソウル→福岡そして佐賀へ
という行程にしたかったところ、
ジュネーブ→(アムステルダム経由)→ソウル→東京 
またはソウルを経由せずに
ジュネーブ→(アムステルダム経由)→東京 
とすることが必要になったのだ。

さあ。この場合、どこからこの有識者会議の旅費が出るのだろうか。
断っておくが、僕は一円でも多く旅費がほしいと思ってやっているのではない。二重取りを防がないといけないのでどこからどこまで国から支給されるのか、というのは重要な情報なのだ。

考え方として、東京に来る直前の用務地から、ということになるとジュネーブということになる。でも、さすがにこれはちょっとね。
ソウルから福岡に帰る予定だったのを東京に変更するのだから、ソウルから、という考え方もあるかもしれない。
または、そもそもどこにいるかに関係なく、佐賀から東京、という考え方もあるかも。

と思って相談してみたところ、結果はきわめて明快だった。
「基本的には直前の用務地から東京までの旅費を出すことになっています。ですから、那覇だろうが、札幌だろうが、そこから来られるというのであれば出します。
ただ、海外の用務地からの場合は一切出さないことにしています。また、成田空港にお着きにあるのであれば、京成線をご利用ください。羽田空港であれば京急の利用をお願いします。
空港から内閣府までの電車代については出すことができます。領収書はいりませんが、もし、その区間を公用車等で移動される場合は旅費を出すことができません。」

自分なりに整理してみると、海外の用務地からの場合は出さないとしているわけではなく、国内に着いた地点からの旅費を出すことにしている、ということなのだろう。

どーでもいいことですが、なんとなくおもしろかったもので。
あ、ちなみに飛行機代の支払はすべて領収書と実際に乗ったという搭乗証明添付が義務なので、ヘンなことはできないようになっていることも申し添えますね。

この有識者会議。少しでもいい内容の提言を骨太方針や成長戦略に入れ込もうとがんばっているところ。現場の声をなんとか反映させていきたいと思う。


ふるかわ 拝

平成25年5月7日(火)
第511号「脊振ILCハイスクール!」

ILC(国際リニアコライダー)に関して、動きがいろいろ出てきている。
最近のトピックでは、このILCを感覚的に分かってもらおうということでできたプロモーションビデオ(PV)。
タイトルは「脊振ILCハイスクール!」

素粒子物理学の先生が話されるのとはまったく違ったアプローチで、天才集団「チームラボ」のみなさんたちの手によってできたこのPV。
動画投稿サイトYoutube上で、英語、フランス語など他多言語の字幕表示に対応していて、再生回数は、リリース後10日で10万回を突破。
一昨年制作した佐賀県のPV「THREE MINUTE TRIP TO SAGA」は8か月10万回で、それでも自治体が作ったものとしては相当多い方だったことを考えると、今回のこの「脊振ILCハイスクール」はかなりの人気だと言える。

しかも、これはすべて著作権フリー。これを観てインスパイアされた人たちがどんどん勝手に使っていってもらって好きにスピンアウトした作品を作っていってもらう、という仕掛け。
ぜひ、若手のデザイナーなどに挑戦してほしい。

物語は脊振ILCハイスクールが舞台。平凡な毎日を送っていた「陽電子(ようでんし)」という女子生徒。そこに突然、転校生「電子(でんし)」がやってくる。(「ようでんこ」と「でんこ」でもよかったようにも思うのだが、「でんこ」は東京電力が使ってたから使えなかったのかも。)

ということでふたりの少女が出会い、そして別れ、また再び会って、とミュージカル仕立てでしかもスピード感があって、あっという間の4分間だ。

後半どんどんスピードがアップするところが「加速」なのだろうし、最後の場面は、つまり「衝突」ということなのだろう。

一度観ただけで興味をひかれ、ついつい二度、三度と観てしまう。

しかも、観ればみるほど芸が細かい、というか画面がいい。たとえば、冒頭付近で、ふつうの高校のイメージを出すためなのだろうが、雑巾が干してあるシーンが出てくる。これなどわずか1秒あるかないかの画面なのだが、それひとつ撮ってみてもきれいなのだ。

演出担当の森翔太の得意技「仕込みiPhone」もさりげなく披露されているし、何度見てもあきない。

県庁の掲示板に書かれたこの動画の紹介を転載する。

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国際リニアコライダー(ILC)の日本での実現に取り組む佐賀県は、福岡県と共同で、「ILC」への興味・関心と、有力な候補地である「脊振」の名前を全世界に伝えるため、佐賀・福岡両県を舞台とした、現役高校生たちが出演するプロモーション映像「脊振ILCハイスクール!」を制作し、公開しています。

<http://www.youtube.com/watch?v=jf2WlQcVXIM>

――総勢400人の出演者と制作者
本作は“ウルトラテクノロジスト集団”チームラボとともに、総出演者と制作チーム合わせて400人以上が参加。

唐津城のふもとに立つ早稲田佐賀高等学校の皆さまの協力のもと、現役の女子高生ふたりを主演に抜擢、素人ならではのあどけない表情をみせてくれます。

――ILCの衝突実験を擬人化
電子と陽電子を擬人化したミュージカル仕立てになっており、ILCの特徴である電子と陽電子の加速と、そして最終的な衝突(抱擁シーン)を学園ドラマに置き換え、描いています。

高品質なハイビジョン機材で撮影された佐賀県の美しい光景、元気な高校生たち、キャッチーなメロディ、高い作画力に支えられたアニメなどがさまざまなコミュニティの感性に訴えかけます。

――多彩なクリエイターが参加
本作では実にさまざまなクリエイターが参加し、それぞれのパートを盛り上げていきます。

仕込みiPhoneのパフォーマンスで世界的に注目を集めている「森翔太」が出演と演出を担当。

作中ではILCの役割を解説する教師を怪演し、200人の学生が“ILC”の人文字を作るシーンはパリコレクションなどのステージも手がける「小松隆宏」が担当。

商店街のダンスシーンは舞台などで活躍する「モモンガ・コンプレックス」が振り付け。

電子工作に「莇貴彦」、キャラ弁のデザインにデザイナーの「わたなべあすか」が参加、さらに中盤からのアニメーションエフェクトは『人類は衰退しました のんびりした報告』などで知られる漫画家の見富拓哉がキャラクターデザイン、アニメーションを新鋭アニメーター「らっパル」が手がけ、クライマックスシーンまでを盛り上げます。

――本作のすべての素材は著作権フリー
本作は映像を構成するすべての要素が、自由に共有・編集・再投稿できるフリー素材であるため、一つの映像が、さまざまな人々の手により、おのおの好みの姿に形を変えていく可能性を秘めています。
皆さまの二次創作を歓迎し、さまざまな人々の創作力によって魅力を増すことで、コミュニティの垣根を超えるさらなる「共感」を生み出すことを期待しています。

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ということでURLをあらためて紹介するとこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=jf2WlQcVXIM

ぜひ楽しんでいただきたい。


ふるかわ 拝