2014年5月
平成26年5月27日(火)
第565号「セウォル号沈没事故の船長がどう裁かれるか」

先日、東京出張の折に在日本大韓民国民団中央本部のある東京・南麻布の韓国中央会館でセウォル号沈没事故の犠牲者に献花した。
今回の事故の現場は韓国の南西部の全羅南道の観梅島(クヮンメド)沖海上。佐賀県はこの全羅南道と友好交流協定を締結している。
僕は今回の事故の全貌が明らかになってきた4月23日に朴ラ瑩(パク ジュンヨン)知事さんにお見舞い状を送った。そのことが韓国の地方紙などで報道されたりもした。
http://news.newsway.co.kr/view.php?tp
=1&ud=2014050100340263447&md=20140501085858_AO


光州毎日新聞はこちら。(翻訳あり)

それくらい全羅南道と佐賀県はいろいろと関係がある、ということで今回の献花につながったのだった。


ちなみに地震や風水害の場合には被害の大きさによってお見舞い金をお送りしたりすることもあるのだが、確認したところ「今回のような事故の場合、政府がお見舞金を受け取ることは法令上できない」ということだった。(献花台には募金箱が置いてあったが、多額の募金をイメージしたようなものではなかった。)

このセウォル号の船長の行為については、僕から見ていても卑劣としか言いようがないように思える。
まだ事故そのものが収拾していない中ではあるけれど、果たしてこの船長の行為にどういう法令が適用されるのかが気になっている。

僕は韓国の法律事情を詳しく知らないのでよくわからないのだが、今回のようなケースにおいて当然のことながら船長は「船員法」のようなものにより「必要な救助を行わなかった」として一定の刑罰を言い渡される可能性は高いと思う。
今回は、それだけでなく、殺人罪で起訴されている。
僕の気持ちとしては彼は万死に値する。朴槿恵(パク クンヘ)大統領もそれに近い発言をされていると思う。
ただ、僕の知るかぎり、殺人罪を適用するためには「もしかしたら」という程度でもいいとはいえ「殺人」に対する故意が必要になる。
仮に日本国内で同様の事故が起きたとして我が国の殺人罪を適用した判決が下される、というのはなかなか想定しにくいのではないか。ある識者は「日本だと業務上過失致死か保護責任者遺棄致死ではないか」と言われていた。確かにそうだろうと思ってしまう。

果たして韓国では、今回のケースに最終的にどのような判断がなされるのだろうか。法を学んだ学徒としてはとても気になる。

最近、セウォル号事故に関する報道が少なくなった。しかしながら、まだ何も終わっていないと思う。

あらためてセウォル号事故の犠牲者の方には心からお悔やみを申し上げるとともに、まだ見つかっていない方々の一日も早い発見を望む。


ふるかわ 拝

平成26年5月20日(火)
第564号「ゆるキャラ の いま」

ゆるキャラという言葉はみうらじゅんさんが2000年ごろ作った言葉で、すでに商標登録もされている。「地方の振興のために行政や地元のいわば『素人』が作り出す、がんばっているけどどこかあか抜けない感じを持つキャラクター」というイメージだと僕は思う。昔からその手のものはあったのだが、ゆるキャラというネーミングをみうらさんがしてくれたおかげで、近年ではひこにゃんがその火付け役になってブームが起こった。各地で広がり、その後、今治のバリィさんや熊本のくまもんブーム。くまもんになると小山薫堂さんという超・プロが仕掛けていて、すでに「ゆるく」ないし、最近ではゆるキャラコンテストに企業のマスコットまで参加するようになってきているので、ゆるキャラの定義もずいぶん変化してきている、ということだろう。
ゆるキャラグランプリは毎年僕も注目しているが、2013年の1位は栃木県佐野市の「さのまる」。120万4255ポイントを獲得していた。2位は静岡県浜松市の「出世大名家康くん」。ところがこのグランプリで1位、2位を競う、というのがどうもゆるキャラらしくない、と思っていた。ゆるキャラならばむしろ下位に光を当てるほうがいいのではないか。

栄えある最下位(とあえて表現しますが)は、京都市南丹市の「さくらちゃん」。得点は20ポイント。1位とは相当差がある。でもこのさくらちゃん。なかなかすてきなのである。このさくらちゃんの担当者のコメントがふるっていた。「えっ?SNSを使って投票を呼び掛けるとかあるんですか。知りませんでした」(そんな感じのコメントだったと思う)。これこそがゆるキャラの神髄のような気がするのだが。
こういうキャラにみうらじゅん賞とか出してほしい気もする。

さて、4月5日、そのみうらじゅんさんと仲のいいリリーフランキーさんが佐賀に来られたとき、ゆるきゃらの話になった。

リリー : 佐賀にはゆるキャラないんですか?
古川 : 県内の各地域にはいろいろあります。ありすぎるくらいに。
リリー : 佐賀県はオフィシャルゆるキャラはやらないんですか?
古川 : やらないんです。アンテナショップとゆるキャラはやらない、というのが方針でして。その代りにコラボレーションという手法でいろんなところと組んでやる、というのを佐賀県のスタイルにしてます。
宝島社と組んだり、ロマンシング・サガというゲームと組んだり、いろいろです。
リリー : ほかがやっているようなものをやっても、しかたないですからね。でもほかがやってないようなゆるキャラをやる、というのはどうですか?
古川 : どんなものですか?
リリー : 大きなゆるキャラです。
古川 : 何メートルくらいの?
リリー : 5メートルくらいですかね。そんなゆるキャラないと思いますよ。
古川 : それはインパクトがあるな。もはやゆるくない、ように思いますが。
リリー : 名前は、ジャイアントSAGA、ですかね。いや、もうひとひねりほしいな。
わかった。こういうの、どうですか。
僕たちあちこちでこういう仕事してると楽屋によく差し入れが来るんすよ。
古川 : はあ。
リリー : そのときにみんなで食べられるお菓子とかをだいたい持って来られるんですけど、そんなときに「生」って書いてあると、みんなうれしいんですよね。「生どら焼き」とか。「生チーズケーキ」とか。
古川 : なんか分かるような気がします。
リリー : そこで、です。佐賀県が生み出す日本最大のゆるキャラにもこれを導入してですね。「生ジャイアントSAGA」。これで断然日本で光るものになりますよ。
古川 : うーむ。生ジャイアントSAGA・・・(笑)。

この会話の約1週間後の4月13日、吉祥寺に『機動警察パトレイバー』の98式イングラムという巨大ロボットが登場した。高さ約8メートル。ゆるキャラとは言わないんだろうけど。
やるんならこれを超えんばいかんね。

ところで、ゆるキャラはやらない佐賀県、ただコラボはやる佐賀県。
5月10日から店頭に並んでいるふなっしー初めてのオフィシャルムック『ふなっしーララララ♪』(宝島社発行)。ここでふなっしーと佐賀県とのコラボが実現しています。
ここの巻頭から10数ページにわたって「ふな散歩。in佐賀県」と題した写真家川島小鳥さんの撮り下ろし記事が!
なんでふなっしーが佐賀県へ? まあ、いいじゃない。とてもきれいな写真と記事ですよ。


ふるかわ 拝

平成26年5月13日(火)
第563号「サガン鳥栖 首位確定です!」

サッカーJ1サガン鳥栖の進撃が止まらない。5月10日現在(という表現を使うらしいが)勝ち点27で2位の浦和に勝ち点1差で首位になっているのだ。
J1は34節まであって今週の土曜日が14節だから4割くらい日程を消化したことになる。その段階で首位をキープしている、ということなのだ。今週末の17日(土)に大宮と対戦するがこの後、ワールドカップのための長い中断期間に入ることになる。ぜひとも首位のまま中断期間に入ってほしいと思う。
ちょっとだけ残念なのは、この首位が「暫定」という整理になっていることだ。
ACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場している前年上位または優勝チームの一部がACLの日程の関係でほかのJ1チームと同じだけのゲーム消化ができていない。12節の試合とACLがかぶさってしまって、これに関係する4チームはまだ12節を戦い終えていない。12節の残りの試合はワールドカップ明けの7月15日に行われる。それが終わってやっと「暫定」がとれて「確定」ということになる。とはいえ、12節の残り試合がどうなろうとも、サガン鳥栖の首位を脅かす可能性のあるサンフレッツチェ広島との勝ち点差は5。サッカーではどんなに大勝しても勝ち点は3しか与えられないから、12節の試合がすべて終了したとしてもサガン鳥栖の首位は変わらない。
僕が力説することではないけれど、とにかくトップなのである。

サガン鳥栖は、ホームタウンの人口がJ1のクラブの中で最も少ない。ということは観客動員にせよ、財務体力にせよ厳しい状況におかれているわけだが、その中でも地方のクラブが努力したらどこまでいけるのか、というある意味の見本の存在であり続けている。
年間最少予算でJ1昇格。J1昇格の最初の年にいきなり5位。これも初めてJ1に昇格したチームが出した最高順位記録を更新。
「朝日山ランニング」に象徴されるような厳しいトレーニングに裏打ちされたハードワーク。そして別の意味で厳しい練習環境。J1に昇格するまではクラブハウスもプレハブだった。
経営陣も手弁当の人が多いし、監督はじめ選手たちも本当に力を振り絞って全力を尽くしてくれている。
僕たちにできることはスタジアムに足を運ぶこと、サガン鳥栖のことを語ること、広げることだろうと思う。

「サッカーは知事のおもちゃ」とかつて揶揄されたことがあった。僕はあえて反論もしなかった。「いつか、県民の共有財産にする」と密かに誓っていた。
それが先日の佐賀新聞によれば、こどもたちの将来の夢が語られている「ぼくの夢、わたしの夢」でなりたい職業を集計したところ、男子の1位がサッカー選手だった。これまでずっと1位だった野球選手を抑えて今回(昨年1年間の集計)初めて一位になったのだ。もちろん野球がいけないというのではないが、やっとここまで来た、という一つの到達点になったことは事実だ。
まだまだ夢はある。
ワールドカップの日本代表選手を輩出すること、佐賀県出身のサガン鳥栖の選手を育てること、そして世界に羽ばたくこと、だ。

残念ながら今回のワールドカップの日本代表には選出されなかったが、これからも地域にさらに根付く活動をしていきながら世界に羽ばたくことにチャレンジをしてくれるだろうと思う。
去年はデルピエロがいるシドニーFCがサガン鳥栖との親善試合を行った。これまで遠くでしか見ていなかった選手たちとの交流はすでに始まっている。
いまやサガン鳥栖の選手はどういうチームと試合をしても堂々としていて頼もしい限りだ。
それは佐賀県のシンボルでもある。予算やホームタウンの大きさとは関係ない、「コンパクトの強み」を発揮して他に見ないチームに成長することを期待しづづけたい。


ふるかわ 拝

平成26年5月6日(火)
第562号「emailのこれからについて僕が県庁職員に投げかけていること」

毎月1回、僕は佐賀県庁全職員に「知事室から」というメールを出している。仕事の進め方や佐賀県庁の動きについて知ってほしいことを書き綴っているものだ。
5月号では「emailの時代は終わったか」をテーマに書いた。
もともと「最近メールを使わなくなったな」と思ってたところ、雑誌『PLANETS』VOL.8に稲葉ほたて氏が「3.11が生み出した”おしゃべり”の楽園」と題して見事にその分析をされていて、それにインスパイアされて書いたものだ。

こういう問題意識を持って職員に投げかけをしている、ということを知っていただきたく、今回職員向けに書いたものをご紹介したい。


(以下「知事室から(5月 新しいツール 編)」から抜粋)
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さて、今回は「emailの時代は終わったか」というテーマです。
この文章を皆様にお届けしているツールがemailなのですが、私はそもそも、このemailを使って情報発信しようとする、というのがいささか時代遅れになってきているように思えてなりません。
スマートフォンを使うようになってから、特にそう思うようになりました。

ここ10年で新しく佐賀県庁職員になった方には信じられないことかもしれませんが、11年前の2003年(平成15年)私が知事に就任したとき、佐賀県庁では、ほとんどメールを使って仕事を処理していませんでした。
対面、しかも書類を使って説明する、というのが唯一の方法で、私は実際に見たことはありませんが、決裁をもらうために、上司の部屋の前から廊下まであふれんばかりの職員が待っている、あるいは何度も何度も足を運んでいる、という光景も珍しくなかったそうです。
就任直後から私は「仕事でメールを使おう」という呼びかけをスタートさせました。当初、管理職の人もメールに慣れていなくて、名前だけは課長名になっているメールが係長のアカウントから送られてくる、ということも珍しくありませんでした。
また、一太郎で書いたドキュメントを添付ファイルにして、本文を書かずに送ってくる人もいました。
なんだか懐かしいような気さえします。それが10年ちょっと前に佐賀県庁で実際に起きていたことでした。

その後、メールは当たり前のツールになりました。逆に、今はメールがなければ仕事ができないような状況になっていると思います。それだけ情報量が増えています。共有する範囲も広がっています。
そのメールも、かつてはPCで読むしかなかったのですが、携帯メールが発達してきて、むしろコミュニケーションツールとしては携帯メールが基本、となってきました。
i-modeなど携帯でインターネットを楽しむことができるようになり、ケータイが「携帯する電話」というイメージから「ポータブルな情報端末」の色彩をかなり帯びてくるようになってきました。
通話よりもメールのほうがはるかに回数も多い、という状態に多くの人がなっていました。そのころがメールの最盛期だったのかもしれません。
そして、スマートフォンが登場しました。
がらっと状況が変わりました。
メールのポジションが、がくっと下がったのです。スマホの画面を見れば、いまやメールが数あるアプリケーションの一つにすぎないことは明らかです。

私たちが仕事を進めるうえでは、ここしばらくはメールを使い続けることでしょう。ただ、プライベイトなコミュニケーションツールとしては、もうメールではなく、LINEとかfacebookに替わっていくのではないかと思います。
私のプライベイトアカウントには毎日山のようにメールが送られてきます。そのほとんどが営業・広告系で、それほど自分が必要としていないものです。その山に埋もれるように、ときどきプライベイトなメールが来ているので、見逃さないようにするのに必死です。

LINEやfacebookでは、少なくとも今は、こんなことは起きていません。プライベイトでコミュニケーションを取る必要がある人とのやりとりは、私の場合は今は圧倒的にメールでやらなくなっています。
おそらく世の中の流れもそうだろうと思います。ネット上で情報のやりとりをすることは、これからも増えていくでしょう。ですが、「必ずしもメール、というツールでなくてもいい」という時代になってきている、ということだと思います。

なのでお願いです。
「メールという手段がもはやアウト・オブ・デイトになりつつある」ということは「メールというツールで伝えようとしていた事柄が伝わらなくなりつつある」ということなのです。そうだとすれば、「新しく県民の方々に届く、あるいは今風にいえば’刺さる’ような情報伝達をしていく」ためにどうしていったらいいのか考えていかないといけないのです。
これを是非みなさんで考えていただけませんか?是非いろいろ試してみていただけませんか?

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(以上「知事室から(5月 新しいツール 編)」から抜粋)


ふるかわ 拝