2014年7月

平成26年7月29日(火)
第574号「佐賀空港自衛隊使用要請に関する報道の中で」

この件に関し政府側から正式に要請を受けたのが7月22日火曜日、そして25日金曜日が定例記者会見日だった。
佐賀県では、武田防衛副大臣との面談の様子そして定例会見の様子のいずれも全文をテキストと動画でアップしているので、僕の正確な発言を知りたい方は是非これを見ていただきたいと思う。
防衛省からの要請(平成26年7月22日)---佐賀県サイト

またこれとは別に、県民の皆様に向けてこの件に関する現時点での僕の考え方や事実関係をメッセージとしてテキストと動画でアップしている。
佐賀県民の皆さんへ(平成26年7月22日)<現時点での基本的考え方>---佐賀県サイト

このように僕は発言したことを公表しているが、それを基にした各報道機関の反応は当然のことながら違っている。
それはそれで各社の方針なので異議をはさむものではない。
ただ、こういう報道のされ方だと正確さを欠いているのではないか、と思うこともなくはない。

今回はその一つの例を取り上げたい。

いくつかの新聞では、佐賀空港建設のときに佐賀県が地元の漁協と交わした公害防止協定の覚書付属資料の中で「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」という規定があると報じられている。
これはその通りだ。
ただし、この付属文書の該当部分の全文はこうなっている。
「県は、佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない。また、このことは協定第3条の『空港の運営変更』にもなることであり、当然に『事前協議』の対象となるものであると考える。」
前半だけを読んだときと後半も含めた全文を読んだときでは、ずいぶん印象が違うのではないだろうか。
印象という言葉は、正確ではない。
全文を読めば、自衛隊との共用について、「協定上許されていない」のではなく、「協定上事前協議が必要となる」というのが正しい、ということが分かる。

だからといって、今回の要請に「はい、受け入れましょう」と言っているのではない。
ただ、協定をきちんと読めば、「事前協議の対象となる」ことが分かるのではないか、ということだ。

「事前協議をいつやるのか」ということについても、一部の報道機関は「今直ちにやれ」とおっしゃっているようだが、この協定では「佐賀県が自衛隊と共用しようと思ったとしたら、そのときに事前協議を行う」ということになる。
佐賀県が自衛隊と共用しないと判断したら、どうなるか。
そのときには、事前協議は不要だ。
なぜならば、今の状態と何ら変わることがないからだ。
これもまことに正しいと思うのだが、その部分についても報道機関の報道ぶりは違っているようだ。

この件は、大変大きな話で関心を持っている方も多い。僕のところにも、毎日たくさんの方から賛成や反対の声が届いている。様々な考え方があっていいと思う。
ただこのコラムを読んでくださっている皆様に是非お願いしたいのは、「報道だけで何かを判断するのではなく、そのソースとなるものに直接触れていただきたい」ということだ。
佐賀県は、記者会見を始め、様々な場面で僕が発言したことについては、県庁のウェブサイトで公開をすることにしている。会見に限らず、囲みと呼ばれる場合もそうだ。
また、各報道機関が行うアンケートについても、こちらが答えたことがそのまま掲載されることはまずない。なので、こちらの意図と異なる報道がされた場合には、佐賀県がどのように回答したかを公表している。
このように、いわば一次資料を公開しているのだ。

この件については、どういう落ち着きどころになるのか分からないが、しばらく時間がかかるだろう。僕が、あるいは佐賀県がどう考えているのか、直接調べてみていただければと思う。


ふるかわ 拝

平成26年7月22日(火)
臨時増刊号「佐賀空港の自衛隊利用に関するみなさまへのメッセージ」

佐賀空港を自衛隊が使いたいという防衛省からの提案について、県職員に対し、私が出したメッセージです。

**********************************

7月22日火曜日、武田防衛副大臣が来県され、私が面談しました。
話の内容は主として3つの事柄についてでした。

1 佐賀空港を陸上自衛隊の水陸機動団のティルト・ローター機(いわゆるオスプレイ)の部隊の配備先として利用させていただきたい。

2 併せて市街地化が進む目達原の駐屯地に配備されているヘリコプターも佐賀空港に配備したい。

3 また、沖縄の負担軽減のために、辺野古が完成するまでの間、暫定的に米軍に佐賀空港を活用させることも政府としては視野に入れている。

これらの事柄について協力をしていただきたい、という要請でした。

これらの要請に先だって、面談の冒頭、「佐賀県側から非公式に、自衛隊で佐賀空港を活用していただきたい、という要請があった」との一部報道に関して、副大臣からは、「この件に関しまして、事実と反する一部報道がなされたことに関し、知事はじめ関係者の皆様方に大変ご迷惑をおかけしたことに深くお詫び申し上げます」という発言がありました。
佐賀県側から自衛隊に佐賀空港の活用を要請したということは全くありません。今回の報道によってこの誤った情報が広がってしまったのはまったく残念なことです。
また、佐賀空港が赤字だから自衛隊に要請した、という解説をしている報道機関もありましたが、まったく誤りです。

佐賀空港の東京便は、平成20年11月の増便(4便化)以降、毎年、過去最高の利用者数を更新しています。
平成20年度から平成24年度までの利用者の増加数(69,582人)は、この間に新設された岩国空港を除く全国48空港の東京便の中でトップの数字です。
ANAの篠辺社長からは、「佐賀空港は、利用者数が着実に増えている全国的に珍しい空港である。」との高い評価をいただいており、今月1日には、3回目の増便となる5便化が実現しました。
また、これを追いかけるように来月1日には、成田便が1日2往復で就航することとなっており、これにより首都圏向けの便が、これまでの1日4往復から1日7往復とほぼ倍増します。

さらに、昨年12月の国際線専用施設のオープンにあわせてソウル便が週3往復で就航し、上海便をあわせた国際線の便数(週6往復)は、九州の空港の中では、福岡、鹿児島空港に次いで第3位となっています。また、海外LCCの就航数2社という数字は、関西、成田、福岡、中部に次いで全国第5位と高い位置にあります。さらに、現在、新規路線の誘致活動に積極的に取り組んでいます。

このように発展著しい佐賀空港なのに、こちらから自衛隊に活用をお願いするわけがありません。よく報道機関は収支差を赤字として記事にします。それぞれ計算方法は異なりますが、全国の定期便が就航する地方管理空港57空港の中で収入が支出を上回っているのは岡山空港しかありません。国管理空港についても26空港中23空港が赤字。利用者数が多い福岡空港でさえそうです。みなさんもこれらは事実として知っていただければと思います。

さて、本論に戻ります。

これらの要請に対して私からは以下のようにお答えしました。

1 佐賀空港は先人たちのご苦労と地元の方々のご理解によって構想以来約30年、ようやく完成した空港で、いまや利用者数の伸びが全国でもトップクラスの空港に成長してきている。今後はLCCの拠点空港として発展させていくことを目指している空港である。今回のお話がこうした佐賀空港の民間空港としての利用、あるいは新たな路線の誘致、増便といった発展の支障にならないこと、このことがなにより前提になる。

2 また、佐賀空港には建設当時、地元(関係漁協)と結んだ公害防止協定の覚書附属資料があり、また、平成22年3月には佐賀県議会において「米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議」が可決されている、といった経緯もある。

3 私には、佐賀県知事として、原因の如何を問わず県民生活の安心を守る責務がある。今回のことが報じられて以来、県民の皆様の中には、「なぜ佐賀空港なのか」という疑問や、「オスプレイの安全性」、「騒音」、「攻撃目標になってしまうのではないか」といった不安の声が寄せられている。これらについて、政府として責任をもって、地元関係者をはじめとした県民の皆様はもちろんのこと、県に対しても十分説明していただく必要がある。

これに対し、副大臣からは

1 民間空港としての能力というものを我々が阻害するということは、あってはならないことだと思っている。運用面等についても、佐賀県の皆さんと相談しながら進めていきたいので、忌憚のないご意見を寄せていただきたい。

2 ご指摘いただいた各種の経緯については自分としても承知しているところであって、こうした経緯をしっかり踏まえて対応させていただきたい。騒音、安全対策等については近隣の住民の皆様に不安を抱かせることがないよう万全を期すことをお約束したい。

3 また、今回の普天間飛行場に関する提案は米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設ではない。普天間基地は辺野古に移設するという方向性に一切変わりはない。辺野古が完成するまでの間、暫定的に米軍が利用する可能性があるということである。

という発言がありました。

最後に私から

1 あらためて佐賀空港は民間利用のための空港であり、今回のご提案が民間空港としての発展の支障となることがあってはならない、ということをまず前提として、今後しっかり確認させていただきたいこと。

2 あわせて、県民の皆様が不安に思っていることなどもいろいろと質問をさせていただきたいこと。

を申し上げ、本日はお申し出をお聞きした、ということにさせていただきたいと伝えました。


その後の会見の様子は県のホームページで見ていただければと思いますが、記者の方からの主な質問をご紹介しますと、「今日の時点での知事のスタンスはどうなのか。」という質問に対しては「今日の時点の賛否は白紙であり、副大臣が目途として示した8月末にあわせて判断するつもりはない。地元、議会、関係者の方々の声をお聞きして時間をかけて議論し、判断する。」と回答しています。
また、「赤字の佐賀空港を自衛隊が使うこととなった場合、財務面が安定するというメリットがあるのではないか」という趣旨の質問に対しては、「自衛隊が空港を使用すると財務面が安定するのかどうかは正直疑問。強く言いたいのは佐賀空港の利用や路線開拓が進んでいるのに、その邪魔をしてほしくないということ。」という趣旨の回答をしています。

副大臣は私との面談の後、佐賀県議会議長、佐賀市長、佐賀市議会議長、有明海漁協組合長と面談されました。
たくさんの関係者がおられる中でこれから協議がスタートする、ということになります。

これからの道筋は全くわかりません。というか、今回のことについては、事業主体は国です。国が関係の皆様方の理解を得ていけるかどうか、が問われるということだと思います。
県の仕事は、まず、今回の副大臣のご発言を整理したうえで今回のご提案が佐賀空港がこれまでと同じように民間航空機のための空港として発展していくのに支障にならないか、ということの確認だと思います。

そのうえで、地元の方々はじめ関係の皆様方がどのようにお考えになるのか、注視していきたいと思います。もちろん、県民の方が抱かれる不安や疑問の点を必要に応じて国に確認していく、ということも必要でしょう。

以上が現時点におけるこの問題に対する私の考え方です。

記者会見でも申し上げましたが、この分野の事柄については、県庁に十分な経験や知識があるわけではありません。

今日の時点で申し上げていることが完全なものではないということを私自身も認識しているところです。

いわば、走りながら考えていきたいと思います。


佐賀県知事 古川 康

※同じ内容ですが今回は動画でご覧になることもできます。
佐賀県民の皆さんへ 〜武田防衛副大臣の訪問を受けて〜(10分57秒)

平成26年7月22日(火)
第573号「全国知事会議イン佐賀県(会議の様子 篇)」

週末に急浮上した佐賀空港の問題については、この時点(7月22日火曜日午前零時)では、まだ正式に説明を受けていないので別途書く。22日午前9時からの僕と武田防衛副大臣との面談模様についてはユーストリームで流すことにしているので、関心のある方はどうかご覧いただきたい。
http://urx.nu/agQJ

ということで、今回は全国知事会議について。

先週の7月14日から16日までの3日間、佐賀県唐津市で全国知事会議が開かれた。
全国知事会は年に何度か行われているが、夏の全国知事会議は東京ではなく地方開催になっている。今回は佐賀県が手を挙げてホストした、ということだ。

47都道府県から知事さん達に集まっていただくにあたって、やろうとしたことが二つあった。
一つが会議そのものの成功、とりわけ問題点を絞って議論すること、もう一つが おもてなしだった。今回は、この会議そのもののことを取り上げる。

「フォーカスするテーマ」は、京都府知事である山田会長の強いリーダーシップで人口減少問題、少子化問題、となった。
「今この問題に本腰を入れて取り組まなければならない」という強い危機感を47人で共有すること、「そのために何をしていかなければならないのか」ということについて知見を深めること。これを、会議の到達目標とした。そのために、全国知事会議では異例のことだったが、ゲストスピーカーに来ていただくことにした。
増田寛也さんだ。かつては岩手県知事としてこの全国知事会議のメンバーでもあった増田さんが、今や人口減少問題について日本をリードする有識者になっておられる。その増田さんに僕がお願いしてみたところ、超多忙な中、快諾していただき、会議にスピーカーとして参加していただいた。
また、知事会議全体の雰囲気を人口減少問題モードに持って行くため、各都道府県の人口減少問題の取組みを紹介するコーナーを作ったほか、佐賀県は独自で人口減少問題に関する映像を作成した。
その映像がこれだ。
http://youtu.be/pP4vZuQ-Op4 (1分49秒)

「人口減少問題は深刻だ。しかし、解決は可能。いま本気で取組みをスタートさせれば。」
そういうメッセージを込めた。

人口減少問題の議論は盛り上がり、予定していた時間をはるかに超えるものとなった。イメージしていたように、きちんと意識の共有はできたと思う。少子化非常事態宣言を全国知事会として採択した。

ところで、その全国知事会議のちょっとしたサプライズとして、子育て同盟参加の11人の知事による「Let It Go 〜ありのままで〜 by 子育て同盟」がリリースされた。(子育て同盟とは、少子化問題に危機感を持ち、子育て支援施策に意欲的に取り組む県の会。)
子育てに悩んでいる人は多い。そういう人たちをみていて、自分も結婚や子育てに不安を持ってしまう、という人も少なからずいる。
そういう人たちに、「がんばりすぎないで、大丈夫だから」、「完璧な子育てなんてやってる人はいないから」、「安心して結婚をし出産をし子育てをしてください」、「僕たちが応援しています」というメッセージを届けたかった。
途中に出てくる女性は、10人の子を子育て中の助産師・小林寿子さん。
最後には、森まさこ少子化対策担当大臣までこの趣旨をご理解いただき、ご出演賜った。
まだ見ていない、という方、どうぞ。(3分55秒)
http://youtu.be/ElB-kqopDoc

このほか、今回の全国知事会議に向けて佐賀県として取り組んだ他に例を見ないおもてなしプログラム、というのもあるのだが、それも今度書くことにしたい。


ふるかわ 拝

平成26年7月15日(火)
第572号「避難情報 どうやって伝えるか」

台風8号が去った。心配されたほどには大きな台風として九州に上陸しなかったことは、佐賀県知事としては安堵した。
とはいえ、全国各地では死者を含む大きな被害が出ている。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたい。

この時期になると、いつも思うことがある。それは、たとえば避難準備情報、避難勧告、避難指示などが自治体から出されるわけだが、それを住民はどうやって知るか、ということだ。

以前、ある市で避難勧告が出たとき、報道ではこう流れた。
「○○川の氾濫が予想されるため、○○市内の◎町、△町、そして×町の一部に避難勧告が出ています。」
その市のプレスリリース資料もそうなっていた。
また、それを受けたNHKなどのテレビ放送の字幕情報も、そうなっていた。
コミュニティFM放送でも、同じように流していた。
市のウェブサイトにも、全く同じように載っていた。
(スピーディに掲載されていたことは、評価に値する。)

結局、「×町の一部」というのがどこからどこまでなのか、そのことについては分からずじまいだった。どこにも書いてないのだ。

その市の知り合いの担当者に聞いてみた。答えはこうだった。
「その地区の人には、自治会長さんを通じて伝えてあります。どこからどこまでが避難勧告の範囲なのか。」
こうも付け加えた。
「広報車ではさらに具体的に『この通りからこの通りまでの皆様』、とか詳しく拡声器でお知らせしていますから。」

それは良かった。
でも、ふと思ったことがいくつかあった。

Q1 なぜ避難対象の地域をきちんと詳しく公表しないのだろうか。
Q2 自治会長さんは、どうやって地域の方全員にそれを知らせるのだろうか。
Q3 広報車は、どれくらいの頻度で回っているのだろうか。ほんとに聞こえるのだろうか。
Q4 その地域に住んでいて、市外に働きに出ている人に対しては、正確な避難勧告対象地域をどうやって知らせるのだろうか。

それらの答えをすべて聞いたわけではないが、いくつかのことが分かってきた。

A1 なぜ避難対象の地域を詳しく公表しないのかというと、どうやら「混乱するから」ということらしい。
何となく分かるような気はする。「分からないと思ったら避難してください」とも言われた。でも、だったら最初から「×町の一部」と言わずに「×町」と言えばいいのではないか、とも思った。

A2 一方、自治会長さん経由での情報提供というのは、どういう形なのか。これは分からなかった。自治会長さんにお伝えして、自治会長さんは避難所である公民館の設営や地区内にお住まいの災害時要援護者の方々との連絡などをされていたようだ。いつもこういうことに動いていただいて頭が下がる思いだ。でも避難勧告の対象となっている世帯の方々に連絡をして「あなたのところが対象ですよ」という連絡まではされていないように思った。

A3 広報車の頻度は分からなかったが、地域の方々に伺ったら「一度しか分からなかった」と言われたので、そうだったのかもしれない。いずれにしても、しょっちゅう来ておられた、ということではないようだ。
それよりも課題だと思ったのが、「広報車が来ても、何ば言いよるか分からんもんね」という声だった。
「雨が降っていて、風も吹いていて、しかもあたしゃ年寄なので耳が遠い。広報車が何か言ってても雨戸は閉めてるし、聞こえん」
「そうそう。しかもテレビつけとるしね」
せっかく広報車が風雨の中、回ってくれているのに、その情報を聞き取ることができない人たちが結構おいでのようだ。

A4 市外に働きに出ている人は、広報車はもちろん防災行政無線があってもそれを耳にすることはできない。テレビやラジオ、ネットで情報が得られればいいのだが、実際には正確なところは分からなかった、ということだった。

そこで思った。市町村の流す避難情報は「×町の一部」と言わず、それを聞いた人が即判断できるような言い方で表現していただけないだろうか。そして報道機関はそれを省略せずに報道していただけないだろうか。そうすれば広報車に頼ることなく、自分の住んでいるところが避難の対象になっているかどうかをテレビやラジオやネットで判断できるようになるのだから。


それと、これ以外の問題として、これからは「日本語の理解能力がそれほど高くない外国人に対してどのように情報伝達するのか」も大きな課題となっていくだろう。
現在はそれほど多くの外国人が観光や定住のかたちで佐賀県内におられるわけではないかもしれない。でも、これからは増えていくのは間違いない。
何語で、どういう情報を、どうやって届けるか。それを考え、実行していかなければならない。
そしてまた、かりに日本語を使って外国人に伝えるとしても、そのときには外国人にも分かるような日本語、「やさしい日本語」で伝えていくことが求められるのだ。

今年の3月の佐賀県地域防災会議の席で佐賀県国際交流協会の方がこういう発言をされた。
「『高台に避難してください』と言わないでください。『高台』も『避難』も理解できない人たちがいるのです。」
では何といえばいいのか。

「高いところに逃げてください」
これからの防災日本語というのは、こういうものでなければならないようだ。


ふるかわ 拝

平成26年7月8日(火)
第571号「ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版」

ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版が発行される。

7月7日に開かれたパーティーには600人もの方がお越しになっておられ、このレストランガイドに対する期待感を口にされた。もちろん、当日発表された内容に対する驚きと落胆が交差していたのは言うまでもない。今回は佐賀県の飲食店はいろんなカテゴリーで二つ星の店3軒をはじめとして70軒の飲食店と34軒の旅館、17軒のホテルを掲載していただいた。
ちなみに佐賀県内の二つ星の店とは、飴源(唐津市)、鮨処つく田(唐津市)、楊柳亭(佐賀市)。三つ星の店はいずれも福岡市内の店で行天(寿司)、嵯峨野(日本料理)。
また、旅館・ホテルとしては、竹林亭(武雄市)が「豪華で最高級・特に快適」という最高の評価を受けている。

美味しいレストランや素敵なホテルを紹介するミシュランガイドには、毎年出版されるものと、都道府県域単位で発行され、数年に1度出版される特別版と言われるものがある。
これまで日本国内では、東京版と関西版は毎年、特別版として北海道と広島が一度、出版されている。今回の福岡・佐賀特別版はそれらに次ぐものとなった。
昨年特別版が出版された広島県や、2012年から関西版に仲間入りした奈良県の話を聞いていても、ミシュランガイドを手にしてお店や地域を訪れる人の数が増えているらしい。

さらには、僕は前々から、こうした国際的に評価のあるガイドブックに掲載される情報を海外にも発信していかなければならないと思っていた。
僕らが海外に旅行するとき、信頼できるガイドブックが日本語で手に入ればそれを手にして街歩きをするように、海外から来られた方も同じような行動をしておられる。
今回のミシュランガイドの出版記念パーティーで日本語版だけでなく英語web版も併せて作成されることが発表された。これをいい形で活かしていかなければならないと思う。

あわせて僕が期待しているのが、「ミシュランガイドに載る可能性がある」ということで、お店の経営者や料理人さん達がこれまでにも増して向上に向けての取り組みをされるようになるのではないか、ということだ。

先日、このミシュランガイド出版の公表前だったが、県内のある飲食店に行ったときのこと。そのお店には久々に行ったのだが、前回伺った時に比べてびっくりするくらいおいしい料理を出していただいた。店主にお礼のご挨拶をしたいと申し出たところ、出て来ていただき、店主からこのような話を聞いた。
「今日の料理は実は最近入った若い料理人のものです。この料理人は都会のホテルの日本料理店で働いていたのですが、地元に帰って来たいということでうちの店で働いてくれるようになりました。今後、佐賀県に海外から来られるお客様も増えていくでしょうから、そうなるのであればこうした若い人たちを雇う意味もあるかと思って採用することにしました。
彼の夢はミシュランガイドに載ることだそうです。しっかり研鑽を積んでいけばいつの日かミシュランガイドに自分が働いている店が載る日が来るのではないかと夢見て、料理に懸命に取り組んでいます。私としても、こうした彼の気持ちを応援したいと思っているんです。」

この話を聞いた時点では、佐賀県を対象にしたミシュランガイドが出版されることになる、と伝えるわけにはいかなかったので、店主にはこう申し上げた。
「もうじき、その彼を勇気づけるようなお知らせをすることができると思いますよ。」

佐賀県の中には、こういう思いで厨房に立っている方もいらっしゃる。

いい農産物を作る生産者や漁業者の方と一緒になって、美味しいお酒とともに、とびきりの器に載せて料理を作り上げる。今回の発刊で、料理人の方たちがこういうことに意識をより強く持つようになられるだろう。そして、お客の側もいい食べ手にならなければならない。

特別版と銘打ってあるのは「毎年出るわけではありません」という意味だ。
とするならば、次の特別版が出るまで料理人もお客の側も準備ができるではないか。
今回の発刊はいわばスタートだ。
多くの人たちにこのガイドブックを手にして店を訪れていただきたいと思う。

ところで、今回のこのミシュランガイド。webではもう内容が解禁されたが、書籍としての販売は7月10日木曜日から。
10日の午前11時には、佐賀駅構内に設けられた特設会場に、この本を僕が買いに行くことになっている。
台風の中にはなるけれど、もしよかったら、そのときに合わせて買いに来ていただけるとありがたい。

この本、ベストセラーを作り出そうという出版とはちょっと違うだけに、いつまでも手に入るものでもない。
売り切れても重版されるかどうかもよくわからないので、是非いまのうちに。


ふるかわ 拝

平成26年7月1日(火)
第570号「佐賀県のリアルな有効求人倍率」

いまから6年前。ある会合で会った大学生からこんなことを言われた。
「僕は佐賀県出身でいまは県外の大学にいます。これから就職を考えていかないといけないのですが、佐賀県にはなかなか働くところがなさそうで。」
僕は答えた。「いい企業もいろいろあるし、求人もけっこうあるよ。」
それに対して彼はこう答えた。「でも有効求人倍率低いですよね。」

学生が有効求人倍率の数字を見て将来のことの判断材料にしているのか。新鮮な発見だった。

そこで、有効求人倍率のことを勉強してみた。そしたら、面白いことがわかった。
有効求人倍率というのは「佐賀県内のハローワークに登録している求職者の数」と「佐賀県内の職場に対する求人の数」の倍率、とふつう思うではないか。

ところが違うのだ。

求職者、つまり仕事を探している人、についてはそれでいいのだけれど、求人数については違っていて、「佐賀県内のハローワークが受理した求人の数」だ。
たとえば、佐賀県内に本社はないけれど工場や事業所がある、という場合は、佐賀県内の工場や事業所の求人についても、その企業の本社の採用担当部局が一括して本社の所在地のハローワークに出すケースも多いらしい。なので佐賀県における求人数にはカウントされずに、本社所在の都道府県における求人数としてカウントされてしまうというのだ。
昨年佐賀に進出されたSBI損害保険株式会社佐賀オフィス(コールセンター)にしても、現在佐賀工場を建設中の株式会社山本海苔店にしても県内で多くの求人を出していただいているのだが、進出時は佐賀県内に事務所機能がないため、本社所在地にカウントされて佐賀県の数字にはならないのだ。この有効求人倍率の取り方を「受理地別」という。これまでは、これが公表されてきた。

では実際に「佐賀県内の職場に対する求人の数」に基づく有効求人倍率はないのか、といえばそれはある。それが「就業地別有効求人倍率」という数字だ。ただし、当時は公表されていなかった。
佐賀県の場合は、これまで公表されてきた「受理地別有効求人倍率」とこの「就業地別有効求人倍率」とを比較すると「就業地別」の方が高い。本社が少なく工場や支店が多い地域は、どうしてもそうなる。
このことが勉強の結果わかったのだ。
さっそく数か月後に、厚生労働省に対して「就業地別の有効求人倍率を全国的に公表していただきたい」という提案書を持って訪れた。(平成20年6月3日)
厚生労働省の答えはノーだった。「これまでの統計との整合性が取れないから」みたいな理由だったと思う。ただ、「就業地別の数字にご関心がおありのようなので、佐賀県だけには佐賀県の数字を毎月お知らせするようにしますから」と付け加えられた。わざわざ僕が行った、ということに対する心くばりだったのかもしれない。
その後、佐賀県は毎月有効求人倍率を公表する際に、必ず「受理地別」と「就業地別」の両方を公表するようにした。それ以来、つねに「就業地別」の方が数字が高い。
佐賀県庁のwebサイトでは、「受理地別」と「就業地別」をずっと取り上げてきている。このサイトではわざわざ「就業地別有効求人倍率の方が、雇用の需給バランスをより反映した数値と考えられます」と注までつけている。

佐賀県の有効求人倍率

ところが、メディアはこの数字を全く取り上げてくれなかった。いつも佐賀労働局が公表する「受理地別」の数値でしか記事は書かれなかった。WEBサイトで「実は数字はもっと高いんです」と説明したところで、これを見てくれる人は多くない。何度か「就業地別」の数字を記事にしていただくようにお願いしたが、取り上げてもらえなかった。

それが、この6月27日から厚生労働省は「受理地別」だけでなく「就業地別」も公表することになった。
となったら新聞によってはそのことを書くようになった(西日本新聞6月28日3面「求人倍率改善1.09倍」)。
なんかさ、取り上げていただくようになったのは嬉しいのだけれど、僕らが公表していたときには無視だったのにな、とすねたくもなる(笑)。

佐賀県が政府に提案したことが6年経ってやっと実現したことを嬉しく思う(残念なことに佐賀新聞では相変わらず受理地ベースだけで記事が書かれているけれど)。
できれば、あの学生だった人に会ってこう報告したい。
「平成26年5月の佐賀県内の有効求人倍率は受理地別で0.92でしたが、就業地別では1.04でした。九州では熊本県に次いで2位。全国で31位です。
これだけの働く場が、いまならあります。やっとこう言えるようになりました。あなたのおかげです。」

それともう一つ。
佐賀県では8月12日(火曜日)に就職面談会を開催する。いい仕事がいろいろある。県内にお住いの方もお盆で帰省される方も、ぜひ参加してみてほしい。


ふるかわ 拝