2014年9月

平成26年9月30日(火)
第583号「2020年までに女性管理職の割合を30%にというのは公務員では無理」

現在の安倍内閣は女性活躍と地方再生に力を入れておられて、それはそれで喜ばしいことだと思う。
その女性活躍に関して、こういう目標がある。
「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」

これは平成15年に当時の小泉総理を本部長とする男女共同参画推進本部で決定され、このために各分野における取組を促進することが第2次男女共同参画基本計画(平成17年12月27日 閣議決定)の重点事項とされた。

そして昨年閣議決定された日本再興戦略でも「『隗より始めよ』の観点から、女性の採用・登用の促進や、男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組む」とされているし、今年閣議決定された日本再興戦略(改訂版)にもこう記されている。
「『2020年に指導的地位に占める女性の割合30%』の実現に向けて、女性の登用に関する国・地方自治体、民間企業の目標・行動計画の策定、女性の登用に積極的な企業へのインセンティブ付与等を内容とする新法を制定する。」

閣議決定というのは政府の意思決定として最も重いものだ。それで数度にわたって確認された目標である「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」
僕のようなまじめな首長は「政府がそこまで言われるのであれば努力せねば」と思ってしまう。

ということで近年、佐賀県庁では女性の管理職登用も加速、男女を問わず働きやすい環境をつくり、といろいろやってきた。そのおかげで佐賀県庁における女性登用率は今年の4月1日時点で8.3%。全国平均を上回るところまで行った。
ところが、だ。政府の目標はあと6年後(2020年)までに30%なのだ。これがどういう数字かと言うと、6年後まで職員総数や管理職総数が変わらないとして、今いる管理職341人のうち30%=103人を女性にする、ということになる。管理職というのは課長級以上の職のことで、6年後までに課長級になる可能性があるというのは、常識的に言って今すでに係長以上になっている職員だ。現在係長以上でまだ管理職になっていないもののうち、6年後も在職している女性職員(現在54歳以下の職員)が現時点で110人いる。つまり、今の管理職予備軍ほぼ全員を6年後までに課長級にしないと30%という目標は達成できない、ということになってしまう。

そこで、先日、僕は一つの提案をした。
閣議決定を実現するためには女性を優先して採用するしかない。法律を改正してそういう採用の方式を認めてほしい。そうしないとあと6年後に30%という目標は達成できない、と。
地方公務員法を所管する高市早苗総務大臣、男女共同参画担当の赤澤亮正内閣府副大臣など政策責任者の方々にお願いをしてきた。
いずれからも「公務員の採用は『能力に着目して』ということになっていて、女性の登用も一つの政策目標ではあるけれど、公務員としての任用の根本原則である『能力に着目する』ということ、逆に『能力以外に着目してはいけない』ということについては変えられない」というご回答だった。同じような能力の人が複数いた場合には女性を優先する、としてもそれは大丈夫だ、ということではあったが。
確かにそうかもしれないと思う。公務員に採用されるかどうか、能力によって判断される。それ以外は考えてはならない。正しいお話だったと思う。僕は法律改正をめざす、ということをあきらめた。

ということはどういうことか、といえば、実は日本国政府や多くの地方自治体においては政府が進めている2020年までに女性の管理職の割合を30%に、ということは実現できない、ということになる。
どうもこうもやりようがない、という話だから仕方ないのだが、だとしたら、なぜこんな目標を政府は示したのだろうか?民間企業だけに示す目標にしておけばよかったのに。(民間企業は女性に限った採用が認められている。)
ちなみに平成25年度の女性管理職の割合は、国が3.0%、都道府県が6.8%、市町村が12.2%だ。どう考えても、どの公務員レベルでも無理、ということになる。

また、第3次男女共同参画基本計画(平成22年12月17日 閣議決定)で、国家公務員の採用者に占める女性の割合を平成27年度末までに30%程度にするという成果目標が定められている。
が、女性の割合は、閣議決定した平成22年度が26.1%で、平成26年度が26.7%。
http://www.jinji.go.jp/kisya/1409/26followup.pdf
こちらも、あまり進んでいるようには見えない。平成27年度の国家公務員の採用者に占める女性の割合を30%以上にするように、昨年政府が各府省に指示をしているのに、だ。
あくまでも平等取扱いと成績主義の原則を貫いた、ということなのだろうか。

ナイロビ将来戦略勧告において、「政府、・・・その他の代表的団体は、それぞれ西暦2000年までに男女の平等参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、それらの地位に婦人を就けるための募集および訓練プログラムを定めるべきである」との数値目標を設定されたのは、1990年のことなのに。


ふるかわ拝

平成26年9月23日(火)
第582号「座席は誰のものか」

映画館やコンサートホールで席に着いたとき、その両脇の肘掛けはどこまでが自分のものかと思うことがある。僕が昔、ある映画館の支配人から聞いたときには「あれは自分の右側の肘掛けが自分のものだ」ということだったが、旅行仲間から「最近、飛行機の座席の中のある空間をめぐって争いが起きている」という話を聞いた。
両脇の肘掛けの話ではない。自分の前の席の人がリクライニングすることを許すかどうか、という話だ。

8月の最終週に相次いでユナイテッド、アメリカン、デルタという米国の大手3社でダイバート(緊急事態により目的地以外のところに着陸すること)があった。そのダイバートの理由がいずれも乗客同士のトラブルで、内容も後ろの座席の人が「前の席がリクライニングできないようにする器具」を取り付けてしまい、リクライニングできない、と言い争いになった、というものだった。あるケースでは乗客の一方が水を掛けられるという事態になってしまっていた。

原因となっているのがニーディフェンダーと呼ばれる器具だ。
30ドル前後で入手できるとあって持っている人は少なくないらしい。違法な器具ではないのだが、もともとリクライニングすることは乗客に認められているわけなので勝手に人がリクライニングできなくするのは一方的な手段ということになる。そういうこともあって、米国大手のユナイテッド航空などはこうした器具の使用を禁止しているのだが、実際には使われているようだ。
この器具自体は以前からあるのだが、より頻繁に使われるようになっているのかもしれないと思う。というのも最近はLCCが増えて標準的な座席よりも狭くなってる機材が増えているからだ。

ちなみに、ニーディフェンダーを使って前の人がリクライニングするのを防ごうという人は、自分はリクライニングしないのだろうか、というのがちょっと気になるところだ。
リクライニング問題というのは、昔も今も悩ましい。機内放送でも「リクライニングをご使用の際には後方のお客様にご配慮をお願いいたします」と言われているが「ご配慮」というのが難しい。リクライニングしていいですか?と許可を取るものでもないだろうから(ダメと言われても困るし、通路側の席なら後方の乗客に声もかけやすいが真ん中や窓側だとそもそも後ろの乗客に声をかけるのも難しいので)、「倒しますよ」という通告をする、ということなのだろうが、いちいち声をかけるのもやや面倒だし。
僕ですか?僕はリクライニングするときは少しずつ倒して「リクライニングしますよ、しますよ」と後方のお客様になんとなく伝わるようにしている。


席のことで思い出したのだが、佐賀空港に上海線と成田線を乗り入れている春秋航空は前々から「立ち乗り席」の導入に意欲を燃やしている。
飛行機で立ち乗り?イメージできない。
という方のために、廣州日報に載っていた図を紹介すると、一人ずつ背もたれと急勾配のシートがあって、シートベルトのほかに飛び出し防止プロテクターのようなものを装着していた。あまり似ていないかもしれないが、ごく大雑把に言うと、立ち乗りローラーコースター(九州ならグリーンランドのミルキーウェイ彦星)みたいな感じ。
立ち乗り席が実現されれば乗客の定員を増やすことが可能になり、コストダウンにつながる。運賃は座席よりも30%から40%ほど安くなるのではないか、と言われているようだが、あなたは乗ってみたいですか?

日本にもラッシュ時には座席のない鉄道車両が存在するわけだし、もちろん安全問題をどうクリアするか、ということはあるのだろうが、いつの日か中国とか、あるいはインドとかで実現できそうな気もする。


ふるかわ 拝

平成26年9月16日(火)
第581号「フランスでの有田焼の反応上々の件」

9日で閉幕したパリでの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に、有田焼を出展した。

だいたい150くらいはある有田焼の窯元や商社のうち、意欲もあり、また可能性もある8社が今回参加した。これら8つのメゾン(出展事業者)は、この見本市が終わったいま、それぞれに手ごたえを感じてくれているようだ。

メゾン・エ・オブジェには、これからあと2回出展を続けていく。それまでの間に今回の結果を改善に結びつけ、欧州の市場に本格的に受け入れられるものに磨き上げていきたいと思っている。

今回の出展の目的は、「これら8つのメゾンがそれぞれ一社ずつでも、これから継続的に話を進めていく相手を見つけること」だったが、どうやらそれは実現できているようだ。
たとえば、
・ロシアの食器バイヤーとの間でティーポットの継続納入決定
・パリのセレクトショップからクリスマス商品としてのカップ販売の申し入れ
・パリ・サンジェルマン地区のギャラリーが出展品を購入
・サウジアラビアのバイヤーが出展品を購入
・オーストリアの食器バイヤーからカップの見積依頼
などなど。
これらはほんの一端で、これを観ているだけでもわくわくしてくる。
モノトーンでまとめられた有田焼のブースに映える様々な彩りの品々。スタイリッシュなビジュアルブックとカタログ。いずれを取ってみても光る内容だったがゆえの成果だと思う。

こうしたところへの出展にはリスクがあるし、経費もかかる。それを承知の上で参加してくださった8つのメゾンの皆さま方には心から敬意を表したいし、この方々が新しい有田焼の時代を作っていかれることになるだろうと信じている。

この有田焼のブースで、メゾン・エ・オブジェのオープニングの日にレセプションを開催した。
そこで僕はスピーチをした。

冒頭にフランス語で自己紹介して「これだけ覚えるのに1週間かかりました」と軽くジョークを飛ばしてから、「1900年のパリ万博で有田焼が金賞を取ったこと」など佐賀県とフランスとのご縁を紹介し、「2016年が有田焼創業400年の記念すべき年になるのをきっかけにして、現代の暮らしやホテル・レストランに合った有田焼を欧州市場に売り込んでいきたい」という抱負を述べている。

動画が残っているので、関心のある方はどうぞ。
(画質が悪く不明瞭な点は、どうかご容赦を。)
「メゾン・エ・オブジェ」有田焼出展ブース レセプション


おまけ

SAGAという言葉はフランス語ではいろんな使われ方がある。SAGAというボルドーワインの銘柄もあるし、SAGAという名前の会社もあるほど。今回はパリの街角でこんな名前の店を発見した。若い人向けの服や靴を売っている店だった。



ふるかわ拝

平成26年9月9日(火)
第580号「山手線の新駅名を情熱的に考えてみた いいのがあった!」

東京・山手線に新駅が誕生するという。
田町と品川の間だ。ドキドキだ。西日暮里駅以来なのだから。
西日暮里駅というのは日暮里の西だからそういうことにしたのだろうが、今回はそれじゃあんまりだ。

ということで、どういう名前の新駅であればいいのか、考えてみた。(もちろん頼まれたりしていない。)

地下鉄や私鉄の駅ではない。なんとか公園前みたいなバス停のような名前というわけにはいかないだろう。
しかも、山手線なのだからね。重みもあり、歴史的にも意味のある名前がいい。
そう考えていたらいきなり本命の駅名を思いついた。その名もずばり「芝駅」。

いいでしょ。あのあたりは昔は芝区と言った。なので地名にも、かつては芝高浜町とか本芝入横町とかそういうのがあった。なのに「芝公園駅」はあるけど「芝駅」はない。
堂々としているではありませんか。
これ、いいでしょ。


でも、もっといいのを思いついてしまった。

「芝浜駅」

そう、あの落語の芝浜から取った。
立川談志師匠も得意としたあの演目。
これはいいと思いませんか?
しかも落語が駅名になるのはこれが初めてなのだ。

ただ、気になる点もないじゃない。
たとえば芝浜の舞台になったところは、どうもいまの田町駅の近くらしい。よく調べてみると田町駅のちょっと浜松町寄りに「芝浜ビル」という名前のビルまであるし。そもそも舞台になった神社も残っている(名前は御穂鹿嶋神社)。そしてそこには橘右近が書いた「芝浜囃子の碑」まで建っているから、どうも無理筋のようだ。

でも、もともと山手線の駅名はきちんと地名を表してないものもいろいろあるのだ。
たとえば品川駅。この駅は品川区にはなくて港区にある。その代わり(というのもヘンだが)目黒駅は品川区にある。
だからいいんじゃないか。 それくらいは、という気もしてくる。

もう一つ気になるのが、発音の問題。芝浜駅の次は品川駅となるわけだが、音を聴くと、「しばはまー」と「しながわー」って母音がみんな同じ。なので聞き間違える人続出じゃないかな。


そういうのが古くさいという人のために、こういうモダンなものも考えてみた。
最近はやりのネーミングライツにヒントを得た。その名も「楽天駅」。楽天の本社が近くだし。毎年10億円くらい出してくれそう。

これはいい、とほくそ笑んでたらなんと、楽天は本社を二子玉川に移すという。この構想が漏れたな。


と、頼まれてもいない僕がこれだけ情熱を傾けて考えているのだから、JR東日本はきっといろいろ考えているに違いない。そう思って知り合いに聞いてみた。
答えは簡単だった。「プロジェクト名『東品川駅』になってますよ、仮称ですけど。」

ええっ!


せめて芝駅に・・・。


ふるかわ拝

平成26年9月2日(火)
第579号「シリコンバレー報告(これからの宿 篇)」

今回のシリコンバレー訪問は、もともとは米日カウンシルが主催する知事会議への出席だった。会議といっても何百人も参加するような大きなものではなかった。
とはいえ、宿泊先を確保するのは難しかった。会議はシリコンバレーの中心地でスタンフォード大学のあるパロアルトという街で開かれた。シェラトンやウェスティンなどある程度の大きなホテルはいくつかあったのだが、なんせ高いのだ。こちらは1泊の宿泊金額には限度があるが、それを超えている。トリップアドバイザなどを使っていろいろ安いところを探してみるのだが、いいホテルが見つからない。

ということで今回、Airbnb(エアービーアンドビー)というサービスを使ってみることにした。要は民泊。宿泊業者ではなく、一般人が自分の空いている部屋や家を貸す、というサービスだ。これだと1泊が旅費の基準額(だいたい2万数千円)で収まる部屋を見つけることができる。
このサービスも会員制。最近のサービスは会員制のものが多い。自分の氏名だけでなくプロフィールも書く。支払のクレジットカードも登録する。こうして会員になれば世界中でサービスを受けることができる、ということだ。このAirbnbというサービスは「いつ、どこの都市に泊まりたい」ということでサイト内を検索すると、その街で登録をしている宿(listingと呼んでいる)がたくさん出てくる。そして、その中から自分が泊まりたいタイプのところをピックアップして、泊めてくれるかどうかメッセージを送る。ふつうの宿なら空いてさえいればOKが出るが、Airbnbは宿泊施設ではないから、その部屋のオーナーから返信が来ないこともあるし、宿泊が断られることもある。だが、いくつか照会していると、どこかの部屋は確保できるようだ。

今回、僕が泊まったのはスタンフォード大学の近くにあるサービスアパートメントの一室だった。そこには夫妻が住んでいて、そのアパートのベッドルーム一つを借りる、というパターンだった。玄関やトイレ、シャワールームは共用。カギは渡してもらえる、という感じだ。ここに4泊した。僕自身の生活スタイルは朝7時台に部屋を出て夜は23時くらいに戻る、というものだったのでオーナーと同じ屋根の下にいたとはいえ、最初と最後の挨拶のとき以外ほとんど会うことはなかった。
もう一人、今回このサイトで予約した職員の部屋は完全な一つの家だった。といっても小さなコテージという感じだが。キッチン、トイレ・バス付きの独立した部屋で、庭も使うことができた。ここから「日本の次世代リーダー養成塾」の講義も行った。このオーナーとは結局最後まで会うことはなかったという。では鍵の受け渡しはどうやって?それはナイショだ。

このように、ふつうの宿が予約でいっぱい、あるいは高くて泊まれない、というようなときであっても、いまやこういうサービスを使えばこのような形での宿泊先の確保ができるようになっている。
これがいまという時代だし、これから、ということではないかと思った。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国家戦略特区としての東京23区内では外国人の宿泊者用に旅館業法の適用を除外する、という動きが出てきているという。
日本でも本格的にこのサービスが広がっていくのだろうと思う。

シリコンバレーで今回感じたのは、スマホをはじめとしたデバイスの進化などITの進化によって、これまでできなかったサービスができるようになってきつつあるなということだ。
さらには、これからますますその流れが強まるのではないか、ということだ。キーワードは「シェア」。空いている部屋を貸す、目的地に向かう車の空きスペースを貸す、など社会的な資源を有効に活用していこう、ということだと思う。

今回、伝説的な人物、ヤフーの創始者であるジェリー・ヤン氏と会い、話をすることができたが、その際に「移動にはUberを使い、Airbnbで泊まっている」と述べたところ、「それはすばらしい」ととても嬉しそうな反応が返ってきた。新しいものを応援しよう、という気持ちがそこに見えた。
(シリコンバレー報告 終わり)


ふるかわ 拝