週 刊 y a s u s h i

2 0 1 8 年 9 月

 

2018年9月25日(火)

週刊yasushi 785号「総裁選を終えて」

 

 

 

9月20日、自民党総裁選の投票日及び開票日。ご承知のように安倍晋三候補が石破茂候補を破り3選を果たした。

私は今回の選挙において安倍晋三候補を支援した。理由は以下のとおりだ。

この6年間の間に経済の回復軌道を確かなものにしたと言う実績は紛れもない事実だ。民主党政権の時に経済が落ち込み、対米ドルの日本円レートが79円にまで上昇して円高倒産の企業が相次ぎ税収も40兆円台となった。それを思えば今年度の税収が60兆円になろうとしていることや、有効求人倍率が史上最高を記録しているなどいろいろ言う人もあるが経済が回復していると言う事は間違いないと思う。地域の企業を回っていても、すべてが良いとは言わないが海外の需要を取り込むなどして地域経済を牽引している企業が発展しつつあるのは確かだと思う。

加えて、外交における存在感。今や主要国の首脳の中で、ドイツのメルケルと並んで在任期間の長いトップとなった安倍首相は、各種の国際会議の中でも存在感を発揮している。

こうしたことを考えた時にいま、総理を代えるべきではないと考えたのだった。

 

もちろん、いまの政権運営が満点だというつもりはない。

特に、地方創生については期待された成果が出ていない。中でも農政については、地域を回っていても不満や不安の声を聞くことがしばしばだ。

だから、そういう点については、より突っ込んだ政策が必要になると思う。

それを現実の政策にして行くためには安倍晋三と書いた上で、安倍晋三総裁に物申していくほかないと私は考えた。

総裁選の最中、佐賀駅前で両候補が並んで演説された。安倍候補はこれまでの実績をベースに説得力のあるお話をされていたが、石破候補も地方の振興策について熱く語られ、それはそれで納得できるものがあった。とりわけ私がキーワードとしていいなと思ったのは、石破候補の「地方にとっては「『選択と集中』ではなく、『分散と展開』が必要」という言葉だった。

 

アベノミクスが失敗だとは私は思わない。しかし、まだまだ十分でもない。その欠けたピースを埋めていくためには政策の転換が必要、地方に軸足を置いた政策が必要だと私は思う。そしてそれは、地方の多くの党員の皆様もそう思った、というのが今回の結果につながっているのではないか。

 

この秋からどういう政策を打ち出していくのか、今回、安倍晋三と書いていただけなかった党員の皆様は注視されておられるだろうし、それによって参議院議員選挙の帰趨にも影響してくるのではないだろうか。

 

 

ふるかわ 拝

 

2018年9月17日(月)

週刊yasushi 784号「地方創生のための首都圏の大学の取組み」

 

 

 

9月13日木曜日。この日はお客様が多かったが、その日の最後のお客様は鎌田薫早稲田総長を始めとする日本私立学校連盟の関係者の方々。

予算についての要望だった。

予算要望と言っても、普通の私立大学経常費補助金の増額とかではなかった。

テーマは地方創生。

早稲田大学や法政大学の地方創生の取組を話されながら、なんとか、政府の地方創生関連予算を首都圏に位置する大学でも使えるようにしてもらえないか、という内容だった。

話を要約すればこんなことだ。

 

◯内閣府や文部科学省の予算において地方創生のためと銘打って、地方の大学に交付金が出ているが、例えば地方の国立大学に大きな機械を1つ買ってそれで終わりと言うようなものもあり、そういうものが全国で10カ所と言うのではもったいない。

◯我々、首都圏にある私立大学も地方創生に取り組んでいる。いま、早稲田大学や法政大学学生の7割が自宅生。つまり首都圏の人間が首都圏の大学に来ると言うパターンが増えてきている。そんな中で、早稲田大学では地域連携型入試をスタートさせた。

早稲田大学新思考入試と題したこの入試は地方から人材を集め、そしてそれを地域に還元していく、という発想。文化構想学部、文学部、商学部、人間科学部、スポーツ科学部が対象。入試要項によると「これまでの学習や当該地域での経験を踏まえて充分に培われた『地域へ貢献』する意識を持つ人材」「地域性を重視し、全ての都道府県からの受け入れを目標」としている。今回、若干名の募集と言うことで入試を行ったが数百人の応募があった。そこには首都圏からの応募も少なからずあった。

この地域連携型入試で入学すれば、大学のカリキュラムの中でも地方創生に関わるプログラムを経験し、卒業したら地方の企業や公務員等に就職するということが想定されている。首都圏出身の学生も地方で働いてもらう。このような取り組みを行っているのだ。

◯しかしながら、内閣府や文部科学省の地方創生のための私立大学振興のための交付金の配分を見ていると、地方の大学(国立を含む)だけに配分することにしてあり、一件あたり数億円のプロジェクトを10個認定すると言うような形で行われている。規模が大きいため、どうしても目立つプロジェクト、大型の機械を購入するプロジェクト、などが選定されている。

◯この交付金の目的は、地方創生につなげていくことだ。

であれば、地方の大学の振興を通じて人材をつなぎとめることも否定するものではないが、一方で我々は首都圏の大学として、地方から来た大学生をいかにして地方に還流させるか、という取組みを必死になって行っている。

◯大学に入るときに地方から首都圏に移ってきた若者を就職のタイミングでまた地方に還流させると言う流れを起こしていく事はまさに地方創生なのではないか。

◯こうした我々の取組みには大きなハードはいらない。小さなソフトで良い。地方に何回かいくための経費への支援などで良い。

◯そのような小さな取り組みでも支援していただくだけで大きな効果を生み出すことができる。地方に出かけることを内容にしたプログラムを募集すると、地方に行くための旅費が大変だからと言う理由で諦めている学生もいる。こうしたことを考えたときに、このような学生の支援をしていきたい。こうしたもののためにこの交付金が使えないのか。こういうものも少しでいいから採択してもらえないか。

 

このような内容だった。

もっともだと思った。

 

早稲田大学総長がこう呟かれた。

「東京23区内の大学の学部の定員増を凍結べし。全国知事会でこう発言された知事さんのほとんどは東京大学の出身でした。」

 

なるほど。

その方たちの多くは、地元の高校から東京の大学に行き、結局、出身県や縁のある県でそれぞれの地域で知事という仕事を務められている。

これがまさに人材の還流による地方創生の例ではないか、とおっしゃりたかったのだろう。

 

確かに人材の流動化の支援は必要だ。「首都圏の大学に行くな」というのもたしかに一つの政策かもしれないが、「首都圏の大学に行ってもいいが、また帰って来い」という取組もこれまた一つの政策であるように思う。それを首都圏の大学の中にはやろうとしているところがある。

そういう取組に支援を行うべきではないか。

 

今回のご指摘、この秋に自民党の中で議論をぶつけてみたいと思う。

 

 

ふるかわ 拝

 

 

 

2018年9月12日(水)

週刊yasushi 783号「児童虐待をなくすために」

 

 

 

先日、佐賀市内で、佐賀女子短大学主催の児童虐待防止に関するシンポジウムが行われた。

田口学長がコーディネーターを務められ、塩崎恭久前厚生労働大臣、藤林武史福岡市こども相談センター所長、そして私の3人がパネリストだった。

最近の東京・目黒における悲惨な事件など児童虐待は残念ながら止むことがない。むしろ、増えている。

こうした中で二度と悲惨な事件を繰り返すことがないようにするためには何が必要なのか。それぞれの思いを伝える有意義な場となった。この手のシンポジウムは大にして入場料無料であることが多いが、この日は500円と言う有料制になっていた。それにもかかわらず会場の美術館ホールには、多くの方々がお越しいただいた。

 

このシンポジウムの中でそれぞれのパネリストの発言のポイントと思われるところをピックアップしてみたい。

 

私からは目標を決めていくことの大切さを述べた。

ここ十数年の一つの流れとして、子どもにとっては家庭的な環境で養育されることを確保することが望ましく、そのためには家庭がベスト、そこが難しい場合には家庭養育優先の原則、すなわち家庭がベストだが、その次は里親による養育、または、ファミリーホーム、それが難しい場合に施設、しかもそれも小規模で高度・専門的な対応が必要なものという方向性が示されている。

佐賀県は平成14年の時点で里親等に子どもを預ける率、すなわち里親等委託率が0.4%。当時の全国平均7.4%に比べるとはるかに低かった。

私が知事になったのがその翌年の平成15年。そして本格的に里親等委託率の向上に取り組み始めた平成17年度には佐賀県の委託率は3.0%となったが、それでも当時の全国平均9.1%には達していなかった。その後、平成23年度に国の方から里親等委託率を30%程度に上げていくと言う目標が示され、それに向かって佐賀県としてもさらに力を入れて進めていくようにしたところ、平成28年度には佐賀県の委託率が19.7%と全国平均を初めて上回った(全国平均は18.3%)。佐賀県として30%を目指すという目標を作ったときには無理ではないかと言う声が関係者の中では強かった。しかしながら職員や里親の人たち等の懸命な努力によって、その目標に向かっていこうと言う動きのおかげで、ここまで達することができている。これは数値目標があったおかげだと私は思っている。

 

今回の新しい厚生労働省から示された通知においても、子どもの年齢に応じた数値目標が示されている。「地域の実情を踏まえた」数値目標と達成期限の策定を求められている、ということは機械的にただ数値目標を達成すればいいということではないわけで、あくまでも子どもの幸せという価値を忘れないようにしなければならないという事だ。

数値目標を設定すべきか設定すべきでないかという点については自民党の中でずいぶん議論が分かれたが、私は数値目標が必要という論陣を張った。

具体的な数値目標なしには、例えば県の財政当局に予算要求をするとしても、達成目標や期限が示されてなければ「それほど急がなくても良いのではないか」「そこまでしなくてよいのではないか」と言われたときに返す言葉がないのではないか。予算を確保し、人的な体制整備を整えた上でこの問題に対応していくためにも私は都道府県単位の数値目標があった方が良いと考えている。

 

また、塩崎前厚生労働大臣からは、これまでの児童虐待の対応について裏話を含め様々なお話があったが、特に印象的だったのはこれからの児童養護施設のあり方についてだった。「誠に残念なことに児童虐待の通報件数は毎年どんどん増えてきている。そしてこの通報の中身も複雑化、高度化したものも増えてきている。こうしたケースに対応していくためには、1つには子供にとって最良の環境と言える家庭的な環境での養育をできるだけ増やしていくことと合わせ、施設の専門性を高めていくことが必要、と力説された。

里親等委託率を上げる数値目標を期限をつけて決定することには児童養護施設関係者の中には慎重論もあったと聞く。

しかしながら、塩崎前大臣は、「施設の役割が「終わる」のではなく施設の役割が「変わる」と言うことなのです」と明確に述べられた。

 

そして藤林福岡市こども相談センター所長。私が知事になる直前まで佐賀県精神保健福祉センターの所長を務められ、佐賀県でも大きな足跡を残された方。

ご発言の1つ1つが心に沁みたが1つ選ぶとしたら、「児童相談所はゴールキーパー。」という言葉が印象的だった。

児童虐待をサッカーに例えるのは不謹慎かもしれないが、子供を守るという「たたかい」においては、児童相談所が最後の砦でありゴールキーパー。ここがしっかりしなければ子どもを守りぬくことはできない。だからと言って、ゴールキーパーだけに責任を押し付けるわけにもいかない、という意味だ。

 

家庭、地域、学校、職場などそれぞれがチームの一員としての役割を果たしてこそゴールを守ることができる、という先生のお話はきわめて説得的だった。

 

皆さまのお話をお伺いする中で感じたのは、児童虐待への対応策と高齢者福祉や障害福祉への対応策は大きく共通しているなということだった。家庭の力、地域の力、そして専門職の力。この3つを組み合わせていくしか答えは無い。その中で特に何が1番大事かと言えばコミュニティ力。これこそが、児童虐待への最も重要な処方箋だ、と感じた。

 

 

 

 

ふるかわ 拝

 

 

 

2018年9月3日(月)

週刊yasushi 782号「プノンペン再訪」

 

 

 

2004年以来のカンボジア訪問。

10数年の間に見違えるように発展を遂げていた。

私がカンボジアに出入りするようになったのは1992年。内戦が終結し、ようやく戦火が収まりつつあった時期だった。プノンペン市内とは言えポル・ポト政権下で破壊された建物があちこちに残り、道路を始めとするインフラはガタガタ。電気も電話も水道も満足に通っていなかった。

 

あまり道路がガタガタなもので普通の時計を身に付けて車に長い時間乗っているとあまりの振動に時計が壊れてしまう、だからG-SHOCKが必要と言われ、それを身につけての入国だった。

 

当時は国民生活も貧困の中にあり、日本の自衛隊がカンボジアの幹線国道を整備したのだが、その時に地元からの要望として「道いっぱいを舗装しないで欲しい、なぜなら舗装される道が熱くなってその道を裸足で歩けなくなるから」という要望が出てたりしたくらいだ。

ちなみにその頃、自衛隊の道路整備のお手伝いをしてもらうためカンボジアの人を雇うことにしたときのこと。

その手伝いの内容とは、自衛隊が道路整備で使う砂利の確保だった。大きな岩を砕き、小さな石にする。炎天下で一日中かかってもバケツ一杯になるかどうか。

その賃金が当時、現地の水準だと1日0.5ドルだった。約50円。

それでは国連のオペレーションとしてはあんまりだということでもう少し払おうということになったがそれでも1日1ドルだった。(本当はもうちょっと出しても良かったのだが、カンボジア人のコーディネータの方から、高く出すとそちらにばかり人が集まって他の仕事に人がいかなくなるから、ある程度でとめておいてくれ、と言われてこの金額になった。)

 

そういう時代を思えば、空港とホテルを結ぶ道路の快適さや建物の立派さは夢のようだ。

 

しかし、ハッとする現実もある。

カンボジアでの中国の存在感。とにかく漢字の表示が多い。あちこちの建物が中国系の資本で建設されていることがわかる。

また、通称日本橋と呼ばれていた日本がカンボジアの支援のためにかけた橋の隣に中国が全く同じような形の橋を1本かけ、しかもそこにカンボジアと中国の国旗をあしらった竣工記念碑まで設けられている。これだと両方とも中国が作ったように見えるだろう。おそらく日本の作った橋は無償協力。中国の作ったものは有償でカンボジア側は資金を返済する義務を負うことになることを思うと、日本の存在感のなさが極めて気になるところだ。中国の一帯一路構想。東南アジアの各国で凄まじい勢いで広がりつつある。

 

街なかは本当に新興国の首都という感じ。米ドルが圧倒的に使われていて、日常生活もドルばかりだという。ということはベトナムやタイが苦労したような急激な為替の変化による通貨危機はないということになり、その分経済の安定は図られているのかもしれない。

調べた資料によれば最近のカンボジアの最低賃金は月160ドル。1日平均に直すと8ドル。

かつて重労働が1日0.5ドルだったことを思えばその16倍の賃金に上ったとも言える。

 

様々なことを思ってるうちに会場のホテルに着いた。三日間にわたって行われる世界中で活躍している日本人実業家とそれを支援する投資家たちのミーティング。

一つ一つのセッションがリアリティーに富んでいて、誠に面白い。

一方でどのセッションでも中国を始めとする様々な国々が国家的な大競争状態で新しい技術や商品開発にしのぎを削っていることに気づく。

残念なことに日本はもう既にちょっと立ち遅れてると言わざるを得ない。何とか今なら巻き返しが効くだろう。そのためにも何よりも政治の安定と必要な政策の果断の実行が求められる、と改めて感じた。

 

様々な国の話が取り上げられた今回のフォーラムだが、やはり自分では、国づくりの第一歩から関わったカンボジアのことが気になってしょうがない。他の国と比べるとカンボジアのメリットと言うのは外資の参入の容易さにあるように感じた。他国では国内産業の保護や育成と言う観点から海外からの投資を歓迎する一方で、様々な制限が設けられていることが多いが、カンボジアにはそのような制限があまりなく、その意味では事業がやりやすい環境にあるとカンボジアで仕事をしている人は言う。なぜなのだろうかと考えてみてふと思い当たった。

長い内戦、そしてポル・ポト派の支配時代の知識層の虐殺などでかつて様々な形で存在したカンボジアの地場産業と言うべきものは1992年の時点では壊滅と言って良い状態だった。つまり保護すべき国内産業がなくなってしまい、それゆえに外国資本の導入によって国を作り上げていくしかなく、そのことが外資規制の緩さにつながっているのではないだろうか。

 

これからもこの国のために少しでもお役にたちたいと改めて思い、プノンペンを後にした。

1泊3日。ホテルと空港以外は全く立ち寄らなかった弾丸ツアーだった。

 

 

 

 

ふるかわ 拝

 

衆議院議員

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